項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 80-62-6 |
名称 | メタクリル酸メチル |
物質ID | H29-B-034 |
分類実施年度 | 平成29年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分2 |
危険 |
H225 |
P303+P361+P353
P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点10℃ (closed cup)、沸点101℃ (GESTIS (Access on June 2017)) に基づいて区分2とした。なお、UNRTDG分類はUN 1247 (安定剤入りのもの)、クラス3、PGⅡである。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | タイプG |
- |
- | - | 自己反応性に関連する原子団 (エチレン基) を含むが、安定剤入りのものはUNRTDGにおいてUN 1247、クラス3、PGⅡに分類されており、優先評価項目の自己反応性化学品には該当しない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は421℃ (ICSC (J) (2003)) であり常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As ,Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、7,800 mg/kg (ACGIH (7th, 2015))、7,900 mg/kg、8,500 mg/kg、9,400 mg/kg (以上ECETOC JACC30 (1995)) との報告に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ウサギのLD50値として、> 5,000 mg/kg (EU-RAR (2002)) との報告に基づき、 区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 |
警告 |
H332 |
P304+P340
P261 P271 P312 |
ラットの4時間吸入試験のLC50値として、7,093 ppm (ECETOC JACC30 (1995)、EU-RAR (2002)、ACGIH (7th, 2015)) との報告に基づき、区分4とした。旧分類は同じLC50値を区分外と判定し、ヒトでより低い濃度で呼吸気道の刺激、脱力、発熱、めまい等の症状がみられたとの報告 (ECETOC JACC30 (1995)) に基づいて区分5と分類していたが、LC50値のデータを再度精査し、区分4に該当することを確認したため、分類結果を変更した。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (38,614 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 |
P302+P352
P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
本物質を5%含むパラフィン又はオリ-ブ油を適用したボランティア試験で、20名中18名に紅斑または湿疹性皮膚炎を認めたなど、ヒトにおける皮膚刺激性を示す複数の事例報告 (EU-RAR (2002)) がある。また、ウサギを用いた皮膚刺激性試験において本物質を4時間適用後、72時間以内の紅斑と浮腫のスコアはそれぞれ2~2.5、1.5~1であり、7日後の紅斑と浮腫のスコアはそれぞれ2、0.5であった (EU-RAR (2002))。よって、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質は、Skin Irrit. 2に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
ウサギを用いた眼刺激性試験において、虹彩及び角膜には影響はなく結膜にグレード2の発赤が24時間後に認められたとの報告 (EU-RAR (2002)) や、流涙・充血・結膜などへの刺激性がみられたとする報告 (ACGIH (7th, 2015)) がある。詳細なデータがないことから細区分はできない。従って、区分2とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1 |
危険 |
H334 |
P304+P340
P342+P311 P261 P284 P501 |
日本産業衛生学会の既存分類 (感作性物質気道第2群) から、区分1とした (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2012)) 。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 |
P302+P352
P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
モルモットを用いた感作性試験で陽性との報告 (EU-RAR (2002))、及び日本産業衛生学会の既存分類 (感作性物質皮膚第2群) (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2012)) から、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質は、Skin Sens. 1に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性、陰性の結果である (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2015)、DFGOT vol. 26 (2010)、EU-RAR (2002)、SIDS (2002)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2012)、CICAD 4 (1998)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、IRIS Tox. Review (1998))。しかし、in vivo染色体異常試験の陽性結果は信頼性に乏しいと評価されている (EU-RAR (2002)、SIDS (2002))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、小核試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性であるが、これらの陽性結果は細胞毒性が出現した高用量での結果や用量依存性が認められない結果であり、in vitroでの陽性判断は妥当ではないとされている (EU-RAR (2002)、SIDS (2002))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - |
アクリルシートの製造を行う米国の工場労働者を対象とした疫学研究において結腸がんによる死亡率の有意な増加がみられたが、労働者は本物質以外にもエチルアクリラートや揮発性の副生成物によるばく露を受けていたとの報告がある。しかし、本物質の製造を行う米国の工場労働者を対象とした疫学研究ではそのような影響はみられなかったとの報告もある (IARC 60 (1994)、DFGOT vol. 26 (2010)、ACGIH (7th, 2015))。一方、実験動物ではラットを用いた2年間飲水投与試験で投与による腫瘍発生頻度の増加はみられなかった (IARC 60 (1994))。また、ラット及びマウスを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験においてもラット、マウスともに発がん性の証拠は示されなかった (NTP TR314 (1986)、IARC 60 (1994))。IARCは本物質の発がん性に関して、ヒトでの証拠は不十分で、かつ実験動物では発がん性がないことを示唆する証拠があるとして、グループ3に分類した (IARC 60 (1994))。この他、既存分類としてEPAがNL (Not Likely to be carcinogenic to humans) に (IRIS (1998))、ACGIHがA4に分類している (ACGIH (7th, 2015))。 以上、IARCとACGIHの発がん性分類結果に基づき、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | 妊娠ラット、又は妊娠マウスの器官形成期に吸入ばく露した発生毒性試験の殆どは胎児への影響はないか、又は軽微な影響 (胎児体重の低下) だけであった (DFGOT vol. 26 (2010)、ACGIH (7th, 2015))。うち、ラットの1試験では1,000 ppm で早期/後期吸収胚の増加がみられたが、本試験は試験プロトコールの不備、記述不十分などの理由でEUにおけるリスク評価には利用できないと判断された (DFGOT vol. 26 (2010))。また、旧分類 (区分2) が分類根拠としたラットの催奇形性試験での母体毒性 (死亡、体重減少等) が発現する用量で、胎児毒性 (早期胎児死亡、頭尻長の減少、血腫の発生) がみられたとの試験報告は用量 (110,000 mg/m3 (26,180 ppm)) が高すぎて評価に有用ではないと指摘されており (DFGOT vol. 26 (2010))、分類に利用するのは適切でないと考えた。以上、吸入経路では発生影響はほぼ軽微と考えられるが、生殖能・性機能への影響評価に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器)、区分3(麻酔作用) |
危険 警告 |
H370
H336 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
ヒトではボランティアに本物質48~480 ppmを吸入ばく露した試験で、20~90分後に気道の刺激、脱力、発熱、めまい、吐き気、頭痛、眠気がみられたとの報告がある (ECETOC JACC30 (1995)、EU-RAR (2002)、NITE初期リスク評価書 (2008))。実験動物では、ラットにおいて、区分1相当の100 ppm、2時間 (4時間換算値: 70.7 ppm) の吸入ばく露で肺胞間のうっ血、出血、肺血管拡張、肺水腫が認められたとの報告がある (EU-RAR (2002))。以上より区分1 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。旧分類では区分3 (気道刺激性) と分類していたが、実験動物で肺への影響が区分1相当の用量でみられていることからガイダンスに従い、区分1 (呼吸器) を採用した。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系、呼吸器) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
ヒトについて、結膜炎、萎縮性鼻炎、喉頭炎、咳の発生率と軽度の気道閉塞の増加、自律神経障害、神経衰弱、頭痛、眩暈、神経過敏、集中力散漫、記憶力の低下、高血圧、低血圧の報告がある (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 実験動物については、区分2のガイダンス値の範囲内で影響はみられていない。ラットを用いた強制経口投与による21日間反復投与毒性試験において区分2のガイダンス値を超える500 mg/kg/day (117 mg/kg/day) で神経系への影響 (自発運動・学習能低下、攻撃性増加、脳橋から延髄、海馬の生体アミン量増加、大脳皮質・線条体のノルアドレナリン増加、線条体のドーパミン減少、視床下部のセロトニン増加) がみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 しかし、この試験の最低用量であることからこの用量未満での影響が不明である。また、ラット、マウスを用いた2年間吸入毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲を超える用量で鼻腔の炎症、嗅上皮の変性等がみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、NITE初期リスク評価書 (2008))。しかし、この試験の最低用量であることからこの用量未満での影響が不明である。 以上、ヒトにおいて神経系、呼吸器に対する影響が認められていることから、区分1 (神経系、呼吸器) とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 |
- |
H402 |
P273
P501 |
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 48 mg/L(EU RAR:2002)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - | 急速分解性があり(良分解性、BODによる分解度:94.3%(化審法DB:1976))、蓄積性がなく(LogKow:1.38(20℃) (環境省環境リスク評価(第11巻):2013)), 甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖阻害)= 3.5 mg/L(環境省生態影響試験:2017)、藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(速度法)= 86 mg/L (環境省生態影響試験:2017)であることから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。 また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。 * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。 * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。 ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。 他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |