GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 106-91-2
名称 メタクリル酸2,3-エポキシプロピル
物質ID H29-B-036
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4
-
警告
H227 P370+P378
P403+P235
P210
P280
P501
   引火点84℃ (開放式) (HSDB (Access on June 2017)) というデータがあり、所定の試験方法において区分4に該当する結果が得られると推定される。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- -    自己反応性に関連する原子団 (エチレン基及びエポキシド類) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
   ラットのLD50値として、597 mg/kg (SIDS (2002)) との報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
   ウサギのLD50値として、480 mg/kg (SIDS (2002) との報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- -    ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として45 ppm (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)) との報告があるが、元資料はList 3の情報源であるRTECSであり、原典が入手不能で詳細不明であるため根拠としなかった。また、他のOECD TG 403準拠の吸入ばく露試験 (4時間) で、2,394 mg/m3 (412 ppm相当) でも死亡例はなかったとの報告 (SIDS (2002)、NITE初期リスク評価書 (2008)) があるが、このデータのみでは区分が特定できない。他に情報がないため分類できないとした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (4,158 ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
   ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質を4時間適用した複数の試験で中等度から重度又は腐食性の皮膚刺激を生じ、5日間の適用では適用後1日から2日に赤み、浮腫、水疱、3日後に皮下出血と潰瘍、5日後に皮膚の硬化、肥厚、ひび割れ、色素沈着が生じ、表皮細胞の変性と壊死、細胞境界の消失などの病理学的変化がみられたとの報告 (SIDS (2002)) から、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Irrit. 2に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
   本物質は皮膚腐食性/刺激性が区分1に分類されている。ウサギを用いた眼刺激性試験において、中等度から重度の角膜損傷を生じ、角膜損傷は適用後7日以内に回復しなかったとの報告 (SIDS (2002)) がある。これらの情報から区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
   ヒトの疫学事例2例で陽性反応を示した報告 (NITE初期リスク評価書 (2008))、モルモットを用いた皮膚感作性試験で10例中7例に陽性反応を認めた報告と、強いアレルゲン性を示す報告 (いずれもSIDS (2002)) から区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   In vivoでは、経口投与、腹腔内投与によるマウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性、陰性の結果、吸入ばく露によるトランスジェニックラットの嗅上皮細胞、呼吸上皮細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性、腹腔内投与によるマウスの生殖細胞を用いた不定期DNA合成試験で陽性であるが用量依存性は認められていない (NITE初期リスク評価書 (2008)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017)、SIDS (2002))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017)、SIDS (2002)、NTP DB (Access on June 2017))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
   
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ヒトの発がん性に関する情報はない。実験動物ではラット及びマウスに2年間吸入ばく露した発がん性試験において、ラットでは雌雄ともに鼻腔の腫瘍 (扁平上皮がん、腺扁平上皮がん、鼻腔神経上皮腫など) が認められた他、雄の腹膜 (中皮腫)、皮膚 (基底細胞腫/基底細胞がん) 及び皮下組織 (線維腫)、雌の乳腺 (線維腺腫など) 及び子宮 (内膜間質性肉腫) に腫瘍性病変が認められた。マウスでも雌雄ともに鼻腔の腫瘍 (血管腫、血管肉腫など) が認められた他、雄の前胃 (扁平上皮乳頭腫)、雌の肺 (細気管支肺胞上皮がん) 及び子宮 (組織球性肉腫) に腫瘍性病変が認められた (厚労省委託がん原性試験結果 (Access on June 2017))。以上、2種の雌雄いずれにも発がん性の明らかな証拠が認められたことから、区分1Bとした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、一般毒性 (前胃の組織変化) がみられる用量 (100 mg/kg/day) で受胎率の低下がみられた (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2002)) との記述、及び雌ラットの器官形成期 (妊娠5~15日) に強制経口投与した試験で、母動物に108 mg/kg/day で体重増加抑制と吸収胚の増加がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2002)) との報告から、本項は区分2とした。なお、妊娠ウサギの器官形成期 (妊娠7~19日) に吸入ばく露した2つの発生毒性試験では、10 ppm までの濃度で母動物には鼻腔、眼などに顕著な刺激性の症状や組織変化がみられたものの、胎児には影響はみられなかった (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2002)) との報告がある。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
   実験動物ではラットの4時間単回吸入ばく露試験において、1.56 mg/L (269 ppm) で努力呼吸、体重減少が認められたとの報告 (SIDS (2002))、ラット、ウサギ、モルモット、イヌの6時間単回吸入ばく露試験において、1.4 mg/L (4時間換算値: 1.71 mg/L (294.9 ppm)) で、肺、胸郭、呼吸に変化がみられたとの報告 (SIDS (2002)) がある。これらの用量は区分1に相当する。また、経路や用量の詳細な記述がないため分類根拠としなかったが、本物質の毒性症状として、自発運動の低下、努力性呼吸、喘ぎ呼吸、呼吸促迫、筋力低下、けいれん、立毛、体温低下などが報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の情報を総合して、区分1 (呼吸器) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
   ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、ラット及びマウスを用いた13週間吸入毒性試験 (蒸気、6時間/日、60~61回ばく露) において、ラットでは区分1のガイダンス値の範囲内である20 ppm (ガイダンス値換算: 0.078 mg/L) で体重増加抑制、鼻腔の呼吸部の呼吸上皮の再生・過形成・扁平上皮化生・びらん、嗅部の嗅上皮の壊死・萎縮・再生、マウスでは区分1のガイダンス値の範囲内である1 ppm (ガイダンス値換算: 0.0039 mg/L) 以上で鼻腔の呼吸上皮、嗅上皮及び嗅腺の変化の報告がある (厚労省委託がん原性試験結果 (Access on June 2017))。別のラットを用いた13週間吸入毒性試験においても同様に区分1のガイダンス値の範囲内で呼吸器への影響が認められている (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、SIDS (2002)、NITE初期リスク評価書 (2008))。また、ラット、マウスを用いた104週間吸入毒性試験においても同様に区分1のガイダンス値の範囲内で呼吸器への影響が認められている (厚労省委託がん原性試験結果 (Access on June 2017)) 。
   ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である30 mg/kg/day (90日換算値: 15 mg/kg/day) 以上で前胃の扁平上皮増生、前胃粘膜下組織の水腫の報告がある (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、SIDS (2002)、NITE初期リスク評価書 (2008))。
   以上のうち、経口経路においてみられた所見は刺激性に起因したものと考えられることから分類根拠としなかった。したがって、区分1 (呼吸器) とした。
   なお、旧分類においてSIDS (2002) の実験動物についての中枢神経系、心血管系、肝臓、腎臓における損傷の記述について確認した結果、ラット、ウサギを用いた26週間吸入毒性試験において、肝臓・脾臓重量、血液及び組織中のアミノ基転移酵素、中枢神経系、心血管系、肝臓、腎臓の病変などの広範囲の慢性毒性影響がみられたが、原著者は高い蒸気圧、低い純度から、試験に用いた被験物質には本物質以外の物質を含み、それが観察された毒性に関与したかもしれないとしており (Ouyang Guoshun, et al., Gongye Weisheng Yu Zhiyebing, 16 (1), 1-6 (1990))、SIDS (2002) では観察されたこれらの全身毒性は疑わしいとしている。したがって、これらの所見については分類根拠としなかったことから旧分類と分類結果が変更となった。
   
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
   魚類(メダカ)96時間LC50 = 2.8 mg/L(環境省生態影響試験:2017、OECD SIDS:2000)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3
-
-
H412 P273
P501
   急速分解性があり(良分解性、BODによる平均分解率:93.5%(化審法DB:1991))、蓄積性がなく(LogKow:0.81 (SRC PhysProp Database:2017))、甲殻類(オオミジンコ)の 21日間NOEC(繁殖阻害) = 1.0 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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