GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 50-00-0
名称 ホルムアルデヒド
物質ID H29-B-039
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1


危険
H220 P210
P377
P381
P403
   爆発限界 (7~73% (GESTIS (Access on June 2017)) から区分1とした。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
5 高圧ガス 液化ガス


警告
H280 P410+P403    沸点-20℃ (ICSC (J) (2012)) であり、それ以下の温度域では常圧で部分的に液相が存在する。低圧液化ガス (臨界温度 137.2~141.2℃ (HSDB (Access on June 2017))。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
   GHSの定義におけるガスであるが、本物質の2~4%水溶液をラットに経口投与した試験のLD50値として、600~700 mg/kg及び800 mg/kg (いずれもSIDS (2003)) との報告がある。この報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
   GHSの定義におけるガスであるが、本物質の水溶液であるホルマリンを用いたウサギの経皮ばく露試験のLD50値として、270 mg/kg (HSDB (Access on June 2017)) との報告がある。この報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
   ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、480 ppm (SIDS (2003)) との報告に基づき、区分2とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。水溶液由来のミストの情報もないので分類できないとした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
   ヒトに対する本物質 (ガス) の短期ばく露の知見はないが、本物質に 2.4±0.49 ppm の濃度で15時間/日、2ヵ月間ばく露されたボランティアの試験で27%のボランティアに皮膚刺激がみられたとの報告がある (ATSDR Addendum (2010))。また、解剖学実験室に換気ファンを設置することにより本物質 (ガス) の濃度が2.70 ppmから0.715 ppmに低下した結果、皮膚炎の程度が減少したとの報告 (ATSDR Addendum (2010)) がある。これらの結果から区分2とした。なお、本物質の水溶液については、1%水溶液のヒト皮膚への閉塞適用で試験に参加した者の約5%に刺激性を示したとの記載や、0.1~20%水溶液がウサギの皮膚に軽度から中等度の刺激性を示したとの記載がある (いずれも EHC 89 (1989))。EU CLP分類において本物質はSkin Corr. 1B に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
   本物質 (ガス) に0.06 mg/m3 以上の濃度で短時間ばく露されたヒトに眼刺激性がみられた事例や、0.39~0.6 mg/m3 で8時間/週、8週間ばく露された医学生53人中9人で眼に灼熱感を認めたなど、本物質が眼刺激性を示す複数の事例 (EHC 89 (1989)) がある。また、マウスを用いた本物質 (ガス) 0.6 mg/m3 による眼刺激性試験において眼刺激性を示したとの記述 (EHC 89 (1989)) から、区分2とした。なお、本物質の水溶液については、ウサギを用いた眼刺激性試験で、5%及び15%水溶液がグレード8 (最大値10) の眼刺激性を示したとの記載 (EHC 89 (1989)) がある。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
   日本産業衛生学会において感作性物質の気道第2群に分類されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2007)) ことから、区分1とした。なお、マウス及びモルモットを用いた感作性試験において本物質が吸入性アレルゲンへの感作性を増強させたとの記述 (CICAD 40 (2002))、ヒトにおける本物質の継続ばく露による呼吸障害の発症などの複数の事例の記述 (DFGOT (2014) (Access on June 2017)) がある。
   
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
   日本産業衛生学会において感作性物質の皮膚第1群に分類されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2007)) ことから、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   In vivoでは、吸入ばく露、腹腔内投与によるラット、マウスの優性致死試験で弱陽性及び陰性の結果が得られているが、弱陽性の結果については遺伝毒性を示す証拠でないと評価されている (NITE初期リスク評価書 (2006)、ACGIH (7th, 2015)、NICNAS (2006)、ECETOC TR2 (1981))。本物質の蒸気によるヒトの職業ばく露事例で、鼻粘膜細胞に小核誘発が認められ、またラットの経口投与において胃腸管細胞に小核誘発が認められている (ATSDR (1999)、NITE初期リスク評価書 (2006)) が、マウスの腹腔内投与において骨髄細胞の小核試験は陰性である (NITE初期リスク評価書 (2006)、NICNAS (2006))。さらに、本物質の蒸気によるヒトの職業ばく露事例で末梢血リンパ球に染色体異常及び姉妹染色分体交換が、また、ラットの末梢血、肺細胞、マウスの脾臓リンパ球を用いた染色体異常試験で陽性結果が認められているが (CICAD 40 (2002)、NITE初期リスク評価書 (2006)、NICNAS (2006)、ATSDR (1999))、ラットの骨髄細胞、マウスの末梢血を用いた染色体異常試験、ラットの末梢血を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、マウス精母細胞の染色体異常試験で陰性の報告もある (NITE初期リスク評価書 (2006)、NICNAS (2006)、ATSDR (1999))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2006)、NICNAS (2006)、ATSDR (1999))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   多くの疫学研究から、ホルムアルデヒドは鼻咽頭がん及び白血病を生じること、また本物質へのばく露と副鼻腔がんとの間に正の相関のあることが報告されており、IARCはヒトでの発がん性について十分な証拠があると結論した (IARC 100F (2012))。実験動物でもラット、又はマウスに吸入ばく露した発がん性試験において、ラットで鼻腔の腫瘍 (主に扁平上皮がん、その他扁平上皮乳頭腫、ポリープ状腺腫・がんなど)、マウスで鼻腔の扁平上皮がん、リンパ腫がみられたとの報告など発がん性を示す十分な証拠があるとされた (IARC 100F (2012))。以上より、IARCは本物質をグループ1に分類した (IARC 100F (2012))。この他、EPAがB1に (IRIS (1989))、NTPがKに (NTP RoC (14th, 2016))、ACGIHがA1に (ACGIH (7th, 2017))、EUがCarc. 1Bに (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))、日本産業衛生学会が第2群Aに (許容濃度の勧告 (2016): 1991年提案) それぞれ分類している。以上、既存分類結果からは区分1A又は区分1Bとなるが、IARC、ACGIH等の分類結果を優先し、区分1Aとした。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- -    ホルムアルデヒドにばく露された女性作業者では妊娠期間の増加がみられたとの報告、及びばく露された作業者において女性の妊娠及び男性の精子数及び精子の形態には対照群との間に差はなかったとの報告はいずれも研究計画等の制限から信頼性のある結論を導けないとNICNASは記述している (NICNAS (2006))。実験動物では妊娠ラットに吸入ばく露した2つの発生毒性試験において、母動物に体重増加抑制が生じる濃度 (10 ppm、39 ppm) で胎児には軽微な影響 (胎児体重の低値) がみられただけであり (CICAD 40 (2002)、NITE初期リスク評価書 (2006))、その他、妊娠マウスに飲水投与した試験でも母動物の致死量でも発生影響はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2006))。NICNASはヒト及び実験動物のデータに基づくと、ホルムアルデヒドは生殖毒性物質、発生毒性物質としての分類基準を満たさないと結論している (NICNAS (2006))。また、ACGIHにはホルムアルデヒドによるばく露が動物やヒトに有害な生殖発生影響を生じるという決定的な証拠はないとの記述がある (ACGIH (7th, 2015))。
   以上、ヒトの情報は不十分で、かつ実験動物では発生影響はないと考えられるものの、生殖能・性機能に関する情報が欠落している。したがって、データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
   ヒトでは本物質の急性吸入ばく露により、鼻、喉の刺激を生じ、濃度依存的に不快感、流涙、くしゃみ、咳、吐き気、呼吸困難を伴い、死に至る場合もあるとの記載がある (NITE初期リスク評価書 (2006))。鼻及び喉への刺激性は0.6 mg/m3 (0.48 ppm) 以上で認められたと報告されている (NITE初期リスク評価書 (2006))。実験動物では、ラットの単回吸入ばく露試験で、10 ppm、4時間の吸入ばく露で鼻腔粘膜における線毛損傷、細胞の腫脹、杯細胞の粘液分泌が認められたとの報告がある (SIDS (2003))。また、別のラットの30分単回吸入ばく露試験で、120 mg/m3 (100 ppm相当。4時間換算値: 35.36 ppm) 以上で流涎、呼吸困難、嘔吐、筋肉及び全身の痙攣、死亡がみられ、病理組織学的解析の結果、気道の炎症、細気管支肺胞部の狭窄、肺水腫が認められたとの報告がある (SIDS (2003)、EHC 89 (1989)、NITE初期リスク評価書 (2006))。実験動物で影響がみられた用量は、区分1範囲に該当する。したがって区分1 (神経系、呼吸器) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
   ヒトについては、0.07~0.7 ppm のホルムアルデヒドに10.5年間ばく露された75名の木製品製造労働者に、鼻粘膜上皮の線毛消失及び杯細胞過形成 (11%)、扁平上皮化生 (78%) 及び軽度の異形性 (8%) 等が観察されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2007)) 等、鼻腔の刺激が複数報告されている。また、職業的にホルムアルデヒドにばく露された組織学研究所の技術者において、ふらつき、めまい、平衡感覚の消失、手先の器用さの低下がみられたとの報告もある (ACGIH (7th, 2015))。
   実験動物については、ラットを用いた蒸気による13週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲内である3.6 mg/m3 (90日換算値: 0.0026 mg/L) 以上で鼻部前方に局所的に扁平上皮過形成・化生・配列不正の報告 (NITE初期リスク評価書 (2006)、CICAD 40 (2002)、CaPSAR (1999)、EHC 89 (1989))、ラット、マウスを用いた蒸気による2年間吸入毒性試験において、ラットでは区分1のガイダンス値の範囲内である2 ppm (0.0025 mg/L) 以上で鼻腔の上皮異形成、扁平上皮化生、鼻炎、杯細胞過形成、15 ppm (0.018 mg/L) で嗅上皮萎縮、過角化、扁平上皮異形性、呼吸上皮過形成、嗅上皮の杯細胞化生・扁平上皮過形成、気管の上皮異形成・扁平上皮化生、骨髄の過形成、マウスでは区分1のガイダンス値の範囲内である6 ppm (0.0074 mg/L) 以上で鼻腔の上皮異形成、扁平上皮化生、15 ppm (0.018 mg/L) で鼻炎、嗅上皮萎縮、鼻涙管の上皮過形成の報告がある (ECETOC TR6 (1982))。また、経口経路では、ラットを用いた飲水投与による24ヵ月間反復経口投与毒性試験において区分2のガイダンス値の範囲内である1,900 mg/L (82 mg/kg/day) で腺胃の過形成、前胃の限局性角化亢進、胃炎がみられている (NITE初期リスク評価書 (2006)、CICAD 40 (2002)、CaPSAR (1999)、環境省リスク評価第1巻 (2002))。
   以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器) とした。なお、経口経路での胃の所見は刺激に起因したと考えられるため分類根拠としなかった。
   
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
   甲殻類(オオミジンコ)24時間LC50 = 2 mg/L(WHO EHC:1989)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3
-
-
H412 P273
P501
   急速分解性があり(良分解性、BODによる分解率:91%(化審法DB:1989))、蓄積性がないが(LogKow:0.35 (PHYSPROP Database:2017))、甲殻類(ニセネコゼミジンコ)の 7日間NOEC(生残率) = 1.0 mg/L(NICNAS PEC:2006)であることから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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