GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 122-60-1
名称 2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテル (別名:フェニルグリシジルエーテル)
物質ID H29-B-043
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-
-
- -    引火点が114℃ (closed cup) (ICSC (J) (2005)) である。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- -    自己反応性に関連する原子団 (化学構造に歪みのある環) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- -    発火点は430℃ (GESTIS (Access on June 2017)) であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- -    ラットのLD50値として、2,600 mg/kg、3,850 mg/kg (雄)、4,260 mg/kg (雄) (いずれもDFGOT vol. 4 (1992)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。ガイダンスに従い、旧分類から区分を変更した。
1 急性毒性(経皮) 区分4


警告
H312 P302+P352
P362+P364
P280
P312
P321
P501
   ウサギのLD50値として、1.5 mL/kg (1,655 mg/kg) (雄)、2,990 mg/kg (いずれもDFGOT vol.4 (1992)) の2件の報告があり1件が区分4、1件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
   ヒトにおける皮膚刺激性を示す記述 (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、NITE初期リスク評価書 (2008))、及びウサギによる皮膚刺激性試験で軽度の皮膚刺激性を示したとの報告 (ACGIH (7th, 2014)) から、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Irrit. 2 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
   本物質は眼に対して刺激性があるとの記述 (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2014))、及びウサギを用いた眼刺激性試験において中等度の刺激性を生じたとの報告 (NITE初期リスク評価書(2008)) から、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
   ヒトにおいて本物質の皮膚感作性を示す複数の事例の報告 (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、NITE初期リスク評価書 (2008))、及びモルモットを用いた複数の皮膚感作性試験において陽性を示した (NITE初期リスク評価書 (2008)) ことから、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、ラットの優性致死試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、マウスの精巣を用いたDNA合成試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2014)、PATTY (6th, 2012)、IARC 47 (1989))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2014)、PATTY (6th, 2012))。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ラットに本物質を2年間吸入ばく露した発がん性試験において、高用量 (12 ppm) 群では雌雄とも鼻腔前部に類表皮がん発生率の有意な増加が認められた (IARC 47 (1989)、ACGIH (7th, 2014))。この結果を基に、実験動物では発がん性の十分な証拠があるとして、IARCはグループ2Bに分類した (IARC 47 (1989)、IARC 71 (1999))。この他、ACGIHがA3に (ACGIH (7th, 2014))、EUがCarc. 1Bに (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))、日本産業衛生学会が第2群Bに (許容濃度の勧告 (2016); 1991年提案) それぞれ分類している。EUの分類結果の根拠は不明で、他の複数の機関による分類結果に基づき、本項は区分2とした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   雄ラットに本物質を19日間吸入ばく露後に無処置雌と交配させ、雄の授精能を評価した試験において、1、5、及び12 ppmの各ばく露群で各1/8例に精細管の変性がみられ、高用量 (12 ppm) 群で授精率の低下が認められた (ACGIH (7th, 2014)、IARC 47 (1989)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。一方、妊娠ラットに本物質を吸入ばく露 (妊娠4~15日) した発生毒性試験では、母動物、胎児ともに12 ppm までの用量で影響はみられなかった (ACGIH (7th, 2014)、IARC 47 (1989)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。
   以上、雄ラットでの授精率低下を基に、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)、区分3(麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
   ラット及びマウスの単回経口投与試験において、呼吸困難と中枢神経系抑制が起こり、死亡は呼吸筋の麻痺によるものであったとの報告がある (DFGOT vol. 4 (1992)、ACGIH (7th, 2014))。これらの症状がみられた用量の詳細な記載はないが、LD50値はラットで区分2超の3,850 mg/kg、マウスで区分2範囲の1,400 mg/kgと報告されており、区分2~区分2超の用量でみられた影響である可能性が高いと考えられる。また、ラット及びマウスを用いた単回吸入試験で、区分1範囲の100 ppm、4時間の吸入により、死亡例はなかったが、呼吸困難、流涙、鼻汁、流涎、空気嚥下がみられ、剖検では間質性肺炎と診断された肺の刺激所見が認められたとの報告がある (DFGOT vol. 4 (1992)、ACGIH (7th, 2014))。以上より区分1 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。旧分類が使用したCERIハザードデータ集は現行ガイダンスではList 3の資料であり、また、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004) のヒトでの影響の情報は原典がList 3の資料のICSCで詳細不明であるため、不採用とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
   ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、ラットを用いた蒸気による24ヵ月間吸入毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内 (蒸気) である12 ppm (0.075 mg/L) で鼻腔前部で呼吸粘膜上皮の炎症、扁平上皮化生がみられている (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、DFGOT vol. 4 (1992)、ACGIH (7th, 2014))。
   以上から区分1 (呼吸器) とした。
   なお、旧分類で肝臓の根拠となった肝細胞壊死がみられた報告は、ラットを用いた10週間吸入毒性試験であったが1日当たりのばく露時間の記載がなく、原著 (Hine et al., 1956) の確認においても試験データが確認できなかった。また、NITE初期リスク評価書 (2008) には、「Terrill and Lee (1977) は、Hine ら (1956) の試験では濃度の算出根拠として、蒸気圧0.01 mmHg (25℃) であるのを蒸気圧0.1 mmHg (25℃) として計算されており、その数値に不確実性があると述べている」との記載があることから、不確実であったため、分類根拠としなかった。したがって、旧分類と分類結果が異なった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
   魚類(キンギョ)96時間LC50 = 43 mg/L(ECETOC TR91:2003, NITE初期リスク評価書 :2008)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- -    慢性毒性データが得られていない。急速分解性があり(良分解性、BODによる平均分解度:51%、LCによる平均分解度:98%(化審法DB:1982)、蓄積性がない(LogKow:1.61 (PHYSPROP Database:2017))ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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