GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 2104-64-5
名称 O-エチル=O-4-ニトロフェニル=フェニルホスホノチオアート (別名: EPN)
物質ID H29-B-046
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない
-
-
- -    爆発性に関連する原子団 (ニトロ基) を含み、酸素収支の計算値が-153で判定基準の-200より高いが、分解開始温度および分解エネルギーのデータがなく分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- -    可燃性 (ICSC (J) (2008)) との情報があるが、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- -    爆発性に関連する原子団 (ニトロ基) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- -    水溶解度3.11 mg/L (20~25℃) (HSDB (Access on June 2017)) との測定結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- -    フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    融点が55℃以下の物質ではあるが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
   ラットのLD50値として、7.7 mg/kg (雌)、36 mg/kg (雄) (ACGIH (7th, 2003))、24 mg/kg (雌)、36 mg/kg (雄) (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2017)) との報告に基づき、区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
   ラットのLD50値として、533 mg/kg (雌)、2,850 mg/kg (雄) (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2017)) の2件の報告があり、各々区分3及び区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
   ラットを用いた45%乳剤エアロゾルの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、0.121 mg/L (雌)、0.315 mg/L (雄) (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2017)) (数値は有効成分濃度の換算値) との報告に基づき、区分2とした。旧分類が用いた環境省リスク評価書第4巻 (2005) のデータは、出典がList 3の情報源のRTECSであり、詳細不明なため不採用とした。新たな情報源の使用により区分を変更した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- -    ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質原体、45%乳剤、1.5%粉剤を適用した試験で軽度の刺激性又は刺激性なしとの報告がある (農薬抄録 (2008)) ことから、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
   ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質原体及び45%乳剤を適用した場合に眼刺激性を認め、1.5%粉剤を適用した場合に極く軽度の眼刺激性を認めて、いずれも7日間の観察期間内で回復しているとの報告 (農薬抄録 (2008)) から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    モルモットを用いた皮膚感作性試験において、感作性は認められなかったとの報告 (食品安全委員会農薬評価書 (2017))、及び本物質原体を適用した場合に皮膚感作性は認められなかったが、45%乳剤及び1.5%粉剤を適用した場合は中等度の感作性を認めたとの報告 (農薬抄録 (2008)) から、分類できないとした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2017))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験で陽性、陰性の結果である (ACGIH (7th, 2003)、農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2017)、HSDB (Access on June 2017))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    ラットに最大75 ppmを2年間、マウスに最大125 ppmを18ヵ月間混餌投与した発がん性試験で、投与に関連した腫瘍性病変の頻度の増加はみられなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2017))。また、ラットに最大225 ppm (雌) 又は450 ppm (雄) を2年間混餌投与した試験でも発がん性の証拠は認められなかった (ACGIH (7th, 2003))。ACGIHは本物質の発がん性をA4に分類しており (ACGIH (7th, 2003))、本項は分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ラットを用いた混餌投与による2世代試験において、F0及びF1親動物には15 ppm以上 (F1雄親動物のみ75 ppm) で体重増加抑制がみられ、F1及びF2児動物には75 ppm で生存率低下がみられた (食品安全委員会農薬評価書 (2017)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性シート (2005))。一方、妊娠ラット及び妊娠ウサギの器官形成期に強制経口投与した発生毒性試験においては、母動物に振戦、虚脱などの症状 (ラット)、又は体重増加抑制 (ウサギ) がみられる用量でも、胎児には無影響 (ラット) 又は軽微な影響 (ウサギ、低体重) に限られた (食品安全委員会農薬評価書 (2017)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。また、妊娠ラットの妊娠6日~哺育10日まで強制経口投与した神経発達毒性試験で、母動物に振戦、体重増加抑制がみられた4.0 mg/kg/day においても神経発達毒性は検出されなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2017))。以上、本物質は発生毒性試験及び神経発達毒性試験では影響は検出されなかったが、ラット2世代試験で親動物毒性用量で児動物の生存率低下を生じたことから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
   本物質は有機リン系殺虫剤であり、コリンエステラーゼ阻害作用を示す (食品安全委員会農薬評価書 (2017)、ACGIH (7th, 2003))。ヒトでは本物質の中毒症状として、流涎、流涙、尿と便失禁、胸のしめつけ感、疲労感、虚弱、体重減少、筋萎縮、眼の中膜の退色が現れ、これらの症状は神経障害によるものであり、急性又は慢性ばく露後、複数年に亘ってみられるとの報告がある (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。したがって区分1 (神経系) とした。なお、実験動物では、ラットの単回経口投与試験において、5 mg/kg以上で、自発運動の低下、流涙、流涎、尿量増加、血圧低下、緩徐呼吸、感覚受容の低下や顕著な活動低下、致死量の20 mg/kg以上で、これらの症状に加えて、協調不能、円背位、振戦、嗜眠が認められたとの報告がある (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2017))。旧分類は分類結果に区分3 (麻酔作用) も含めていたが、情報源の農薬登録申請資料 (1994) は入手不能で詳細が確認できず、農薬抄録 (2008) 及び食品安全委員会農薬評価書 (2017) の報告では嗜眠が認められた用量は致死量であるため、不採用とした。したがって旧分類から分類結果を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液系、神経系、肝臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
   ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、ラットを用いた混餌による90日間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である25 ppm (雄: 1.48 mg/kg/day、雌: 1.89 mg/kg/day) 以上で赤血球コリンエステラーゼ活性阻害 (20%以上)、区分1のガイダンス値の範囲内あるいは上限近傍である125 ppm (雄: 7.34 mg/kg/day、雌: 11.6 mg/kg/day) で赤血球数・ヘモグロビン量・ヘマトクリット値・血糖減少、脳コリンエステラーゼ活性阻害、脾臓のヘモジデリン沈着がみられ、イヌを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である3.0 mg/kg/dayで赤血球数・ヘマトクリット値減少、脳・赤血球コリンエステラーゼ活性阻害、肝臓クッパー細胞色素沈着等がみられている (食品安全委員会農薬評価書 (2017))。
   ラットを用いた90日間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲である0.0008 mg/L (90日換算: 0.00058 mg/L) 以上の雌、0.008 mg/L (90日換算: 0.0058 mg/L) の雄で赤血球コリンエステラーゼ活性阻害がみられている (食品安全委員会農薬評価書 (2017))。
   ラットを用いた21日間経皮ばく露毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲である1.5 mg/kg/day (90日換算: 0.35 mg/kg/day) 以上で赤血球コリンエステラーゼ活性阻害、5.0 mg/kg/day (90日換算: 1.2 mg/kg/day) 以上で脳コリンエステラーゼ活性阻害、15.0 mg/kg/day (90日換算: 3.5 mg/kg/day) で振戦、円背位、削そう、体重増加抑制、多巣性肝細胞変性・壊死等がみられている (食品安全委員会農薬評価書 (2017))。
   以上、経口経路では血液系、神経系、吸入経路では神経系、経皮経路では神経系、肝臓に対する影響がみられ、いずれも区分1のガイダンス値の範囲内であったことから、区分1 (血液系、神経系、肝臓) とした。
   新たな情報源を用いたことから旧分類と分類結果が異なった。
   
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
   甲殻類(オオミジンコ)26時間EC50(遊泳阻害)= 0.00006 mg/L(環境省環境リスク評価(第2巻):2003)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
   慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:3%(化審法DB:1983))、魚類(ファッドヘッドミノー)の31-34日間NOEC(成長)= 0.0111 mg/L(環境省環境リスク評価(第2巻):2003)であることから、区分1となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:3%(化審法DB:1983))、甲殻類(オオミジンコ)26時間EC50(遊泳阻害)= 0.00006 mg/L(環境省環境リスク評価(第2巻):2003)であることから、区分1となる。
   以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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