GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 98-86-2
名称 アセトフェノン
物質ID H29-B-057
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4
-
警告
H227 P370+P378
P403+P235
P210
P280
P501
   引火点が77℃ (closed cup) (GESTIS (Access on June 2017)) である。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- -    発火点は535℃ (GESTIS (Access on June 2017))であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内にーO-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
   ラットのLD50値として、900 mg/kg、900 mg/kg、3,000 mg/kg、3,200 mg/kg (いずれもPATTY (6th, 2012)) の4件のデータが報告されている。うち2件が区分4、2件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- -    モルモットのLD50値として、> 20 mL/kg (比重1.03より> 20,600 mg/kg) (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。ラットに本物質の飽和蒸気 (約430 ppm、2.11 mg/L) を8時間吸入ばく露した試験 (4時間換算値: 608 ppm) で、死亡例はなかったとの報告 (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2009)) があるが、このデータのみでは区分を特定できないため、分類できないとした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (524 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
   本物質は皮膚刺激性を有するとの記述 (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2017)) から、区分2とした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
   ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質の適用24時間後の評価で強い刺激性を示したとの記述 (PATTY (6th, 2012)) から、区分2Aとした。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない
   
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    モルモットを用いた皮膚感作性試験において、2件の試験 (ドレイズ変法及びマキシマイゼーション法) ともに陰性との報告 (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2009)) があるが、ヒトでの情報が得られなかったため、分類できないとした。情報源の内容を見直して旧分類から区分を変更した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (IRIS (1988)、PATTY (6th, 2012))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    ヒト、実験動物ともに利用可能な試験データはないが、EPAがグループDに分類している (IRIS (1988)) ことから、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   本物質を雌ラットに交配14日前から哺育3日まで強制経口投与した結果、母動物には毒性症状として225 mg/kg/day 以上で尿による汚染、自発運動の低下、皮膚の蒼白化、被毛粗剛など、750 mg/kg/day で不安定歩行がみられた。児動物への影響としては750 mg/kg/day 群で出生率の低下、及び哺育 4 日までの生存児数の減少が認められた (ACGIH (7th, 2009)、環境省リスク評価第7巻:暫定的有害性評価シート (2009))。以上、母動物毒性発現量で次世代への影響がみられたことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用)


警告
H335
H336
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
   ヒトでは本物質が19世紀に麻酔薬として用いられたとの記述がある (ACGIH (7th, 2001))。実験動物では、マウスの単回経口投与試験で、毒性症状は中枢神経系の抑制であったとの報告がある (ACGIH (7th, 2009)、PATTY (6th, 2012))。吸入経路では、マウスを用いて本物質の刺激性を評価する試験で、蒸気の短時間 (5分間) の吸入ばく露に反応した呼吸数の低下を測定したところ、RD50値は500 mg/m3であったとの報告がある (ACGIH (7th, 2009)、PATTY (6th, 2012))。以上より区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、マウスの試験で本物質の皮下注射又は静脈注射による投与は催眠効果を示し、腹腔内投与では400~500 mg/kgで明確な催眠効果が認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2009))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- -    ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、ラットを用いた混餌による17週間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲を超える1% (揮発のため0.845% (423 mg/kg/day)) においても影響はみられていない (環境省リスク評価第7巻:暫定的有害評価シート (2009)、ACGIH (7th, 2009)、IRIS (1988)、PATTY (6th, 2012))。また、ラットを用いた強制経口投与による4週間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である75 mg/kg/day (90日換算: 23 mg/kg/day) 以上の雄で硝子滴腎症、225 mg/kg/day (90日換算: 70 mg/kg/day) 以上で尿による汚れ、流涎、区分2のガイダンス値の範囲を超える750 mg/kg/day (90日換算: 233 mg/kg/day) で体重の低値、前肢握力低下、自発運動低下、不安定歩行の報告がある (環境省リスク評価第7巻:暫定的有害評価シート (2009)、ACGIH (7th, 2009))。このほか、マウスを用いた蒸気による14日間吸入毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である300 ppm (ガイダンス値換算: 0.23 mg/L) で気管に影響はみられていないとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
   以上、神経系に対する影響の報告があるが、区分2のガイダンス値の範囲を超える用量であった。
   したがって、分類できないとした。
   なお、新たな情報源を用いたため旧分類と分類結果が変更となった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
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- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
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- -    魚類(ファッドヘッドミノー)96時間LC50 = 162 mg/L(ECETOC TR91:2003)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
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- -    信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性があり(良分解性、BODによる分解度:64.7%(化審法DB:1977))、蓄積性がなく(LogKow:1.58 (PHYSPROP Database:2017))、急性毒性区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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