GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 75-25-2
名称 トリブロモメタン
物質ID H29-B-065
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
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OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-
-
- -    不燃性である (ICSC (J) (2009))。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- -    不燃性である (ICSC (J) (2009))。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- -    不燃性である (ICSC (J) (2009))。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
   ラットのLD50値として、933 mg/kg (雌雄) (DFGOT vol. 7 (1996)、ATSDR (2005)、NITE有害性評価書 (2008))、1,147 mg/kg (雌)、1,388 mg/kg (雄) (DFGOT vol. 7 (1996)、ATSDR (2005))、2,040 mg/kg (雄)、2,440 mg/kg (雌) (NITE有害性評価書 (2008)) との5件の報告があり、3件が区分4、2件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。件数の多い区分を採用し、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
   ヒトに対して皮膚への刺激がみられるとの記述 (NITE初期リスク評価書 (2007)) 、及びウサギを用いた皮膚刺激性試験において中等度の刺激性を示すとの記述 (PATTY (6th, 2012)) から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
   ウサギを用いた眼刺激性試験で、中等度の眼刺激性を示したが1~2日で回復したとの記述 (PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2007)) から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果、ラットの肝臓、腎臓を用いたDNA損傷試験で陰性、ラットの肝臓を用いた不定期DNA合成試験で陰性である (NITE有害性評価書 (2008)、IARC 71 (1999)、ACGIH (7th, 2015)、ATSDR (2005)、DFGOT vol. 7 (1996))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (NITE有害性評価書 (2008)、IARC 71 (1999)、ACGIH (7th, 2015)、ATSDR (2005)、DFGOT vol. 7 (1996)、PATTY (6th, 2012)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1997))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ラット及びマウスに2年間強制経口投与した発がん性試験において、マウスには腫瘍発生頻度の増加はみられなかったが、ラットでは大腸 (結腸・直腸) に腺腫様ポリープ又は腺がんが投与群の雄で3/50例 (6%) に、雌で9/50例 (18%) に認められた (大腸腫瘍の背景頻度は0.2%以下)。NTPは本物質投与による発がん性は雄ラットである程度の証拠、雌ラットで明らかな証拠があると結論した (NTP TR350 (1989))。既存分類としてはIARCが実験動物での発がん性の証拠は限定的としてグループ3に分類した (IARC 71 (1999)) のに対し、EPAは実験動物では発がん性の十分な証拠があるとして、B2 (Probably human carcinogen) に分類した (IRIS (1993)) 。また、ACGIHはラットの投与群における大腸の腺腫様ポリープ及び腺がん発生頻度の有意な増加を根拠にA3に分類している (ACGIH (7th, 2015))。
   以上、実験動物1種での陽性結果であること、及び最新のACGIHの分類結果に基づき、本項は区分2が妥当と判断した。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   マウスを用いた強制経口投与による連続交配試験において、F1世代では一般毒性影響 (体重増加抑制 (雄)、腎臓重量減少及び肝臓重量増加 (雌雄)) がみられた 200 mg/kg/day で、生殖能への影響はなかったものの、F1児動物に生存率低下がみられた (DFGOT vol. 7 (1993)、PATTY (6th, 2012)、IRIS (1993)、NITE初期リスク評価書 (2007))。また、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) に強制経口投与した2つの発生毒性試験のうち、1つは200 mg/kg/day までの用量で母動物毒性はなく、胎児にも軽微な影響 (骨格変異) がみられただけであった (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、DFGOT vol. 7 (1996)、ATSDR (2005)) が、他の1試験では母動物への200 mg/kg/day 投与で全同腹児吸収 (Full-litter resorption) がみられた (食品安全委員会清涼飲料評価書 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2007)) との報告がある。
   以上、マウスの連続交配試験において親動物への一般毒性用量で児動物に生存率低下がみられたこと、及び妊娠ラットを用いた発生毒性試験において母動物毒性が不明な状況で全同腹児吸収がみられたことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用)



危険
警告
H370
H335
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
   ヒトでは本物質の吸入ばく露により、気道、咽頭、喉頭の刺激及び流涙、流涎を生じるとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。また、誤飲により昏睡と反射消失を伴う中枢神経系抑制がみられ、低用量では倦怠感、頭痛、めまいが認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001)、NITE有害性評価書 (2008))。実験動物ではラットの単回経口投与試験で、立毛、鎮静、筋弛緩、運動失調、虚脱がみられ、剖検では肝臓にうっ血と肥大、腎臓にうっ血、肥大、限局性間質性腎炎及び線維症が認められたとの報告がある (NITE有害性評価書 (2008))。また、マウスの単回経口投与試験で、致死量の投与直後に中枢神経系の抑制 (運動失調、鎮静、麻痺) がみられ、剖検では肝臓の脂肪浸潤、腎臓の退色、脳、肺、副腎の出血が認められたとの報告がある (NITE有害性評価書 (2008))。以上の情報を総合して、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。旧分類は呼吸器も標的臓器としていたが、根拠とされたヒトでの肺水腫の情報 (NITE有害性評価書 (2004)) は詳細が不明であるため採用しなかった。また、肝臓に関しては、旧分類が根拠としたヒトでの肝障害作用の情報 (NITE有害性評価書 (2004)) は詳細が不明であり、実験動物の剖検所見は死亡動物のものである可能性があることから根拠としなかった。したがって旧分類から分類結果を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓)、区分2(中枢神経系)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
   ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、ラットを用いた13週間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である12 mg/kg/day (90日換算: 8.7 mg/kg/day) 以上で肝細胞の空胞化、区分2のガイダンス値の範囲内である100 mg/kg/day (90日換算: 72.2 mg/kg/day) 以上で嗜眠がみられたとの報告がある (NITE有害性評価書 (2008)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、PATTY (6th, 2012)、NTP TR350 (1989))。このほか、13週間以上の複数の反復経口投与試験 (マウスの13週間試験、マウス、ラットの103週間試験) において主に肝臓に区分2のガイダンス値の範囲内で影響が報告されている (NITE有害性評価書 (2008)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、PATTY (6th, 2012)、NTP TR350 (1989))。また、マウスを用いた14日間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である145 mg/kg/day (90日換算: 22.6 mg/kg/day) 以上で肝臓の限局性炎症と肝細胞の有糸分裂像増加、腎臓の尿細管上皮の過形成、糸球体の変性がみられ、別のマウスを用いた14日間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である600 mg/kg/day (90日換算: 93.3 mg/kg/day) 以上で嗜眠、運動失調、死亡がみられ、ラットを用いた14日間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である400 mg/kg/day (90日換算: 62.2 mg/kg/day) 以上で体重増加抑制、甲状腺肥大、嗜眠、運動失調、死亡がみられている (NITE有害性評価書 (2008)、NTP TR350 (1989))。
   以上より、主に肝臓へ影響がみられ、中枢神経系への影響も示唆されることから区分1 (肝臓)、 区分2 (中枢神経系) とした。
   なお、マウスを用いた14日間経口投与毒性試験においてみられた腎臓への影響、ラットを用いた14日間経口投与毒性試験においてみられた甲状腺への影響は、13週間以上の複数の反復経口投与試験では、ガイダンス値の範囲内においてみられていないことから分類根拠としなかった。したがって、旧分類と分類結果が異なった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
   魚類(シップヘッドミノー)96時間LC50 = 7.1 mg/L(環境省環境リスク評価(第2巻):2003、ECETOC TR91:2003)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3
-
-
H412 P273
P501
   慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODの結果なし、GCによる平均分解度:0%(化審法DB:1986))、魚類(シップヘッドミノー)の28日間NOEC(生存率)= 4.8 mg/L(環境省環境リスク評価(第2巻):2003、ECETOC TR91:2003)であることから、区分外となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODの結果なし、GCによる平均分解度:0%(化審法DB:1986))、甲殻類(アミ)96時間LC50 = 24.4 mg/L(NITE初期リスク評価書 :2007)であることから、区分3となる。
   以上の結果から、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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