GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 8001-54-5
名称 塩化ベンザルコニウム
物質ID H29-B-091
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成23年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- -    難燃性 (GESTIS (Access on September 2017)) との情報があるが、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    酸素、フッ素を含まず、塩素を含む有機物であり、この塩素が炭素及び水素以外の元素 (N) とイオン結合しているが、これは酸化性に寄与しない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
   ラットのLD50値として、240 mg/kg (IPCS, PIM G022 (1998))、304.5 mg/kg (82.26%製剤、100%換算値: 250 mg/kg) (EPA Pesticide (2006)) との報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
   ラットのLD50値として、930 mg/kg (82.26%製剤、100%換算値: 765 mg/kg) (EPA Pesticide (2006))、1,560 mg/kg (IPCS, PIM G022 (1998)) との報告があり、1件が区分3、1件が区分4に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
   ラットを用いた本物質のエアロゾルの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、0.053 mg/L (HSDB (Access on August 2017)) との報告に基づき、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
   本物質が皮膚に対して腐食性又は強い刺激性を示すとの報告 (NICNAS IMAP (Access on September 2017)、IPCS, PIM G022 (1998)、EPA Pesticide (2006)) や、ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OPPTS 870.2500) で腐食性を示したとの報告 (EPA Pesticide (2006)) から、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
   皮膚腐食性/刺激性が区分1に分類されている。また、ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) で、ウサギ3匹の結膜嚢に本物質の10%溶液を 0.1 mL適用した結果、全ての動物に角膜、虹彩、結膜への重度の障害が生じ、角膜 (角膜混濁、角膜の障害) と虹彩 (虹彩炎) は観察期間終了の21日目まで障害は持続し、結膜の発赤と浮腫は3匹中2匹が21日目まで障害が持続し、MMAS (刺激性スコア: AOIに相当) は108 (最大値110) であったとの報告 (ECETOC TR48(2) (1998)) がある。よって、区分1とした。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
   本物質の長期間のばく露により職業性喘息を発症したとの記載 (IPCS, PIM G022 (1998)) がある。よって、区分1とした。情報源の内容を見直して旧分類から区分を変更した。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
   2人の医師が本物質を含む消毒液に浸した器具を扱うことにより感作され、本物質を含む目薬によりアレルギー性結膜炎を発症したとの報告 (IPCS, PIM G022 (1998)、NICNAS IMAP (Access on September 2017)) や、本物質を6%含む皮膚軟化剤の使用歴を有し、屈側型湿疹 (flexural eczema) を発症した6人の患者全てがパッチテストにより本物質に対するIV型アレルギーであったとの報告 (HSDB (Access on August 2017))、また本物質は感作性物質としてContact Dermatitis (Frosch) (5th, 2011) に掲載されていることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、ヒト末梢血の小核試験で陽性である (HSDB (Access on August 2017))。なお、旧分類のin vivo変異原性試験の陰性結果は確認できなかった。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    EPAは本物質はラット及びマウスで発がん性を示さないと結論した (EPA Pesticide (2006))。また、8,5%ないし17%の本物質溶液をマウスに80週間、ウサギに90週間経皮適用 (0.2 mL) した結果、いずれの動物種も適用部位に潰瘍及び炎症が生じたが、腫瘍の発生はみられなかったとの報告がある (HSDB (Access on August 2017))。国際機関による既存分類結果はない。以上、実験動物を用いた経口及び経皮経路での試験結果はいずれも陰性であった。ただし、本物質は刺激性物質であるが、吸入経路での発がん性情報がないため、区分外とせず分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- -    雌ラットに本物質25~200 mg/kg を単回膣内投与し、妊娠21日に屠殺した結果、母動物には100 mg/kg以上で体重増加抑制、及び膣炎、200 mg/kgで着床数の減少がみられ、胎児には50 mg/kg以上で用量依存的な生存児数の減少、100 mg/kg以上で胸骨の異常 (欠損、配列不整) 頻度の増加がみられた (HSDB (Access on August 2017))。しかし、このデータは投与経路が特殊で分類に利用するのは適切でないと考えられる。この他、利用可能なデータは得られず、データ不足のため分類できないとした。なお、旧分類が区分2の分類根拠として採用したEMEA (1997) は入手できず、分類結果が変わった。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器)


警告
H371 P308+P311
P260
P264
P270
P405
P501
   ヒトでは、誤飲により本物質の11%溶液を摂取した生後2ヵ月半の双生児が、24時間以内に発熱、脱水、咳、流涎、口腔及び咽頭の多数の病変を生じ、うち一人は化学性肺炎を発症したが、2人とも治療により回復したとの報告がある (IPCS, PIM G022 (1998))。実験動物では、ラットに本物質のエアロゾル0.03 mg/Lを6時間単回吸入ばく露した試験で、肺の重量増加に加えて、気管支肺胞洗浄液中の総蛋白量、ヒアルロン酸量、LDH活性、IL-6及びIgE量の増加といった強い炎症反応ならびに刺激性反応が認められたとの報告がある (HSDB (Access on August 2017))。この試験の用量の4時間換算値は0.045 mg/Lとなり、ガイダンスの区分1に相当する。ヒトの症例は吸引性呼吸器有害性 (誤嚥有害性) に該当するため、本項での分類根拠とはしなかった。動物での肺への影響の用量は、ガイダンス値から判断すると区分1相当であるが、List 2のデータであって、判定基準1b3) (OECD TG試験かつGLP適合試験) を満たさないため、ガイダンスに従って、区分2 (呼吸器) とした。旧分類は同じラットの試験結果に基づいて区分2 (肺) としていたが、呼吸器としての分類が妥当と考えられるため、分類結果を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- -    ヒトについては、関連する報告はないが、長期間のばく露後に職業性喘息が報告されている (IPCS, PIM G022 (1998))。
   実験動物については、ラットを用いた12週間強制経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の上限である100 mg/kg/dayで死亡 (2例)、体重増加抑制の報告があるが、病理学的検査を含む他の検査指標に悪影響は報告されていない (HSDB (Access on August 2017))。イヌを用いた52週間強制経口投与毒性試験において、12.5 mg/kg/day以上で小腸の中等度から重度の刺激及び亜急性炎症、25 mg/kg/day以上で死亡、胃及び小腸のうっ血の報告がある (HSDB (Access on August 2017))。
   以上のうち、ラットの試験の死亡は、病理学的検査を含む他の検査指標に悪影響が報告されていないことから分類根拠としなかった。また、イヌの試験での消化器への影響は刺激性に起因したものと考えられることから分類根拠としなかった。
   したがって、分類できないとした。
   
10 吸引性呼吸器有害性 区分1


危険
H304 P301+P310
P331
P405
P501
   ヒトでは、誤飲により本物質の11%溶液を摂取した生後2ヵ月半の双生児が、24時間以内に発熱、脱水、咳、流涎、口腔及び咽頭の多数の病変を生じ、うち一人は化学性肺炎を発症したとの報告があり (IPCS, PIM G022 (1998))、この事例より区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
   甲殻類(オオミジンコ)24時間EC50 = 0.036 mg/L[0.018 mg/L(純度50%) 補正値](NLM HSDB:2010, EPA AQUIRE:2017, Canton,J.H. et al(1983))であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
   慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BioWin)、急性毒性区分1であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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