GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7782-41-4
名称 フッ素
物質ID H29-B-097
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分外
-
-
- -    不燃性 (ICSC (J) (2001)) である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分1


危険
H270 P370+P376
P220
P244
P403
   本物質は ISO 10156-2017 に記載されている酸化性ガスである。UNRTDGでは圧縮されているものがUN 1045、クラス 2.3、副次5.1、8。
5 高圧ガス 圧縮ガス


警告
H280 P410+P403    沸点-188.13℃、臨界温度-129℃ (HSDB (Access on August 2017)) であることから圧縮ガスとした。UNRTDGでは圧縮されているものがUN 1045、クラス 2.3、副次5.1、8。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
   ラットの1時間吸入ばく露試験のLC50値として、185 ppm (4時間換算値: 92.5 ppm) (ATSDR (2003)、PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分1とした。
   
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
   本物質は強度の皮膚刺激性物質であるとの記載 (ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2003)) や、ヒトにおいて本物質濃度95~100 ppm (150~300 mg/m3) の場合に皮膚刺激性を示したとの記述 (PATTY (6th, 2012)) がある。また、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で剃毛した背部にガス状の本物質を0.2秒間ばく露することにより、周囲に紅斑のある直径約1/4インチの虚血部分が生じた。虚血部分は4日以内に皮膚脱落を伴う皮膚表面の痂皮となったが、正常な表皮に回復したとの記載 (ATSDR (2003)) がある。よって、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Corr. 1A に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on July 2017))。今回の調査で入手した情報を基に区分を変更した。
   
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
   ヒトの眼に対して、本物質濃度67~100 ppmで強い眼刺激性 (very irritating) を示したとの記載、本物質濃度100 ppm (155 mg/m3) で著しい (marked) 刺激性を示したとの記載 (PATTY (6th, 2012))、本物質は強度の眼刺激性を示すとの記載 (ACGIH (7th, 2001)) から、区分2Aとした。
   
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   なお、食品安全委員会はフッ素の遺伝毒性について、哺乳類培養細胞を用いたin vitro試験では弱い陽性結果が得られているが、in vivoのDNA損傷試験では総合的に判断して陰性であり、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと考えられるとしている (食品安全委員会清涼飲料水評価書 (2012))。
   
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。なお、ラットに本物質を18 ppmで5週間吸入ばく露した結果、精巣の変性がみられたとの報告 (ATSDR (2003)、PATTY (6th, 2012)) があり、旧分類ではこれを根拠に区分2とされたが、特定標的臓器 (反復暴露) の項の分類に利用すべき情報であると判断し、採用しなかった。
   
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、肝臓、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
   ヒトでは、高濃度の本物質の吸入ばく露により、発熱、咳、胸の圧迫感、ラ音、チアノーゼを生じる場合があるとの報告があり、これらの症状は遅延性肺水腫の発症を示すものであると記載されている (EHC 36 (1984))。実験動物ではラット及びマウスの5~60分の単回吸入ばく露試験において、肺のび漫性のうっ血、呼吸困難、刺激性、肺胞壊死を生じるとの報告、マウスの5~60分の単回吸入ばく露試験において肝臓では凝固壊死、門脈周囲の出血、び漫性の混濁腫脹、腎臓では腎皮質の局所性凝固壊死、皮質及び髄質の局所性リンパ球浸潤が認められたとの報告がある (以上ATSDR (2003))。これらの実験動物に対する影響は、60分のばく露ではLC50値以下の50~116 ppm (4時間換算値: 25~58 ppm) 付近で認められ、区分1の用量に相当する。したがって、区分1 (呼吸器、肝臓、腎臓) とした。
   
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(骨、歯、呼吸器、生殖器(男性))


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
   ヒトについては、本物質に関する情報はないが、無機のフッ化物の職業ばく露によるフッ素沈着症に関連する骨の病変の報告がある (ACGIH (7th, 2001))。また、フッ化物は有益あるいは有害な歯科的及び骨格的影響の両方がヒトにおいて観察されている。 フッ化物は齲蝕の有病率を低下させることが示されており、特定の条件下では、骨粗鬆症の治療に使用されている。 しかしながら、過剰のフッ化物はまた、歯科的フッ素症をもたらし、高齢者又は骨格フッ素症における骨折の有病率の増加をもたらし得るとの記載がある (ATSDR (2003))。
   実験動物については、ラット、ウサギ、イヌを用いた5週間吸入毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である2 ppm (90日換算: 0.7 ppm) 以上でラットでは影響がみられず、ウサギでは軽度の気管支の炎症、イヌでは肺の出血、水腫、18 ppm (90日換算: 6 ppm) でラットでは重度の肺刺激性、精巣の変性、ウサギでは肺の出血がみられている (ATSDR (2003))。
   以上より、区分1 (骨、歯、呼吸器、生殖器 (男性)) とした。
   なお、ヒトへのフッ化物の影響を分類根拠としたことから旧分類と分類結果が異なった。
   
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-
-
- -    データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-
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- -    データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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