項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 119-93-7 |
名称 | 3,3'-ジメチルベンジジン (別名:o-トリジン) |
物質ID | H29-B-106 |
分類実施年度 | 平成29年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成26年度 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 可燃性 (ICSC (J) (2009)) との情報があるが、データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は526℃ (ICSC (J) (2009)) であり常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 |
P301+P312
P264 P270 P330 P501 |
ラットのLD50値として、404 mg/kg (DFGOT vol. 5 (1993)) との報告に基づき、区分4とした。なお、旧分類が使用したCERIハザードデータ集 (2002) は、現在はList 3の情報源であるので使用しなかった。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - | 本物質の職業性のばく露による皮膚刺激性はみられなかったとの記載 (ACGIH (7th, 2001)) から、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 |
警告 |
H341 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性 (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 5 (1993))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いたマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陽性である (DFGOT vol. 5 (1993)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on August 2017))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。 |
6 | 発がん性 | 区分1B |
危険 |
H350 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ヒトでは本物質への特異的なばく露と発がんとの関連性を評価した疫学研究はないが、本物質を含むアリールアミン製品混合物への職業ばく露と膀胱がんの発生頻度増加との間に相関が示されたとの1報告がある (NTP RoC (14th, 2016))。実験動物では本物質の二塩酸塩 (CAS番号 612-82-8) をラットに14ヵ月間飲水投与 (30~150 ppm) した発がん性試験において、雌雄ともに皮膚の基底細胞腫、同扁平上皮がん、ジンバル腺の腫瘍、口腔、肝臓、小腸、大腸、肺の腫瘍、雄に包皮腺の腫瘍、雌に陰核腺の腫瘍の用量依存的な発生頻度の増加が認められた (NTP TR390 (1991)、NTP RoC (14th, 2016)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001))。NTPはラットの雌雄ともに明らかな発がん性の証拠があると結論した (NTP TR390 (1991))。この他、マウスに2年間飲水投与 (5~140 ppm) した試験において、78週以降に140 ppm の雄では肺腫瘍 (細気管支肺胞上皮腺腫、又は細気管支肺胞上皮がん、及びそれらの合計) の発生頻度の有意な増加がみられた (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on August 2017)) との報告、ラットに長期間皮下投与した複数の試験で、ジンバル腺及び外耳道における腫瘍の発生増加がみられた (IARC 1 (1972)、ACGIH (7th, 2001)、NTP RoC (14th, 2016)) との報告がある。既存分類ではIARCがグループ2Bに (IARC Suppl. 7 (1987))、ACGIHがA3に (ACGIH (7th, 2001))、NTPがRに (NTP RoC (14th, 2016))、EUがCarc. 1Bに (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))、日本産業衛生学会が2Bに (許容濃度の勧告 (2017): 1991年提案) それぞれ分類している。 以上、EU以外の国際機関による分類結果からは区分2が支持されるが、試験報告において実験動物2種で悪性腫瘍を含む腫瘍の発生増加が認められたこと、及びEUの分類結果に基づき、本項は区分1Bが妥当と判断した。なお、旧分類の区分2からは分類区分を変更した。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - |
ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では、妊娠ラットに対し本物質の1%溶液、1 mLを妊娠7~9日に飲水投与 (総投与量: 30 mg) した結果、胎児に催奇形性はみられなかったとの報告、及び妊娠ラットに対し本物質0.26 mmole/kg (約 55.2 mg/kg) を妊娠7日に皮下投与したが胎児毒性は生じなかったとの報告がある (DFGOT vol. 9 (1993))。以上、実験動物では本物質投与による発生影響を否定する報告があるが、生殖能への影響を評価した試験報告がなく、よってデータ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足のため分類できない。なお、本物質の塩酸塩である3,3'-ジメチルベンジジン二塩酸塩 (CAS番号 612-82-8) を少量吸入した場合に、くしゃみに引き続いて上気道の刺激が生じたとの報告がある (DFGOT vol. 5 (1993)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。この情報に基づき、3,3'-ジメチルベンジジン二塩酸塩は、平成19年度分類で、区分3 (気道刺激性) と分類されている。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(血液系、肝臓、腎臓) |
警告 |
H373 |
P260
P314 P501 |
本物質についてのデータはないが、本物質の塩酸塩である3,3'-ジメチルベンジジン二塩酸塩 (CAS番号 612-82-8) についてNTPによるラットを用いた飲水投与試験が実施されている。 ラットを用いた13週間飲水投与試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である0.03% (ガイダンス値換算: 37.5 mg/kg/day、本物質換算: 28 mg/kg/day) 以上で体重増加抑制、胸腺絶対及び相対重量減少、トリヨードサイロニン (T3) 及びサイロキシン (T4) 濃度の低下、肝臓の類洞壁細胞の色素沈着増加、精巣の相対重量増加、0.05% (ガイダンス値換算: 62.5 mg/kg/day、本物質換算: 47 mg/kg/day) 以上で赤血球数及びヘマトクリット値の減少、肝細胞壊死の増加、腎症の増加がみられ、ラットを用いた14ヵ月間飲水投与試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である0.03% (ガイダンス値換算: 37.5 mg/kg/day、本物質換算: 28 mg/kg/day) 以上で肝臓の変異細胞巣、肝臓の嚢胞性変性の発生率増加、腎症の重症化、ジンバル腺の限局性過形成・び漫性の腫脹、0.07% (ガイダンス値換算: 87.5 mg/kg/day、本物質換算: 65 mg/kg/day) 以上で生存率の低下、肝臓の造血細胞増殖がみられている (NTP TR390 (1991)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。 以上のうち、肝臓の造血細胞増殖、肝臓の類洞壁細胞の色素沈着増加は貧血に関連した所見である。また、ジンバル線の限局性過形成・び漫性腫脹については前がん病変と考えられるが、ジンバル腺はヒトにないことから標的臓器としなかった。したがって、区分2 (血液系、肝臓、腎臓) とした。 なお、旧分類では本物質のデータは無いことから分類できないとしていたが、本物質の塩酸塩である3,3'-ジメチルベンジジン二塩酸塩 (CAS番号:612-82-8) のデータを用いて分類したことから分類結果が異なり、また、本物質の塩酸塩は、本邦GHS分類において平成19年度に区分1(肝臓、腎臓、リンパ節、膵臓、甲状腺、骨髄)に分類されているが、見直したところ膵臓やリンパ節に所見は区分2を超える用量でみられていることなどから、旧分類と分類が異なった。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 |
- |
H401 |
P273
P501 |
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 4.5 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 |
- |
H411 |
P273
P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:3%(化審法DB:1984))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖阻害)= 0.26 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:3%(化審法DB:1984))、魚類(メダカ)96時間LC50 = 13 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分3となる。 以上の結果から、区分2とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。 また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。 * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。 * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。 ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。 他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |