GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 60-29-7
名称 ジエチルエーテル
物質ID H29-B-121
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分1


危険
H224 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
   引火点-45℃ (closed cup)、沸点35℃ (ICSC (J) (2002)) に基づいて区分1とした。なお、UNRTDG分類はUN 1155、クラス3、PGⅠである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- -    発火点は175℃ (GESTIS (Access on September 2017)) であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
   ラットのLD50値として、1,215~2,540 mg/kg (DFGOT vol. 13 (1999))、1.7 mL/kg (1,207 mg/kg) (PATTY (6th, 2012))、3,560 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との報告があり、1件が区分4~区分外、1件が区分4、1件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- -    ウサギのLD50値として、> 20 mL/kg (> 14,200 mg/kg) (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外
-
-
- -    ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、32,000 ppm (PATTY (6th, 2012))、2.5時間吸入ばく露試験のLC50値として、73,000 ppm (4時間換算値: 57,711ppm) (DFGOT vol. 13 (1999)) との報告に基づき、区分外とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (710,053 ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- -    ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (非閉塞適用) で、刺激性を示さなかったとの記載 (DFGOT vol. 13 (1999)) や、軽度の刺激性を示す可能性及び短時間では刺激性は認められないとの記載 (PATTY (6th, 2012)) がある。よって、ガイダンスの軽度の刺激性に該当する区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
   
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
   ウサギを用いた2件の眼刺激性試験で、軽度で可逆性の刺激を認めたとの記載や、グレード2 (最大値10) で軽度の眼刺激性を示したとの記載 (DFGOT vol. 13 (1999)) がある。また、試験動物は不明だが眼に軽度で可逆性の障害を生じるとの記載 (PATTY (6th, 2012)) がある。よって、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた感作性試験で本物質に対する感作性は認められなかったが、この試験の信頼性に疑問があるとの記載 (DFGOT vol. 13 (1999)) がある。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    In vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、あいまいな結果、哺乳類培養細胞の姉妹染色分体交換試験で陰性である (DFGOT vol .13 (1999)、NTP DB (Access on September 2017))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   妊娠マウス又は妊娠ラットの器官形成期に吸入ばく露した結果、胚死亡の増加、全身性浮腫の頻度増加 (マウス)、頭臀長の減少 (ラット) がみられたとの報告、妊娠ラットの早期又は後期器官形成期に吸入ばく露した結果、胎児の早期又は後期吸収、及び骨格異常がみられたとの報告、妊娠ラットの器官形成期に吸入ばく露した場合は口蓋裂がみられたが、妊娠マウスにばく露した場合にはみられなかったとの報告がある (DFGOT vol. 13 (1999)、HSDB (Access on August 2017))。以上、実験動物を用いた多くの発生毒性に関する報告では、母体毒性の有無が不明な状況において、明らかな胎児毒性、及び一部に奇形発生の増加がみられており、本項は区分2が妥当と判断した。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用)


警告
H335
H336
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
   ヒトでは、本物質は19世紀半ばから吸入麻酔剤として用いられて来た (DFGOT vol. 13 (1999)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1997))。また、10名のボランティアによる試験で、200 ppm、3~5分間の吸入ばく露で、被験者が鼻粘膜の刺激を訴えたとの報告がある (DFGOT vol. 13 (1999)、ACGIH (7th, 2001))。実験動物では、マウスを用いた単回吸入ばく露試験 (ばく露時間の記載なし) で、32,000 ppmで興奮と麻酔効果がみられ、64,000 ppmで深麻酔に陥ったが、ばく露の終了により空気中から本物質が除去されると回復したとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
   ヒトにおいて、慢性ばく露による食欲不振、疲労、頭痛、不眠、めまい、興奮、精神障害が生じることが報告されている (ACGIH (7th, 2001))。
   実験動物については、ラットを用いた13週間経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲を超える500 mg/kg/dayで影響がみられず、2,000 mg/kg/day以上で体重減少のみが報告されている (IRIS (1990))。
   以上、ヒトにおいて中枢神経系ヘの影響がみられることから、区分1 (中枢神経系) とした。
   なお、旧分類ではヒトの神経症状が一過性と考えられることから分類根拠としていないが、新たな情報源を用いたこと、精神障害が生じることを重視して分類根拠としたため旧分類と分類結果が異なった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。なお、旧分類ではList 3の情報源を用いて区分2に分類されたが、根拠はヒトでの事例等に基づいた報告ではなく、一般的注意事項である。また、旧分類後に制定された分類JIS (JIS Z7252:2014) では本項分類区分は区分1のみで、区分2はない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
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- -    魚類(ファッドヘッドミノー)96時間LC50 = 2,560 mg/L(NLM HSDB:2014, EPA AQUIRE :2017, Geiger,D.L. et al(1986))、甲殻類(オオミジンコ)24時間EC50(遊泳阻害)= 165 mg/L(NLM HSDB:2014, EPA AQUIRE:2017, Bringmann,G. et al(1982))
   であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
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- -    慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(難分解性、GCによる分解度:13%(化審法DB:1985))、急性毒性区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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