GHS分類結果

View this page in English



一般情報
項目 情報
CAS登録番号 78-84-2
名称 イソブチルアルデヒド
物質ID H30-B-006-METI, MOE
分類実施年度 平成30年度
分類実施者 経済産業省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成20年度  
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-24℃(closed cup)、沸点63-64℃(ICSC(J)(2015))に基づいて区分2とした。なお、UNRTDG分類はUN.2045、クラス3、PGⅡである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点は165℃(ISCS(J)(2015))であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、最も有害性の高い区分を採用し区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:3,730 mg/kg (雌)(SIDS(2004))
(2) ラットのLD50:1,600~3,700 mg/kg (SIDS(2004))
(3) ラットのLD50:960 mg/kg (NTP TR472(1999)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート(2010))
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分外とした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50:約7.1 mL/kg (約5,630 mg/kg)(SIDS(2004))
(2) モルモットのLD50:> 20,000 mg/kg (SIDS(2004))
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分外とした。なお、(1)~(3)の試験濃度は飽和蒸気圧濃度(223,800 ppm)の90%未満であり、ミストを含まない蒸気として、蒸気の基準を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50:62.6 mg/L(ラット30分間吸入試験のLC50の60,000 ppmからの換算値)(NTP TR472(1999))
(2) マウスのLC50:28.9 mg/L(マウス2時間吸入試験のLC50の13,860 ppmからの換算値)(NTP TR472(1999))
(3) ラットのLC50(4時間):8,000 ppm(23.6 mg/L)~16,000 ppm(47.2 mg/L)の間(8,000 ppmで死亡例1/6、16,000 ppmで6/6)(SIDS(2004))
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分外とした。なお、(3)~(5)は1952年のデータで試験詳細が不明であり、(6)はICSCの情報のため区分判断には用いなかった。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、GLP、n=3)で本物質(純度99%以上)原体を4時間、半閉塞適用したところ紅斑(スコア:0.7~1.7)、浮腫(スコア:0~0.3)共に見られたものの、7日以内で回復したとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。
(2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、GLP、n=4)で本物質(純度98%)原体を4時間、パッチ適用したところ72時間でPII=0.13との報告がある(ECETOC TR66(1995))。

【参考データ等】
(3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(n=6)で本物質を開放適用したところ、1例で顕著な紅斑が認められたとの報告がある(SIDS(2004))。
(4)本物質はウサギに中等度から重度の皮膚刺激と火傷を生じるとの記述がある(SIDS(2004))。
(5)本物質は極めて高濃度では腐食性を示すおそれがあるとの記述がある(SIDS(2004))。
(6)本物質は皮膚に対して腐食性を示す。皮膚に付くと痛み、発赤、水疱、熱傷を生じるとの記述がある(環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート(2010))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2Bとした。なお、腐食性を有するという情報((3)~(5))もあるが、試験詳細が確認できる信頼性の高い情報に基づき分類を行った。新たな情報源を利用することによって旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405、GLP、n=3)で本物質原体(純度≧99%)を適用したところ、結膜スコア:2.3、結膜浮腫スコア:2が得られ7日間で回復したとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。
(2)ウサギを用いた眼刺激性試験(n=1)で本物質原体(95%)を1滴滴下したところ、角膜混濁スコア:1、結膜スコア:2、結膜浮腫スコア:2が得られ7日間で回復したとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。

【参考データ等】
(3)ウサギの眼に本物質の原液を適用したところ、0.005 mLでは中等度の角膜刺激、0.02 mLでは重度の角膜損傷を生じたとの報告がある(SIDS(2004))。
(4)本物質はウサギに重度の眼刺激性を生じ、極めて高濃度では腐食性を示すおそれがあるとの情報がある(SIDS(2004))。
(5)本物質は眼に対して腐食性を示し、眼に入ると痛み、発赤、重度の熱傷、視力喪失を生じるとの情報がある(環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート(2010))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)のGLPデータがあるが、それ以外のデータがなく、データ不足のため分類できないとした。

【根拠データ】
(1) マウスを用いた耳介腫脹試験(GLP、n=8/用量)で本物質3~30%溶液(アセトン:オリーブ油(4:1))を適用したところ、アジュバントの有無に関わらず皮膚感作性の徴候は示されなかったとの報告がある(SIDS(2004)、NTP TR472(1999)、REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
In vivoでは(1)が細胞毒性下で陽性、(2)で致死用量近傍で陽性反応が認められるケースがあるものの陰性であった。In vitroでは、(3)細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性、(4)、(5)では陽性であった。証拠の重み付け(WoE)に基づき、区分2とする知見は認められないと判断され、分類できないとした。なお、(1)に妥当性がないと判断され、WoEに基づき旧区分より区分が変更された。


【根拠データ】
(1) In vivoでは、マウスの骨髄を用いた染色体異常試験で、最高用量の2,000 mg/kg では動物死亡のため評価できなかったが、1,750 mg/kgの単回腹腔内投与で陽性であった(SIDS(2004))。
(2)マウス及びラットの骨髄を用いたin vivo小核試験では、最大1,250 mg/kgの3日間腹腔内投与で陰性であった(SIDS(2004))。
(3)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験において、大腸菌では陽性(代謝活性なし)だが、サルモネラ菌では複数の陰性結果が得られている(SIDS(2004))。
(4) マウスリンフォーマを用いたin vitro遺伝子変異試験では細胞毒性濃度において、陽性の結果であった(SIDS(2004))。
(5) 哺乳類培養細胞(CHO)を用いた姉妹染色分体交換試験、染色体異常試験では陽性の結果であった (SIDS(2004))。

6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。
動物試験結果は(1)に限られ、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1) ラット、マウスを用いた吸入ばく露による発がん性試験(500~2,000 ppm、2年間)では、ばく露に関連した腫瘍発生の増加は認められなかった(NTP TR472(1999))。
(2) 国内外の分類機関による既存分類はない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)のデータから、妊娠ラットへのばく露による発生影響の可能性は低いと考えられるが、繁殖試験データがなく、データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)妊娠ラットの器官形成期(妊娠6~15日)に本物質を吸入ばく露(1,000~4,000 ppm)した発生毒性試験において、2,500ppm以上の投与により母動物に体重増加抑制、鼻粘膜病変がみられたが、胎児に発生影響は認められなかった(SIDS(2004)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート(2010))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)及び(2)のデータから区分3(気道刺激性)とした。

【根拠データ】
(1) 本物質を吸入すると咽頭痛、咳、灼熱感、息切れ、息苦しさを生じる。吸入すると、肺水腫を起こすことがあるとの記述がある(環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート(2010))。
(2) 2系統のマウスに本物質蒸気を単回吸入ばく露した場合に呼吸数が対照群の50%に減少する濃度、RD50はB6C3F1で3,016 ppm、Swiss-Websterで4,167 ppmであった(SIDS(2004))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、吸入経路では区分2の用量範囲で鼻腔に刺激による組織変化が認められた。また(3)、(4)より長期の試験データからも鼻腔への刺激性影響がみられているが、吸入経路のいずれの試験においても、呼吸器以外の臓器に有害影響はみられなかった。経口経路では、(5)のデータからは区分2までの用量範囲では影響が見られなかった。以上より、区分2(呼吸器)とした。なお、ガイダンス上では、原則14日間以上の試験を採用することとされているが、10日間及び12日間で鼻腔への影響がみられていることを踏まえ、分類に利用した。

【根拠データ】
(1)ラットに本物質蒸気1,000 ppmを12日間吸入ばく露した結果、鼻腔に軽度刺激性変化がみられた(SIDS(2004))。ガイダンス値換算では0.39 mg/Lで区分2の範囲の所見であった。
(2)ラットに本物質蒸気を10日間吸入ばく露した結果、2,500 ppm以上で鼻腔前部の移行上皮の過形成がみられた(SIDS(2004))。ガイダンス値換算では0.82 mg/Lで区分2の範囲の所見であった。
(3)ラットの13週間吸入ばく露試験(500~8,000 ppm)、及び2年間吸入ばく露試験(500~2,000 ppm)において、区分2超の濃度(ガイダンス値換算:1.07 mg/L以上)で鼻腔に組織変化が認められた(NTP TR472(1999)、SIDS(2004)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート(2010))。
(4)マウスの13週間吸入ばく露試験、及び2年間吸入ばく露試験においても、区分2超の濃度(ガイダンス値換算:2.13 mg/L以上)で鼻腔に組織変化が認められた(NTP TR472(1999)、SIDS(2004)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート(2010))。
(5)ラットの90日間強制経口投与試験において、区分2超の200 mg/kg/day以上で前胃と腺胃の境界縁の扁平上皮過形成、600 mg/kg/dayで尿のpH低下がみられたのみであった(食品安全委員会添加物評価書(2006)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート(2010))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
魚類(ファッドヘッドミノー)96時間LC50 = 23 mg/L(OECD SIDS: 2004)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 慢性毒性データが得られていない。急速分解性があり(良分解性、BODによる分解度: 81% (化審法DB: 1979))、蓄積性がない(LogKow: 0.74 (EST, PHYSPROP Database: 2018))と予測されることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

GHS関連情報トップページに戻る