GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 50471-44-8
名称 (RS)-3-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-5-ビニル-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン【ビンクロゾリン】
物質ID H30-B-008-MHLW, MOE
分類実施年度 平成30年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成20年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- - 自己反応性に関連する原子団(エチレン基)を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 50℃において安定(HSDB(Accessed Jul. 2018))であり、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - フッ素を含まず、塩素及び酸素を含む有機化合物であるが、この塩素、酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分外とした。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50値:>10,000 mg/kg(EPA Pesticide(2000)
(2)ラットのLD50値:15,000 mg/kg(JMPR(1995))
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分外とした。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50値:>2,500 mg/kg(EPA Pesticide(2000))
(2)ラットのLD50値:>5,000 mg/kg(JMPR(1995))
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお、(1)はばく露時間が不明であり、分類に利用できない。

【根拠データ】
ラットのLD50値:>29 mg/L(EPA Pesticide(2000)、JMPR(1995))
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
刺激性を示すデータ(1)もあるが、24時間適用試験であり、これ以外に情報は得られず、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1)ウサギを用いた皮膚刺激試験で本物質を24時間適用したところ、5/6例で明確な紅斑、そのうち1例にわずかな浮腫が認められ、72時間で回復したとの報告がある(JMPR(1995)、EPA Pesticide(2004))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)は試験の詳細が不明だが、証拠の重みづけに基づきJMPRの判断を踏まえて、区分外とした。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた眼刺激試験で本物質を適用したところ、24時間後に軽度の結膜発赤が見られ、72時間以内には回復しなかったという報告があるが、JMPRは「not irritating to the eyes」と判断している(JMPR(1995))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)より、区分1とした。

【根拠データ】
(1)モルモットを用いたMaximization試験(n=12匹(雄))で本物質を適用したところ、明確な感作性が見られたとの報告がある(JMPR(1995))。

【参考データ等】
(2)EU CLPでは本物質をSkin Sens. 1に分類している。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、ガイダンスに従い分類できないとした。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、雄マウスを用いた優性致死試験(JMPR(1995))、コメットアッセイ、小核試験(NTP DB(Accessed Jul. 2018))、雌雄ハムスターを用いた染色分体交換試験 (JMPR(1995))で陰性であった。
(2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験、枯草菌を用いたDNA修復試験、哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、不定期DNA合成試験で陰性の報告がある(JMPR(1995))。

【参考データ等】
(3)JMPR(1995)も遺伝毒性はないと結論づけている。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。
(1)、(2)の動物試験結果及び(3)の既存分類に基づき、区分2とした。

【根拠データ】
(1)雌雄ラットに150~4,500 ppmを2年間経口(混餌)投与した発がん性試験において、150 ppmでライディッヒ細胞の腫瘍、雌の500 ppmで卵巣の良性の性索間質腫瘍、雌の1,500 ppmで副腎腫瘍、雄の4,500 ppmで肝細胞がんが認められた(JMPR(1995))。
(2)雌雄ラットに50~3,000 ppmを2年間経口(混餌)投与した発がん性試験において、雌の3,000 ppmで子宮腺がん、雌雄マウスを用いた18ヵ月間経口投与試験において、8,000 ppmで肝細胞がんが認められた(JMPR(1995))。
(3)国内外の分類機関による既存分類では、EPAでグループCに(EPA Pesticide(2000))、EU CLPにおいてCarc. 2に分類されている。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、母動物毒性発現量又はそれ以下の用量で、顕著な影響として雄児動物に奇形を含む発生影響がみられることから、区分1Bとした。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた多世代試験では、1,000 ppmの投与により児動物の外性器の雌性化に伴う雄性不妊が認められ、300 ppmの投与により低受胎の可能性が示唆された。F2児動物では、50 ppmの投与により精巣上体重量の減少が認められた(JMPR(1995))。
(2)妊娠ラットを用いた発生毒性試験では、母動物毒性発現量より低い用量で、肛門-生殖突起間距離(AGD)の短縮が認められた(JMPR(1995))。

【参考データ等】
(3)ラットへの低用量(3 mg/kg/day以上)レベルの投与により、アンドロゲン受容体阻害によってアンドロゲン依存性の器官及び機能に影響を及ぼし、雄ラットの前立腺重量減少、他の生殖器官重量の減少、乳頭/扇状突起の発達、AGDなどの影響が顕著にみられている。またより高用量レベルの投与では、さらなる性器重量の減少、異所性精巣、膣ポーチなどの奇形がみられている。(EPA Pesticide(2000))。
(4)ウサギを用いた発生毒性試験では、800 mg/kg/dayの投与により死亡率の上昇がみられたが、催奇形性は認められなかった(JMPR(1995))。
(5)EU CLPではRepr. 1B に分類されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(視覚器)、区分2(副腎、生殖器(男性))


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(7)の眼の病変はラットのみで影響がみられたが、複数の報告があることおよび所見を呈した用量が区分1のガイダンス値と比較して小さいことから視覚器を標的臓器と考えた。よって精巣を含む雄性生殖器、視覚器及び副腎を本物質の標的臓器とし、区分1(視覚器)、区分2(副腎、生殖器(男性))とした。なお、甲状腺、脾臓への影響は重度の組織変化の記載がなく、深刻な影響ではないと考え、(4)における腎臓の所見は、より長期の(5)でみられていないため、また(3)の肝臓の所見は、より長期かつ高用量の(7)においても同様の所見がみられていないため、標的臓器から除外した。旧分類で根拠情報として使用されたIRIS(1992)のデータが確認できなかったことおよび新しい情報源を用いて分類を見直し、標的臓器及び区分を変更した。

【根拠データ】
(1)マウスに3ヵ月間混餌投与した2試験において、100 ppm(20 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で肝毒性所見、抗アンドロゲン作用に関連した所見、及び副腎の変化がみられたとの報告がある(JMPR(1995))。
(2)ラットの3ヵ月間混餌投与試験において、(1)と同様の影響のほか、副腎への影響(リピドーシス)が300 ppm(15 mg/kg/day相当、区分2の範囲)以上でみられたとの報告がある(JMPR(1995))。
(3)ラットに3ヵ月混餌投与した試験において、1,000 ppm(ガイダンス値換算:73mg/kg/day、区分2の範囲)以上で副腎皮質の肥大、下垂体の嚢腫様変性、ライディッヒ細胞の過形成、肝細胞の混濁腫脹、単細胞壊死、卵巣の黄体細胞空胞化等がみられたとの報告がある(JMPR PartII(1995))。
(4)イヌに6ヵ月間混餌投与した試験では300 ppm(7.5 mg/kg/day、区分1の範囲)で副腎重量の増加、600 ppm(15 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で副腎束状帯の空胞化(雌)、腎臓遠位尿細管の脂肪滴増加(雄)がみられたとの報告がある(IRIS(2002))。
(5)イヌに12ヵ月間混餌投与した試験では、150 ppm(3.75 mg/kg/day、区分1の範囲)以上で甲状腺、肝臓、脾臓、前立腺、精巣及び副腎に組織重量の増加等の影響がみられたが臨床的兆候はみられなかったとの報告がある(JMPR PartII(1995))。
(6)マウスの発がん性試験では、区分2超の3,000 ppmで肝毒性、ライディッヒ細胞の過形成、子宮萎縮、副腎の皮質・髄質領域のリピドーシスがみられたとの報告がある(JMPR(1995))。
(7)ラットの長期試験では50 ppm(2.5 mg/kg/day、区分1の範囲)以上で白内障及び他の水晶体の病変がみられたが、マウス及びイヌには眼の病変はみられなかった(JMPR(1995))。なお、ラットの2年間混餌投与試験でも水晶体の核変性および石灰化が150 ppm(7.5 mg/kg/day、区分1の範囲)でみられた(JMPR(1995))。加えて、ラットの2年間混餌投与試験では3,000 ppmの用量においても肝障害がみられなかったとの報告がある(JMPR PartII(1995))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(アミ)96時間LC50 = 1.8 mg/L(NLM HSDB: 2018, EPA AQUIRE: 2018、EPA Pesticide Ecotoxicity Database(1992))であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく、魚類(ファッドヘッドミノー)の175日間NOEC(孵化、生長、生存)= 0.05 mg/L (EPA AQUIRE: 2018、EPA Pesticide Ecotoxicity Database Agency (1992))であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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