GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 1332-21-4
名称 アスベスト(石綿)
物質ID H30-B-009-MHLW, MOE
分類実施年度 平成30年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 不燃性である(GESTIS(Accessed Oct. 2018))。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 不燃性である(GESTIS(Accessed Oct. 2018))。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性である(GESTIS(Accessed Oct. 2018))。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 水に不溶(GESTIS(Accessed Oct. 2018))との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)石綿(アスベスト)は活性酸素種の生成を触媒することによって、直接的に遺伝毒性を誘発する可能性があり、また、物理的に細胞の分裂装置に影響を及ぼし、染色体の数の異常や特別な染色体変化をきたす可能性がある(IARC 100C(2012))。
(2)石綿(アスベスト)にはいくつかのタイプがあるが、それらのうち試験データが多いアモサイト(CAS:12172-73-5)、クリソタイル(CAS:12001-29-5)、クロシドライト(CAS:12001-28-4)の3つのタイプのアスベストを被験物質としたin vitro染色体異常試験、小核試験、姉妹染色分体交換試験で、陽性の結果が得られている(ATSDR(2001))。

【参考データ等】
(3)アスベスト(CAS:1332-21-4)としてのin vivo生殖細胞変異原性試験結果、in vitro試験結果はない(ATSDR(2001)、IARC 110C(2012))。

6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1Aとした。

【根拠データ】
(1)IARCは多くの疫学的証拠及び動物試験結果に基づき、6つのタイプのアスベスト(アモサイト、クリソタイル、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)の全ての発がん性について、ヒト及び実験動物で十分な証拠があると結論した(IARC 100C(2012))。
(2)IARCは(1)より6つのタイプのアスベスト全ての発がん性分類をグループ1とした(IARC 100C(2012))。この他、ACGIHが6つのタイプのアスベストの各タイプについてA1(ACGIH(7th, 2001))に 、石綿(アスベスト)の発がん分類として、日本産業衛生学会が第1群(産衛学会許容濃度等の勧告(2018):1981年提案)、EPAがA(IRIS(1988))、NTPがK(NTP RoC(14 th, 2016))、EU CLPがCarc. 1Aに分類している。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)のようにアモサイト、クリソタイル、クロシドライトについて、混餌投与では親動物の生殖能に影響が認められなかった、(2)のようにクリソタイルについて妊娠期への投与により発生影響は認められなかった、とする報告があるが、いずれも親動物の一般毒性影響の記述がなく、親動物への投与量が十分かどうかを判断できない。すなわち、(1)、(2)の結果のみでは区分外とできず、分類できないとした。

【根拠データ】
(1)アモサイト、クリソタイル、クロシドライトの3つのアスベスト型について、ラット、ハムスターを用いた混餌投与による試験で、生殖影響はみられなかった(ATSDR(2001))。
(2)妊娠動物を用いた経口(飲水)投与による発生毒性試験としては、クリソタイルで発生影響を検出できなかったと報告されている(ATSDR(2001))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
本物質の急性影響についてはヒト、実験動物ともに報告はない。しかし、(1)のクリソタイルの試験データから、実験動物では区分1の用量で単回吸入ばく露後に、発症時期は不明であるが、遅延性影響として肺線維症など重篤な呼吸器病変が生じるものと考えられる。よって、本物質の単回ばく露による中・長期的影響として、区分1(呼吸器)とした。なお、アスベストの1タイプのデータを利用し、区分を変更した。

【根拠データ】
(1)マウスにクリソタイルを区分1の範囲の132 fibers/mL(4 mg/m3相当、4時間換算値:0.005mg/L)の濃度で5時間吸入ばく露させた結果、肺線維症を生じたとの報告がある(ATSDR(2001))。

【参考データ等】
(2)他の有害性項目(発がん性)のデータであるが、ラットにクリソタイルの標準品(UICC/A)を区分1の範囲の14.7 mg/m3(4時間換算値:0.026 mg/L)で7時間単回吸入ばく露した結果、胸腔腫瘍が5/45例(11%)にみられている(IARC 100C(2012))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分1(呼吸器)とした。

【根拠データ】
(1)主なアスベストのタイプのうち、試験報告の多い、アモサイト、クリソタイル、クロシドライトの3つのタイプのアスベストによる単独又は複合ばく露を長期にわたり受けた作業者を対象とした多くの疫学研究で、様々な呼吸器病変が報告されている。呼吸器病変の所見としては、胸部X線検査での肺実質の異常や胸膜の肥厚などの症例から、肺線維症との診断例、さらに致死性の石綿(アスベスト)症との診断例や慢性喉頭炎症例など多彩な報告がある(ATSDR(2012))。
(2)全てのタイプのアスベストで石綿(アスベスト)症、胸膜の変化や腫瘍性病変を生じることが知られているが、実験結果及び疫学研究結果から異なるタイプのアスベスト間で呼吸器疾患を生じる能力に差があり、クロシドライトが最大、クリソタイルが最小で、アモサイトが中間と考えられている(ACGIH(7th, 2001))。
(3)実験動物でも3つのタイプのアスベストをラットに1年間、又は2年間吸入ばく露試験で肺線維症の増加がみられている(ATSDR(2012))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-
-
- - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-
-
- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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