GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 75-28-5
名称 2-メチルプロパン
物質ID H30-B-033-MHLW, MOE
分類実施年度 平成30年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成21年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1


危険
H220 P210
P377
P381
P403
爆発限界(1.8-8.4 vol%(ICSC(J)(1998))から区分1とした。なお、国連分類UN1969、クラス2.1である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外
-
-
- - 国連分類UN11969、クラス2.1の可燃性又は引火性のガスである。
5 高圧ガス 低圧液化ガス


警告
H280 P410+P403 沸点は-11.7℃(Ullmanns(E)(6th, 2003))であり、GHSの定義におけるガスである。臨界温度(134.69℃(HSDB(Accessed Nov. 2018)))は+65℃を超えるため、液化ガス(低圧液化ガス)とした。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4)より、区分4が1件、区分4~区分外が1件、区分外が2件該当する。よって、最も件数が多い区分外とした。なお、(1)のラットのデータは、区分を特定できないため、(2)~(4)のマウスのデータも分類に用いた。新しい情報源を用いて、区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):>32.21 mg/L(>13,550 ppm)(Patty(6th, 2012))
(2)マウスのLC50(1時間):52 mg/L(4時間換算値:10,938 ppm)(Patty(6th, 2012))
(3)マウスのLC50(2時間):520,000 ppm(4時間換算値:376,696 ppm)(DFGOT vol. 20(2003)。
(4)マウスの吸入による最小致死量(72分間):410,000 ppm (4時間換算値:224,556 ppm)(ACGIH(7th, 2017))。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分外とした。

【根拠データ】
(1)本物質は一般状態でガス状であり、皮膚刺激性を示さないとの報告がある(DFGOT vol. 20(2003)、GESTIS(Accessed Dec. 2018)、Patty(6th, 2012))。

【参考データ等】
(2)液化冷却した本物質の蒸発、又は液体状態での接触により、皮膚に凍傷を起こす可能性があるとの報告がある(DFGOT vol. 20(2003)、ACGIH(7th, 2017)、GESTIS(Accessed Dec. 2018))。
(3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(n=5)で本物質74~90%を含む調剤製品を適用した結果、無刺激又は中等度の紅斑と浮腫が見られた(刺激スコアは8点中0.29~2.025)との報告がある(DFGOT vol. 20(2003))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分外とした。

【根拠データ】
(1)本物質は一般状態でガス状であり、眼刺激性を示さないとの報告がある(DFGOT vol. 20(2003)、GESTIS(Accessed Dec. 2018)、Patty(6th, 2012))。

【参考データ等】
(2)液化冷却した本物質の蒸発、又は液体状態での接触により、眼に凍傷を起こす可能性があるとの報告がある(DFGOT vol. 20(2003)、ACGIH(7th, 2017)、GESTIS(Accessed Dec. 2018))。
(3)本物質22%を含むヘアスプレー0.1 mLをウサギの眼に点眼し4秒後に洗浄した結果、1時間後に角膜に異常はみられなかったが、一過性の虹彩炎と弱い結膜炎がみられたとの報告がある(DFGOT vol. 20(2003)、Patty(6th, 2012))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。感作性がないことを示唆する報告(1)もあるが、具体的な症例報告や試験データは示されていないため採用していない。

【参考データ等】
(1)長期の職業的および非職業的経験(スプレー缶の推進剤としても使用される)にもかかわらず、感作作用の徴候はないとの報告がある(GESTIS(Accessed Dec. 2018))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない(但し、不純物のブタジエン含量が0.1%以上の場合、区分1B)
-
-
- - 【分類根拠】
In vivoのデータがなく、データ不足のため分類できない。但し、(1)より、不純物としてブタジエンを0.1%以上含む場合、区分1Bとする。本物質については、CLP調和分類を参考に不純物を考慮して分類したため、区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ブタジエン(1,3-ブタジエン、CAS:106-99-0)については、本邦の分類では区分1Bに分類されている(平成29年度GHS分類結果(2017))。

【参考データ等】
(2)本物質自体のin vitroのデータとしては、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性の報告がある(DFGOT vol. 20(2003))。
(3)EU CLPでは、不純物として既知発がん物質のブタジエンを0.1%以上含む本物質について、Muta. 1Bに分類している。
6 発がん性 分類できない(但し、不純物のブタジエン含量が0.1%以上の場合、区分1A)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、データ不足のため分類できない。但し、(2)より、不純物としてブタジエンを0.1%以上含む場合、区分1Aとする。本物質については、CLP調和分類を参考に不純物を考慮して分類したため、区分を変更した。

【根拠データ】
(1)本物質自体の発がん性に関する情報はない。
(2)ブタジエン(1,3-ブタジエン、CAS:106-99-0)については、本邦の分類では区分1Aに分類されている(平成29年度GHS分類結果(2017))。IARCでグループ1(IARC 100F(2012))、日本産業衛生学会でも第1群に分類されている(産衛学会発がん性分類の提案理由書(2001))

【参考データ等】
(3) EU CLPでは不純物として既知発がん物質のブタジエンを0.1%以上含む本物質について、Carc. 1Aに分類している。
7 生殖毒性 分類できない(但し、不純物のブタジエン含量が0.3%以上の場合、区分1B)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、データ不足のため分類できない。但し、(2)より、不純物としてブタジエンを0.3%以上含む場合、区分1Bとする。本物質については、CLP調和分類における生殖細胞変異原性、発がん性の分類を参考に不純物を考慮して分類したため、区分を変更した。

【根拠データ】
(1)本物質自体の生殖毒性に関する情報はない。
(2)ブタジエン(1,3-ブタジエン、CAS:106-99-0)については、本邦の分類では区分1Bに分類されている(平成29年度GHS分類結果(2017))。

【参考データ】
(3)EU CLPではCMRのエンドポイントのうち、生殖細胞変異原性、発がん性については不純物のブタジエンを考慮し分類している。ただし、生殖毒性については区分が付与されておらず、生殖毒性については混合物としても分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(循環器系)、区分3(麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)~(4)より、ヒトが本物質を大量吸入ばく露した場合、心機能障害や心不全を起こす可能性が示唆され、循環器系が標的臓器と考えられる。(5)、(6)より、本物質は麻酔作用を有すると考えられる。よって、区分1(循環器系)、区分3(麻酔作用)とした。なお、新たな情報源の追加により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ブタンガス(量不明)を吸入し死亡した4人のうち3人で、n-ブタン、イソブタン(本物質)、又はn-ブタン、本物質、およびプロパンの混合物が血液、脳、および肺から検出され、炭化水素合計の濃度は全例とも脳で最大値であった。著者らは他のn-ブタン中毒1例もあわせて、5例の死因は心臓リズムの障害の疑いがあると報告した(DFGOT vol. 20(2003))。
(2)16歳の少年がブタンガス吸入後に心不全を起こした。心電図上で異常がみられたが、心不全誘発の機序は不明であった。著者らは中枢抑制に加えて、酸素欠乏、心停止の原因を引き起きす心室粗動、あるいはブタンによる直接的な心停止誘導が関係していると報告した(DFGOT vol. 20(2003))。
(3)2歳の女児が本物質とブタン、プロパンを含む消臭剤をばく露後に心室性頻脈、強直性の発作、低カリウム血漿を生じた。頻脈は消臭剤ばく露と内因性エピネフリンが原因と考えられている(Patty(6th, 2012))。
(4)イヌ(無麻酔)に本物質50, 000 ppm(4時間換算値:7,906 ppm)で6分間吸入ばく露後、心臓感作によるエピネフリン誘発性の不整脈を生じた。この他、エピネフリンで前処置したマウスやイヌを用いた麻酔下での実験で、本物質の短時間吸入による心臓感作性応答がみられたとの幾つかの報告がある(ACGIH(7th, 2017))。
(5)本物質吸入ばく露によるラットの中枢抑制のEC50は200,000 ppm、同イヌの麻酔作用は450,000 ppmで影響が見られたとの報告がある(ACGIH(7th, 2017)、DFGOT vol. 20(2003))。
(6)n-ブタンと本物質のオリーブ油中の溶解度および空気とオリーブ油との間での分配係数をベースにすると、ヒトの麻酔作用発現濃度はn-ブタンで17,000 ppm、本物質で24,000 ppmと推定される(DFGOT vol. 20(2003))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、本物質単独ばく露によるヒトの報告からは重大な健康影響は検出されていない。また、(2)、(3)より、限られた動物試験報告からは有害影響は検出されていない。よって、分類できないとした。

【根拠データ】
(1)男女各4人、計8人のボランティアに本物質500 ppmで最長8時間/日、5日/週で2週間吸入ばく露したが、ばく露に関連した重大な影響は認められなかった。ただし、2週目に視覚誘発応答の振幅の減少がみられ、著者らは中枢神経抑制作用による可能性があるが、所見の意義は不確実であるとした(DFGOT vol. 20(2003)、ACGIH(7th, 2017))。
(2)本物質を含むC4/C5混合物(n-ブタン・n-ペンタンとイソブタン・イソペンタンを50:50で含む混合物)をラットに最大4,489 ppmで13週間吸入ばく露した結果、28日間の途中剖検群で雄に軽度腎症がみられただけで、投与終了時には腎臓も含め影響はみられいない。腎症は雄特異的な影響で毒性学的意義は低いと考えられた(ACGIH(7th, 2017)、DFGOT vol. 20(2003)、Patty(6th, 2012))。
(3)本物質22%を含むスプレー製品をウサギの頭部に13週間噴霧した試験、本物質65%とプロパンを含む脱臭剤をサルに90日間吸入ばく露した試験のいずれも有害影響は検出されなかった(ACGIH(7th, 2017)、Patty(6th, 2012))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外
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- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-
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- - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
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- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
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- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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