項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 5216-25-1 |
名称 | p-(トリクロロメチル)クロロベンゼン(別名p‐クロロベンゾトリクロリド) |
物質ID | H30-B-034-MHLW, MOE |
分類実施年度 | 平成30年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成19年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 引火点は113℃[方式不明](GESTIS(Accessed Nov. 2018))は測定法が不明であるが、所定の密閉式測定法でも93℃超えと判断できるため区分外とした。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は505℃(GESTIS(Accessed Nov. 2018))であり常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素および酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 |
P301+P312
P264 P270 P330 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:652 mg/kg(雄)(DFGOT vol. 10(1998)) (2)ラットのLD50:581 mg/kg(雌)(DFGOT vol. 10(1998)) (3)ラットのLD50:685 mg/kg(DFGOT vol. 10(1998)) (4)ラットのLD50:1,350 mg/kg(DFGOT vol. 10(1998)) (5)ラットのLD50:572 mg/kg(雌、雄)(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 |
警告 |
H312 |
P302+P352
P362+P364 P280 P312 P321 P501 |
【分類根拠】 (1)より、区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1,900 mg/kg(DFGOT vol. 10(1998)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - |
【分類根拠】 GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 |
警告 |
H332 |
P304+P340
P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)より、区分4とした。新しい情報源の利用により、区分を変更した。なお、(1)の試験濃度1.48 mg/L(158 ppm)は飽和蒸気圧濃度(39.6 ppm)よりも高いため、ミストの基準値を適用した。 【根拠データ】 (1)ラットの4時間吸入によるLC50:1.48 mg/L(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 【参考データ等】 (2)ラットの吸入LC50:0.125 mg/L(ばく露時間不明)(DFGOT vol. 10(1998))。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 |
P302+P352
P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
【分類根拠】 (2)は区分外(国連分類基準の区分3)に該当する。(1)はパッチ除去後72時間後の情報は不明だが重度の刺激性があると判断されており、区分2が妥当と考えられる。(1)、(2)共に信頼性の高いデータであることから、有害性の強い区分2を採用した。 【根拠データ】 (1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP準拠、n=3)で4時間半閉塞適用したところ、パッチ除去後14日後の紅斑スコアは1.0、浮腫スコアは0.43であったことが報告されているがパッチ除去後72時間後までのスコアは報告されていない。試験報告書では、本物質は重度の刺激性を有すると判断されている(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 (2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP準拠、n=3)で4時間閉塞適用したところ、パッチ除去後の24時間、48時間、72時間で紅斑及び浮腫スコアが1前後であったが、15日後でも紅斑スコア1、浮腫スコア0であることが報告されている(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 【参考データ等】 (3)EU CLPではSkin Irrit. 2に分類されている。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1)より7日間の観察期間内に刺激性が回復しなかったこと、並びに(2)に基づき、区分2Aとした。なお、(3)のデータもあるが、適用後72時間までの刺激性データが示されておらず、区分判断に用いなかった。 【根拠データ】 (1)ウサギを用いた眼刺激性試験(16 CFR 1500.4(OECD TG405相当)、n=6)において、本物質0.1 mLを適用後24、48及び72時間の平均スコア計算値は、角膜混濁:1、虹彩炎:0、結膜発赤:2、結膜浮腫:2となり、8日後にも結膜浮腫が4/6例で見られたとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018)、DFGOT vol. 10(1998))。 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質は結膜に軽度の刺激性を有するとの報告がある(DFGOT vol. 10(1998))。 【参考データ等】 (3)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP準拠、n=3)において、7日後には全例で刺激性が見られなかったとの報告があるが、適用72時間後までのスコアは示されていない(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 |
P302+P352
P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
【分類根拠】 (1)より、区分1とした。(2)はDFGOTでも指摘されている通り、試験の詳細が不明なため、分類には用いなかった。新たな情報源の利用により区分を変更した。 【根拠データ】 (1)マウスを用いたLLNA試験(OECD TG429、GLP準拠、n=5/群)の結果、本物質1~10%溶液(アセトン/オリーブ油が4:1)を適用した結果、1、5、10%溶液それぞれでIS値は7.2、15.9、19.5と3を上回ったが、EC3値は算出できなかったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 【参考データ等】 (2)実験動物(動物種不明)の皮膚に本物質1%溶液を10回塗布し、感作後に1%溶液塗布で惹起した結果、中等度の陽性反応が60%で見られ、試験実施者は皮膚感作性ありと結論付けたとの報告がある(DFGOT vol. 10(1998))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 In vivoのデータがなく、データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1)In vitroでは、細菌を用いた2件の復帰突然変異試験で陽性の結果が得られている(DFGOT vol. 10(1998)、安衛法変異原性試験結果(Accessed Dec. 2018))。 (2)哺乳類培養細胞を用いた遺伝子(hprt)突然変異試験で陽性の結果が得られている(DFGOT vol. 10(1998))。 (3)哺乳類培養細胞を用いた2件の染色体異常試験で陽性の結果が得られている(DFGOT vol. 10(1998)、安衛法変異原性試験結果(Accessed Dec. 2018))。 |
6 | 発がん性 | 区分1B |
危険 |
H350 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。 (1)、(2)より、1種のみだが経口および経皮の2経路で多臓器に悪性腫瘍の発生が認められ、かつ投与期間が通常の2年間(104週間)よりも短い期間で腫瘍発生を生じたことも踏まえ、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)雌マウスに本物質0.05~2 μLを2回/週で17.5週間強制経口投与し、14ヵ月後に腫瘍発生を調べた結果、0.05 μL以上の全投与群で前胃腫瘍(扁平上皮がん、上皮内がん、多発性乳頭腫)および肺腫瘍(腺がん、腺腫)の増加、0.8 μL以上で悪性リンパ腫・胸腺腫の増加、2 μLで皮膚がん(扁平上皮がん、肉腫、腺がん)、乳がん、唾液腺がんの増加が認められた。また、担腫瘍動物の発生率に用量依存性が認められた(DFGOT vol. 10(1998)、REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 (2)雌マウスにベンゼンに溶解した本物質5 μLを2回/週で30週間経皮適用し、試験開始9ヵ月後に腫瘍発生を調べた結果、投与群の82%(18/22例)に腫瘍発生がみられ、悪性腫瘍16例、良性腫瘍2例と悪性腫瘍が大部分を占めた。部位別には転移性を含めた皮膚腫瘍、肺、食道、胃などに腫瘍発生が認められた(DFGOT vol. 10(1998))。 【参考データ等】 (3)EU CLPではCarc. 1Bに分類されている。その他の国内外の分類機関による既存分類はない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)から精巣および精子への有害影響が示されるが、受精能に関するデータはない。また、(2)の吸入ばく露による発生毒性試験では、母動物毒性が明らかな用量で胎児への発生影響が生じているが、いずれも軽微な影響(胎児の体重低値、骨格変異、骨化遅延)に限定されたため、ガイダンスに従い分類根拠としない。以上、既知見からは区分を付与すべき明確な根拠は得られず、分類できないとした。なお、(3)のようにEUではRepr. 2に分類されているが、分類根拠は明らかではない。 【根拠データ】 (1)ラットの90日間経口投与試験およびラットの30日間吸入ばく露試験試験において、精巣や精子への影響(精巣萎縮・精巣のサイズ減少・精子無形性症)がみられた(DFGOT vol. 10(1998))。 (2)妊娠ラットの妊娠6~19日に最高25 mg/m3で吸入ばく露した結果、25 mg/m3 の投与では母動物に体重増加抑制、摂餌量減少がみられたが、胎児には胎児体重の減少、頸肋、および胸骨の不完全骨化がみられただけであった(DFGOT vol. 10(1998))。 【参考データ等】 (3)EU CLPではRepr. 2に分類されている。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(呼吸器)、区分3(麻酔作用) |
警告 |
H371
H336 |
P308+P311
P260 P264 P270 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)より区分2(呼吸器)、(2)より区分3(麻酔作用)に分類できる。よって、区分2(呼吸器)、区分3(麻酔作用)とした。新たな情報源の利用により区分を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットに4時間吸入ばく露した単回投与試験において、0.99~2.32 mg/L(区分2の範囲相当)で、眼と皮膚への刺激性に加え、肺および上気道への著しい傷害影響がみられたとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 (2)ラットに経口投与した単回投与試験(OECD TG 401)において、365 ~1,230 mg/kg(区分2の範囲)で、鎮静、活動性低下、立毛、円背姿勢、低体温、流涎がみられたとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器、生殖器官(男性))、区分2(血液系、肝臓) |
危険 警告 |
H372
H373 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)より区分1(呼吸器、生殖器(男性))、(2)より区分2(血液系、肝臓、生殖器(男性))に分類できる。よって、区分1(呼吸器、生殖器(男性))、区分2(血液系、肝臓)とした。データを見直した結果、標的臓器を一部追加するとともに区分を変更した。なお(3)より中枢神経抑制を示唆する症状がみられたとの報告があるが、90日試験である(2)では認められていないことから、中枢神経系は標的臓器とはしなかった。 【根拠データ】 (1)ラットに3.98~94.5 mg/m3を30日間吸入(蒸気と推定)(6時間/日、5日/週)ばく露した試験において、3.98 mg/m3(90日換算:0.00095 mg/L、区分1の範囲)で呼吸器の組織変化(嗅上皮の萎縮、呼吸上皮の潰瘍、扁平上皮化生、及び過形成)が、94.5 mg/m3(90日換算:0.032 mg/L、区分1の範囲)で精巣萎縮がみられたとの報告がある(DFGOT vol.10(1998))。なお、試験濃度範囲の3.98~94.5 mg/m3(0.4~10.1 pm)は本物質の飽和蒸気圧濃度(39.6 ppm)の90%未満であり、試験空気はミストを含まない蒸気と考え、分類区分は蒸気の基準を適用した。 (2)ラットに12.5~25 mg/kg/dayを90日間強制経口(7日間/週)投与した試験において、12.5及び25 mg/kg/day(区分2の範囲)で血液影響(白血球数およびリンパ球数の減少(雌雄)、赤血球数およびヘマトクリット値の減少(雄))、雄性生殖器への影響(精巣の小型化、精管の萎縮、精子無形性症)、肝臓への影響(肝細胞の変性巣(雌))がみられたとの報告がある(DFGOT vol. 10(1998))。 【参考データ等】 (3)(2)の用量設定のためのラットに2週間強制経口投与した試験において、25 mg/kg/day(90日換算:3.89 mg/kg/day、区分1の範囲)で体重増加抑制、消化管障害、呼吸困難等に加え、中枢神経抑制を示唆する症状(振戦、運動失調)がみられたとの報告がある(DFGOT vol. 10(1998))。 (4)ラットに本物質0.1~9.67 mg/m3で4ヵ月間吸入ばく露した試験で、0.1 mg/m3から肺の刺激症状、9.67 mg/m3で死亡例の発現、肺・肝臓・脳の傷害がみられたとの報告があるが、記述が不十分の上に対照群の設定がなく、影響は疑わしいとされている(DFGOT vol. 10(1998))。 (5)上記と同じ原著者による報告で、モルモットを用いた4ヵ月間吸入ばく露試験において、1.72 mg/m3でタンパク尿、ヘモグロビンおよび赤血球数の一過性減少がみられた(DFGOT vol. 10(1998))。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
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