政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 129-73-7
名称 4,4'-ビス(ジメチルアミノ)トリフェニルメタン (別名:ロイコマラカイトグリーン)
物質ID R01-A-004
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - 酸素、塩素及びフッ素を含まない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) よりいくつかのin vivo試験で陽性の結果が得られていること、(3)、(4) より本物質はin vivo変異原性と認識されていること、(5) より本物質は区分1Bに分類されたマラカイトグリーンの代謝物であることから、区分2とした。

【根拠データ】
(1) in vivoではげっ歯類の小核試験ではほとんど陰性であったが、最も高用量までばく露したマウス末梢血の小核試験で弱陽性であった。また、トランスジェニック動物のcII遺伝子突然変異試験では、ラットで陰性、マウスでは陽性であった。さらに、肝臓DNA付加体試験ではマウスで陰性、ラットで陽性であった。一方、トランスジェニック動物 (ラット、マウス) の脾臓リンパ球HPRT試験では陰性であった (NTP TR527 (2005)、JECFA FAS61 (2009)、JECFA TRS 954 (2009)、EFSA (2016)、NTP DB (Access on May 2019)、食品安全委員会 動物用医薬品評価書 (2005))。
(2) in vitroでは哺乳類培養細胞のHPRT試験及び細菌の復帰突然変異試験で陰性である (NTP TR527 (2005)、JECFA FAS61 (2009)、JECFA TRS 954 (2009)、食品安全委員会 動物用医薬品評価書 (2005))。
(3) 英国の変異原性諮問委員会と発がん性委員会は、本物質はin vivo 変異原性物質と見なすべきと結論している (食品安全委員会 動物用医薬品評価書 (2005))。
(4) EU CLP調和分類では区分2 に分類されている。
(5) 本物質はマラカイトグリーン (CAS番号 569-64-2) の代謝物であり (食品安全委員会 動物用医薬品評価書 (2005))、マラカイトグリーンについては、マウス精母細胞を用いたin vivo染色体異常試験で陽性の結果が得られており (EFSA (2016))、本邦のGHS分類では区分1Bとされた (2017年度GHS分類)。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) より既存分類では区分2相当であるが、EU CLP分類であることから、(2)~(4) の動物実験において発がん性が認められていることと併せて、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EU CLPがCarc.2 (EU CLP分類 (Access on May 2019)) に分類している。
(2) 雌雄ラットに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雌雄に甲状腺濾胞細胞腺腫と同腺がんの合計発生頻度のわずかな増加、雄に両側性精巣間細胞腺腫の発生の増加、雌に肝細胞腺腫のわずかな増加が認められた。[曖昧な証拠 (equivocal evidence)] (NTP TR527 (2005)、食品安全委員会 動物用医薬品評価書 (2005)、EFSA (2016)、JECFA FAS61 (2009))。
(3) 雌マウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、肝細胞腺腫と肝細胞がんの合計の発生頻度の増加が認められた。 [ある程度の証拠 (some evidence)] (NTP TR527 (2005)、食品安全委員会 動物用医薬品評価書 (2005)、EFSA (2016)、JECFA FAS61 (2009))。
(4) 食品安全委員会は本物質のヒトにおける発がんリスクは明らかでないが、動物試験結果から発がん性が示唆され、遺伝毒性を有することも否定できないとの見解を示した (食品安全委員会 動物用医薬品評価書 (2005))。一方、EFSAのパネルは、マウスでは肝細胞腺腫の増加と肝細胞がんのわずかな増加、ラットでは乳腺がんの増加及び甲状腺濾胞細胞の腺腫と同がんの合計頻度の増加がみられたとの解析に基づき、本物質は発がん性を示す可能性があると結論した (EFSA (2016))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、母動物毒性がみられる用量で着床後胚損失増加がみられていることから区分2とした。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (著しい体重減少、摂餌量減少) がみられる用量で胎児の骨格変異 (主な変異は胸椎椎体中心の二分骨化)、着床後胚損失増加、胎児重量減少、胎盤重量減少、内臓異常 (腎盂拡張) が認められている (EFSA (2016)、HSDB (Access on May 2019))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露)
-
-
- - データ不足のため分類できない。


9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(甲状腺、肝臓)、区分2(膀胱、血液系)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、ラット、マウスへの経口投与により区分1の範囲で甲状腺、肝臓、区分2の範囲で膀胱、血液系への影響がみられていることから、区分1 (甲状腺、肝臓)、区分2 (膀胱、血液系) とした。

【根拠データ】
(1) 雄ラットに28日間混餌投与した結果、290 ppm (90日換算: 9 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で肝臓重量増加、580 ppm (90日換算: 19 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で体重増加抑制、肝細胞空胞化、1,160 ppm (90日換算: 36 mg/kg/day、区分2の範囲) で体重の低値、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、赤血球数の低値等の貧血傾向、γ-GT活性の増加がみられた (NTP TR527 (2005)、食品安全委員会 動物用医薬品評価書 (2005)、EFSA (2016))。
(2) 雌マウスにを28日間混餌投与した結果、290 ppm (90日換算: 19 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で肝臓重量増加、580 ppm (90日換算: 34 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で体重増加抑制、1,160 ppm (90日換算: 68 mg/kg/day、区分2の範囲) で体重の低値、膀胱の移行上皮細胞でアポトーシスがみられた (同上)。
(3) ラットに2年間混餌投与した結果、非腫瘍性病変として、91 ppm (雄: 5 mg/kg/day、雌: 6 mg/kg/day、区分1の範囲) で肝臓好酸性細胞巣、肝臓嚢胞性変性、甲状腺の濾胞性嚢胞が、272 ppm (17 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で肝細胞空胞化がみられた (同上)。
(4) 雌マウスに2年間混餌投与した結果、非腫瘍性病変として、91 ppm (13 mg/kg/day、区分2の範囲) で膀胱の移行上皮細胞における細胞質内封入体の増加がみられた (同上)。

【参考データ等】
(5) 本物質の前駆物質であるマラカイトグリーン (CAS番号 569-64-2) は、2017年度GHS分類において区分1 (甲状腺)、区分2 (血液系、肝臓) に分類されている。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データなし
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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