政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 643-79-8
名称 o-フタルアルデヒド
物質ID R01-A-012
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - 塩素及びフッ素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:121 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
(2) ラットのLD50:178.46 mg/kg (REACH登録情報 (Access on August 2019))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:> 2,000 mg/kg (REACH登録情報 (Access on August 2019))
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間半閉塞適用) において、24/48/72hの紅斑及び浮腫の平均スコアはそれぞれ1.8及び2.9であり、14日後にも痂皮及び瘢痕が残ったことから腐食性ありと判定された (REACH登録情報 (Access on July 2019))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1) より、皮膚腐食性 (区分1) と判定されているため、区分1とした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間半閉塞適用) において24/48/72hの紅斑及び浮腫の平均スコアはそれぞれ1.8及び2.9あり、14日後にも痂皮及び瘢痕が残り皮膚腐食性 (区分1) と判定されている (REACH登録情報 (Access on July 2019))。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
【分類根拠】
(1)~(2) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 本物質の職業ばく露と関連した気管支喘息及び接触皮膚炎の症例が複数報告された (NTP TOX84 (2018))。
(2) 病院内で本物質を用いる内視鏡部門の作業者70人の健康有害影響を調べた研究において、17人が接触皮膚炎、職業喘息及び眼刺激と診断された (NTP TOX84 (2018))。
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1) で使用されたマウス系統はOECD TG 429の推奨系統ではないが、EC3は区分1A相当の0.051%と報告されており、(2) の結果も区分1Aを支持することから、区分1Aとした。

【根拠データ】
(1) BALB/cマウスを用いたマウス局所リンパ節試験 (LLNA) においてEC3は0.051%と報告されている (ACGIH (7th, 2019))。
(2) モルモット (20例、雌) を用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG 406、GLP、皮内感作 0.1%、経皮感作1%、誘発0.1%) において、19/20例で陽性反応がみられた (REACH 登録情報 (Access on July 2019))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、遺伝毒性の懸念なしとするに足る十分なデータがなく、データ不足で分類できない。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットを用いた小核試験 (3ヵ月吸入ばく露) で陰性、マウスを用いた小核試験 (3ヵ月吸入ばく露) で陰性又は曖昧な結果の報告がある (NTP DB (Access on June 2019)、NTP TOX84 (2018))。
(2) in vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陽性結果の報告がある (NTP DB (Access on June 2019)、NTP TR84 (2018))。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、発生毒性に関しては母動物毒性がみられる用量においても胚/胎児に対する影響はみられていない。しかし、生殖能に関するデータがないことからデータ不足で分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6~15日に経口投与した発生毒性試験 (EPA OPP 83-3準拠) において、母動物では死亡例がみられる中及び高用量においても、胎児には体重低値及び骨格変異がみられただけであった (REACH 登録情報 (Access on July 2019))。

【参考データ等】
(2) ラット及びマウスを用いた吸入経路による14週間反復投与毒性試験において、ラットで精巣、精巣上体及び精巣上体尾部の重量の減少、ラット及びマウスで精子の運動性の低下、精巣及び精巣上体の病理組織学的病変 (精巣上体で剥離した生殖細胞の増加、精巣で精子細胞変性、胚上皮のアポトーシス、及び間細胞萎縮等) がみられた (NTP TOX84 (2018))。
(3) 妊娠中にフタルアルデヒドにばく露された実験動物では妊娠中絶や先天性欠損症の徴候はみられなかったが、母動物毒性がみられた高用量で骨化遅延がみられた。 実験動物においてフタルアルデヒドが不妊を引き起こす可能性に関するデータは入手できなかった。しかしながら、低濃度のフタルアルデヒドに繰り返しばく露した後、精巣に対する損傷ならびに精子数の減少及び運動性が雄動物において観察された (HSDB (Access on June 2019))。これらのデータについては混合物のデータで詳細が不明のため参考データとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) で、ヒトにおいて呼吸器に影響を与えるとの報告より、区分1 (呼吸器) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質を用いて消毒され、洗浄が不十分であった医療機器 (食道及び大腸内視鏡等) の使用による患者のばく露事故例が多数報告されている (NTP TOX84 (2018))。原典論文には、一例として、患者が口唇、舌、喉頭、食道に熱傷を生じた症例が記載されている (Venticinque et al., Anesth. Analg. 97, 1260-1261, 2003)。
(2) 消毒剤として使用された本物質が不十分な洗浄のために残留・付着していた内視鏡の使用により、患者が中咽頭と喉頭に熱傷を生じた症例が1例、報告されている (HSDB (Access on June 2019))。
(3) 消毒剤として使用された本物質が不十分な洗浄のために残留・付着していた経食道超音波装置の使用により、患者が口唇、舌、咽頭、食道の皮膚と粘膜に広範で重篤な損傷を生じた症例が1例、報告されている (HSDB (Access on June 2019))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、生殖器(男性))


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (呼吸器、生殖器 (男性)) とした。

【根拠データ】
(1) ラットに0.44~7.0 ppm (ガイダンス値換算: 0.002~0.03 mg/L、区分1の範囲) の濃度で14週間吸入ばく露試験 (6時間/日、5日間/週) した結果、0.44 ppm 以上で鼻腔の化膿性炎症、0.88 ppm 以上で異常呼吸、くしゃみ、精巣重量の減少、鼻腔、喉頭、気管への影響等、3.5 ppm以上で死亡、肺胞及び気管支への影響、精巣の間細胞萎縮等がみられ、7.0 ppm では全例が死亡した (NTP TOX84 (2018))。
(2) マウスに0.44~7.0 ppm (ガイダンス値換算: 0.002~0.03 mg/L、区分1の範囲) の濃度で14週間吸入ばく露試験 (6時間/日、5日間/週) した結果、0.44 ppm 以上で鼻腔の化膿性炎症、精子運動性の減少等、0.88 ppm以上でヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少、鼻腔への影響等、1.75 ppm以上で赤血球数減少、喉頭の慢性活動性炎症等、3.5 ppm以上で死亡、異常呼吸、気管、肺の細気管支への影響、骨髄過形成 (骨髄芽球/赤芽球比の増加) 等がみられ、7.0 ppmで全例が死亡した。このうち血液系及び骨髄への影響については、呼吸器等の炎症に伴った変化であると考察されている (NTP TOX84 (2018))。
10 誤えん有害性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
藻類(セレナストラム)96時間EC50 = 0.184 mg/L(U.S.EPA: OPP Pesticide Ecotoxicity Database, 2019)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
急速分解性に関する十分なデータが得られておらず、急性毒性区分1であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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