項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 100-51-6 |
名称 | ベンジルアルコール |
物質ID | R01-B-005 |
分類実施年度 | 令和元年度(2019年度) |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成20年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | ※ |
- |
- | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
2 | 可燃性ガス | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
3 | エアゾール | ※ |
- |
- | - | エアゾール製品ではないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
4 | 酸化性ガス | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
5 | 高圧ガス | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
6 | 引火性液体 | ※ |
- |
- | - | 引火点100.5℃ (closed cup) (Merck 15th (2013)) に基づき、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。 |
7 | 可燃性固体 | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
8 | 自己反応性化学品 | ※ |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでおらず、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
9 | 自然発火性液体 | ※ |
- |
- | - | 発火点が436℃ (ICSC (2000)) であり、常温で発火しないと考えられ、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。 |
10 | 自然発火性固体 | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | ※ |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | ※ |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでおらず、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
13 | 酸化性液体 | ※ |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
14 | 酸化性固体 | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
15 | 有機過酸化物 | ※ |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
16 | 金属腐食性化学品 | ※ |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | ※ |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 |
P301+P312
P264 P270 P330 P501 |
【分類根拠】 (1)~(7) より、該当する件数の多い区分4とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50:1,200 mg/kg (JECFA FAS48 (2001)) (2) ラットのLD50:1,230 mg/kg (SIDS (2004)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012)) (3) ラットのLD50:1,600 mg/kg (JECFA FAS48 (2001)) (4) ラットのLD50:1,610 mg/kg (SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012)) (5) ラットのLD50:1,660 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013)) (6) ラットのLD50:2,080~2,100 mg/kg (SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012)、JECFA FAS48 (2001)) (7) ラットのLD50:3,100 mg/kg (JECFA FS48 (2001)、PATTY (6th, 2012)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 |
警告 |
H312 |
P302+P352
P362+P364 P280 P312 P321 P501 |
【分類根拠】 (1) より、区分4とした。 【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: 2,000 mg/kg (SIDS (2004)、環境省リスク評価第11巻 (2013)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、旧分類で採用したデータはエアロゾルによる試験との記載があることから、ミストの基準値を適用し、旧分類を変更した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1) のGLP準拠データは、4.178 mg/Lで死亡例がないことから、区分に該当しないとした。(1) のデータはエアロゾルによる試験との記載があることから、ミストの基準値を適用し、旧分類を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間):> 4.178 mg/L (SIDS (2004))、 (OECD TG 403、GLP準拠) 【参考データ等】 (2) ラットのLC50 (8時間):> 1,000 ppm (4時間換算値: 8.1 mg/L) (PATTY (6th, 2012)) (3) ラットのLC50 (4時間):8.9 mg/L (SIDS(2004)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で非刺激性 (not irritating) と報告されている (SIDS (2004))。 (2) ウサギの皮膚刺激性試験の2報告で、皮膚一次刺激性インデックス (PII値) は、それぞれ、1.56、1.83と報告されている (ECETOC TR66 (1995))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、中等度の刺激性 (moderately irritating) と報告されている (SIDS (2004))。 |
4 | 呼吸器感作性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(8) のデータはあるが、感作性陽性及び陰性のデータが混在しており、分類できない。 【参考データ等】 (1) ヒトパッチテストにて低頻度 (0.3%) であるが、陽性の報告がある (HSDB (Access on May 2019)。 (2) 25人のボランティアを対象として、本物質10%溶液を10日間に48時間パッチテストを5回行った試験で感作性は示されなかった (PATTY (6th, 2012))。 (3) ヒトにおける非感作性誘導用量 (NESIL) が5,900 μg/cm2と報告されており、弱感作性物質 (Weak sensitizer) と結論している (Api et al., 2015, Benzyl alcohol)。 (4) モルモットの感作性試験 (FCA法、OET法) で陽性と報告されている (SIDS (2004))。 (5) モルモットの感作性試験 (ドレイズ法、 マキシマイゼーション法) で陰性と報告されている (SIDS (2004))。 (6) CBA/Caマウスを用いたマウス局所リンパ節試験 (LLNA;感作濃度: 5%、10%、25%、50%) においてEC3は算出されず、陰性と判定された (DFGOT vol.3 (2018))。 (7) in vitro感作性試験 (Keratinosens) において陰性と判定されている (DFGOT vol.3 (2018))。 (8) LLNAの結果及び臨床所見等から本物質は感作性物質に該当しないと結論されている (DFGOT vol.3 (2018))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2) より、専門家判断に従い、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) In vivoでは腹腔内投与によるマウス骨髄細胞の小核試験で陰性である (環境省リスク評価第11巻 (2013)、SIDS (2004))。 (2) In vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性である。また、マウスリンフォーマ試験及び染色体異常試験では代謝活性化系存在下で陽性だが、極めて高濃度かつ細胞毒性濃度での反応であり、in vitro小核試験では陰性であった (NTP TR343 (1989)、NTP DB (Access on May 2019)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012)、SIDS (2004)、JECFA FAS48 (2001)、DFGOT vol.3 (2018))。 【参考データ等】 (3) DFGOT vol.3 (2018) 及びSIDS (2004) では、染色体異常試験陽性の結果は極めて高濃度や細胞毒性を示す濃度で得られたものであり、本物質の遺伝毒性の懸念はないと結論している (DFGOT vol.3 (2018) 、SIDS (2004))。 |
6 | 発がん性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 国内外の分類機関による分類結果はない。利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) よりガイダンスの分類できないに相当し、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) ラットおよびマウスに2年間強制経口投与した発がん性試験で、両種の雌雄ともに発がん性の証拠なし (no evidence) と結論された (NTP TR343 (1989))。 |
7 | 生殖毒性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2) より、発生毒性は母動物毒性発現用量で軽微な影響がみられたのみで区分に該当しないが、性機能及び生殖能に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1) 雌マウスの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性(1/50例の死亡)がみられたが発生影響はみられていない (SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012) 、環境省リスク評価第11巻 (2013))。 (2) 雌マウスの妊娠7~14日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性(19/50例の死亡、チアノーゼ、振戦、衰弱、運動失調等)がみられ、児の出生時体重の減少、その後の体重増加抑制がみられた (SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012) 、環境省リスク評価第11巻 (2013))。 【参考データ等】 (3) 旧分類で引用された「ラットの4世代経口投与試験」は本物質ではなく安息香酸 (benzoic acid) のデータである。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系、腎臓)、区分3(麻酔作用) |
危険 警告 |
H370
H336 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1 (中枢神経系、腎臓)、区分3 (麻酔作用) とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質を34.8%含有する塗膜剥離剤を吸入した45歳男性が、意識障害を来して昏睡状態で緊急搬送され、血圧低下、進行性の代謝性アシドーシスと尿細管障害による多尿を示し、急性ベンジルアルコール中毒と診断された (伊藤ら、日救急医会誌. vol. 29, p.254 (2018))。事故原因となった剥離剤の他の成分 (及び含有量) は、製品のSDSには水 (50%以上)、リン酸 (1~5%)、ナフタリン及び過酸化水素 (いずれも1%未満) と記載されており、上記の影響は本物質によると考えられる。 (2) 本物質は、皮膚に塗布、又は1%溶液の皮下注射により局所麻酔に使用された経緯がある (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 (3) ラットの単回経口投与試験において、抑うつ状態、興奮、昏睡がみられた。影響がみられた用量の記載はないが、LD50値である1,230 mg/kg付近でみられたとすると、区分2に相当する (SIDS (2004))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(中枢神経系) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、ヒト小児への静脈内投与により中枢神経系への影響がみられていることから、区分1 (中枢神経系) とした。 【根拠データ】 (1) 本物質は、血管内カテーテル洗浄液の保存剤として使用され、低体重児に神経系の阻害及び致死を引き起こした (PATTY (6th, 2012))。 (2) 本物質0.9%を含有する液体の静脈内投与により、低出生体重児に中毒症状 (あえぎ呼吸、アシドーシス、神経機能低下等) が発現した (PATTY (6th, 2012))。 【参考データ等】 (3) ラットあるいはマウスに50~800 mg/kg/dayを13週間経口投与した結果、800 mg/kg/day (区分2超) で神経毒性の兆候 (よろめき歩行、努力性呼吸、嗜眠) がみられ、さらにラットでは、脳、胸腺、骨格筋、腎臓の病変等がみられた (NTP TR343 (1989)、SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第11巻 (2013))。 (4) ラットに200、400 mg/kg/day、マウスに100、200 mg/kg/dayを2年間経口投与した結果、投与による非腫瘍性病変の発生はみられなかった (NTP TR343 (1989))。 |
10 | 誤えん有害性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分2 |
- |
H401 |
P273
P501 |
魚類(ブルーギル)96時間LC50 = 10 mg/L(環境省リスク評価第11巻, 2013)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:94%(既存点検, 1991))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 51 mg/L(環境庁生態影響試験, 1997、環境省リスク評価第11巻, 2013)であることから、区分に該当しないとなる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(ブルーギル)の96時間LC50 = 10 mg/L(環境省リスク評価第11巻, 2013)であるが、急速分解性があり(BODによる分解度:94%(既存点検, 1991))、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow= 1.1(PHYSPROP Database、2019))ことから、区分に該当しないとなる。 以上の結果から、区分に該当しないとした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
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