政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 107-66-4
名称 りん酸ジ-ノルマル-ブチル
物質ID R01-B-019
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - 引火点187℃ (open cup) (ICSC (1998)) というデータがあり、所定の密閉式測定でも93℃より高温であると推定されるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - 発火点が420℃ (ICSC(1998)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 半金属 (P) を含むが、水溶解度が1.72×104 mg/L (25℃) (HSDB (Access on May 2019)) というデータがあり水と激しく反応することはないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - 塩素及びフッ素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (P) と結合しているが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:3,200 mg/kg (SIDS (2004)、HSDB (Access on August 2019))
(2) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (REACH登録情報 (Access on August 2019))

【参考データ等】
(3) ラットの最小致死量 (純度: 62.6% (不純物:ブチルフォスフェートのモノエステル体: 18.3%、その他トリエステル体等: 19.1%)) :> 2,000 mg/kg (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。なお、新たなデータが得られたため区分を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 431に準拠し、人工皮膚モデル (EST-1000) を用いたin vitro皮膚腐食性試験において3分及び60分ばく露後、生存率はそれぞれ64%、2%であった (REACH登録情報 (Access on July 2019))。

【参考データ等】
(2) ウサギの耳に0.5 mLを8時間半閉塞投与した皮膚刺激性試験で強い刺激性 (Highly irritating) を示した (ACGIH (7th, 2009)、 SIDS (2004))。
(3) 本物質はヒトの皮膚を刺激する可能性がある (HSDB (Access on June 2019))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1)~(3) のデータ及び皮膚腐食性 (区分1) とされていることより区分1とした。なお、新たなデータが得られたため区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギに0.1 mLを投与した眼刺激性試験で角膜の腐食反応を生じた (ACGIH (7th, 2009))。
(2) ウサギの眼に0.1 mLを投与後、7日間観察した眼刺激性試験で角膜混濁、虹彩、結膜発赤、結膜浮腫の24/48/120時間の平均スコアはそれぞれ1.5、1、2、2.8であった。なお、7日後に完全には回復しなかった (REACH登録情報 (Access on July 2019))。
(3) OECD TG 431に準拠し、人工皮膚モデル (EST-1000) を用いたin vitro皮膚腐食性試験において腐食性物質 (区分1) と判定されている (REACH登録情報 (Access on July 2019))。

【参考データ等】
(4) 本物質はヒトの眼、鼻、喉、肺を刺激する可能性がある (HSDB (Access on June 2019))。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。なお、新たなデータが得られたことから区分を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 406 (モルモットマキシマイゼーション試験) に準拠したモルモット皮膚感作性試験で皮膚反応は認められず、感作性陰性と判定された (REACH登録情報 (Access on July 2019))。
(2) モルモットの試験で感作性を示さない (ACGIH (7th, 2009))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
In vivoのデータがなく、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験及び哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性の報告がある (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019)、ACGIH (7th, 2009)、SIDS (2004))。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) において催奇形性はみられていない。しかし、受胎能および性機能に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。被験物質の純度等を踏まえて分類根拠データを見直したことから分類結果が変更となった。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠7~17日に経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性、胎児毒性はみられていないとの報告がある (ACGIH (7th, 2009))。

【参考データ等】
(2) ラットに本物質を含む混合物 (本物質: 62.6%、ブチルフォスフェートのモノエステル体: 18.3%、トリエステル体等: 19.1%) を強制経口投与した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物に死亡あるいは切迫屠殺 (雄: 3/10例、雌: 2/10例)、削痩、深大呼吸、膀胱や胃粘膜のびらん、潰瘍、肝細胞腫大等がみられ、生殖影響として雌1例で全児死亡の難産がみられたものの明らかな生殖影響はみらず、発生影響としては出生児数、出生率、哺育4日生存児数及び生存率の減少傾向が報告されている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019)、SIDS (2004)、ACGIH (7th, 2009))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分3 (気道刺激性) とした。旧分類では (3) のラットの試験でみられた所見に基づき、区分3 (麻酔作用) としていたが、これらの所見は分類根拠としては不十分であり、また、被験物質中の本物質の純度が低く、不純物の影響については判断できない。したがって、旧分類から分類結果が変更となった。

【根拠データ】
(1) 本物質は中程度の強酸 (a moderately strong acid) であり、皮膚、眼、粘膜及び上気道を刺激すると考えられる (ACGIH (7th, 2009))。

【参考データ等】
(2) 本物質にばく露された労働者 (複数) が気道刺激と頭痛を訴えたとの情報がある (ACGIH (7th, 2001))。しかしながら、出典は私信で詳細不明であり、また、この情報はACGIH (7th, 2009) には記載されていない。
(3) ラットに本物質2,000 mg/kg (純度: 62.6% (不純物: ブチルフォスフェートのモノエステル体: 18.3%; その他トリエステル体等: 19.1%)) を単回強制経口投与した試験で、一過性の自発運動低下、呼吸深大化、眼瞼下垂、流涎、下腹部尿汚染、赤色尿が認められたが、死亡例はなく、剖検での異常所見もみられなかった (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、ラットへの経口投与により区分2の範囲で肝臓、副腎、膀胱への影響がみられたとの報告があるが、被験物質中の本物質の純度が低く、他の組成成分による影響の可能性も考えられることから、分類できないとした。被験物質の純度等を踏まえて検討し、旧分類から分類結果を変更した。

【参考データ等】
(1) ラットに本物質 (純度: 62.6% (不純物: ブチルフォスフェートのモノエステル体: 18.3%; その他トリエステル体等: 19.1%)) 30~1,000 mg/kg/dayを雄に44日間、雌に40~51日間強制経口投与した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、100 mg/kg/day (90日換算: 雄/雌: 49/44 mg/kg/day、区分2の範囲) あるいは300 mg/kg/day (90日換算: 雄/雌: 147/133 mg/kg/day、区分2超) 以上で膀胱や胃の粘膜の障害 (腺胃粘膜や前胃粘膜のびらん及び潰瘍) が、100 mg/kg/day以上で全児が死亡した雌では肝細胞の脂肪化及び副腎皮質細胞の空胞化がみられた (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019)、SIDS (2004)、ACGIH (7th, 2009))。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分に該当しない
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- - 魚類(ヒメダカ)の96時間LC50=110mg/L(SIDS, 2004)であることから、区分に該当しないとした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
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- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BODによる分解度:平均2%(既存点検, 1994))、魚類(ヒメダカ)の96時間LC50 = 110 mg/L(SIDS, 2004)であることから、区分に該当しないとなる。
以上の結果より、区分に該当しないとした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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