政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 108-20-3
名称 イソプロピルエーテル
物質ID R01-B-020
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成30年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-28℃ (closed cup)、沸点69℃ (NFPA (2010)) に基づいて区分2とした。
7 可燃性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - 発火点が443℃ (NFPA (2010)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - 塩素及びフッ素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50 : 4,600~11,400 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))
(2) ラットのLD50 : 4,600 mg/kg、8,470 mg/kg、12,000 mg/kg (DFGOT vol.21 (2005))
(3) ラットのLD50 : 6.4 mL/kg (4,645.12 mg/kg)、16.5 mL/kg (11,975.7 mg/kg) (PATTY (6th, 2012))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50 : 20 mL/kg (14,516 mg/kg) (ChemID (Access on August 2019))

【参考データ等】
(2) ウサギの皮膚に50,000 mg/kg、1時間ばく露した結果、毒性はみとめられなかった。 (DFGOT vol.21 (2005))
(3) ウサギの皮膚にばく露した結果 (濃度不明)、悪影響はなかった。(PATTY (6th, 2012))
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、LC50値は16,000 ppm以上と考えられるが、区分の特定ができないため分類できないとした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (196,068 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのlethal vapor concentration (致死蒸気濃度) (4時間) : 1.60% (16,000 ppm) (PATTY (6th, 2012))

【参考データ等】
(2) ラットのLC50 (ばく露時間不明) : 162,000 mg/m3 (162 mg/L = 38,763.95 ppm) (ChemID (Access on August 2019))
(3) マウスのLC50 (15分) : 36,000 mL/m3 (36,000 ppm) (DFGOT vol.21 (2005))
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 404に準拠し、ウサギに0.5 mLを4時間半閉塞適用した試験で、24/48/72時間の紅斑及び浮腫の平均スコアはそれぞれ、1.77及び0.87であった (REACH登録情報 (Access on July 2019))。

【参考データ等】
(2) 本物質はウサギの皮膚に対して軽度の刺激と眼に対して刺激性を有する (DFGOT vol.21 (2005))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。なお、新たなデータが得られたため区分を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 405に準拠しウサギを用いた眼刺激性試験において、24/48/72時間の角膜混濁、虹彩、結膜発赤、結膜浮腫の平均スコアは2例で全て0、1例で結膜発赤で0.33を示したのみであった (REACH登録情報 (Access on July 2019))。

【参考データ等】
(2) ヒトで800 ppm、5分のばく露において、眼と鼻の刺激を呈する (PATTY (6th, 2012))。
(3) 本物質はウサギの皮膚に対して軽度の刺激と眼に対して刺激性を有する (DFGOT vol.21 (2005)、PATTY (6th, 2012))。
4 呼吸器感作性
-
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
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- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しないとした。なお、新たなデータが得られたことから区分を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) においてSI値は25%、 50%、100%でそれぞれ 0.75、0.71、0.80であり、陰性と判定された (REACH登録情報 (Access on July 2019))。
(2) リジン含有ペプチドとの反応性をみた試験において、反応なしと判定 (DFGOT vol.21 (2005))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
In vivoのデータがなく、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験及び哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性の報告がある (DFGOT vol.21 (2005))。
6 発がん性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) ラットに250 又は1,000 mg/kg/dayを78週間 (4日/週)、強制経口投与した発がん性試験において、耳管のがん (雌雄)、精巣間細胞腫、子宮及び膣の悪性肉腫の頻度増加がみられたと報告されたが、これらの発生頻度は試験実施施設における対照群背景データの発生頻度とほぼ一致していたこと、同一施設における他試験の病理切片との独立したレビューの結果、耳管がんの分類が適切でなかったことが論文におけるデータのレビューで記述され、当初の報告結果は本物質の発がん影響を特定する目的に利用するには制限があると考えられた (REACH登録情報 (Access on June 2019))。
7 生殖毒性
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- - 【分類根拠】
(1) より生殖影響はみられず、 (2) より母動物毒性がみられる濃度においても発生影響はみられていない。(1) はスクリーニング試験であることからデータ不足のため分類できないとした。なお、新たな情報源を用いたため分類が変更となった。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた経口経路での反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物毒性がみられる用量においても、生殖影響、発生影響はみられていない (経済産業省による安全性試験結果 (2007))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に吸入ばく露した発生毒性試験において、母動物に体重増加抑制、摂餌量減少がみられる用量で、胎児に骨格変異 (痕跡あるいは短い第14肋骨) はみられたが、催奇形性は示さなかったとの報告がある (DFGOT vol.21 (2005))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性)


警告
H336
H335
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より 区分3 (麻酔作用、気道刺激性) とした。旧分類が中枢神経系への分類根拠としたHSDB (2003) のヒトでの中枢神経系抑制と致死性の呼吸麻痺に関する記載は、HSDB (Access on June 2019) ではエチルエーテルの情報とされているため、根拠としなかった。したがって、分類結果が変更となった。

【根拠データ】
(1) ヒトでは、本物質の蒸気800 ppmに5分間、ばく露された被験者のほとんどが鼻の刺激を訴えたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質の蒸気30,000 ppmに1時間、吸入ばく露された動物 (サル、ウサギ、モルモット) が、麻酔作用を示したが、全例生存したとの報告がある (PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol.21 (2005))。
(3) 本物質はジエチルエーテルと同様に、実験動物に麻酔作用を有するとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。



9 特定標的臓器毒性(反復暴露)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より経口経路においてガイダンス値の範囲内でヒトへの外挿性のある影響はみられておらず、(2) より吸入経路においてもガイダンス値の範囲内で影響はみられていないことから、区分に該当しない (経口・吸入) とした。なお、経皮経路については情報がなく、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1) ラットに本物質100~1,000 mg/kg/dayを雄で42日、雌で41~55日間強制経口投与した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、100 mg/kg/day (90日換算: 雄/雌: 47/45 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雄で近位尿細管上皮の好酸性体、300 あるいは1,000 mg/kg/day (90日換算: 雄: 140あるいは467 mg/kg/day、雌: 137あるいは456 mg/kg/day、区分2超) で肝臓及び腎臓重量増加、総コレステロール、リン脂質、総蛋白質の増加、小葉中心性肝細胞肥大、近位尿細管の壊死 (雄) 等がみられた。このうち雄でみられた腎臓の病変についてはα2uグロブリン蓄積に伴う所見であると考察されている (経済産業省による安全性試験結果 (2007))。
(2) ラットに本物質480~7,100 ppmを90日間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した試験において、480 ppm (ガイダンス値換算: 2.0 mg/L、区分2超) で影響がみられず、 3,300 ppm (ガイダンス値換算: 13.8 mg/L、区分2超) 以上の雄で肝臓及び腎臓重量増加、7,100 ppm (ガイダンス値換算: 29.7 mg/L、区分2超) の雄で肝臓の肝細胞肥大、腎臓の近位尿細管の硝子滴増加がみられた (DFGOT vol.21 (2005))。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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