政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 121-45-9
名称 亜りん酸トリメチル
物質ID R01-B-036
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点28℃ (closed cup) (ホンメル (1991)) に基づいて区分3とした。UNRTDGにおいてUN 2329、クラス3、PGⅢに分類されている。
7 可燃性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に自己反応性に関連する原子団 (P-O) を含んでいるが、UNRTDGにおいて、UN 2329、クラス3、PGIIに分類されており、優先評価項目である自己反応性化学品はガイダンスに基づいてタイプGとした。
9 自然発火性液体
-
-
- - 発火点が250℃ (ICSC (2004)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないであり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 半金属 (P) を含むが、データがなく分類できない。なお、水と激しく反応し、強く発熱して爆発危険がある (ホンメル (1991)) という情報がある。
13 酸化性液体
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (P) と結合しているが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分4とした。
なお、新たな情報源の追加により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:> 2,000 mg/kg (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on August 2019))
(2) ラットのLD50:2,500~2,890 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2019))
(3) ラットのLD50:1,600 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2019))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しない。
なお、分類ガイダンスの改訂により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50:2,600 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2019))
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分が特定できないため、分類できないとした。
なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (約 31,581.4ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間):> 10,000 ppm (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2019))
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 本物質はウサギの皮膚に中等度から重度の持続性の刺激性を示す (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2019))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。なお、旧分類は区分2Aとしていたが、詳細なスコアデータや回復期間が確認できないため細区分は行わなかった。

【根拠データ】
(1) 本物質 (原液) のウサギの眼への投与は重度の眼刺激と浮腫を引き起こすが数日で回復する (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2019))。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) 本物質はモルモットを用いた試験で感作性を示さなかった (PATTY (6th, 2012))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、in vivo、in vitro試験を含む標準的組合せ試験でいずれも陰性であったことから、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス骨髄の小核試験で陰性の報告がある (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、マウスリンフォーマ試験及び哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性の報告がある (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) 、(2) より、簡易生殖毒性試験においては生殖、発生影響はみられていないが、発生毒性試験において母動物毒性がみられない用量で胎児吸収の増加や外表異常、骨格及び内臓の欠損がみられていることから区分1Bとした。なお、分類根拠データを見直し区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた強制経口投与による簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物毒性として前胃の粘膜肥厚、流涎がみられたが、生殖影響はみられず、出生児に対する影響としては、死亡児1例に無顎、耳介の低位、小眼、水腎 がみられたが、自然発生奇形と判断され、出生児に影響はないと判断されている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性のみられない用量で外表異常、骨格及び内臓の欠損がみられ、また、胎児吸収の増加がみられている (PATTY (6th, 2012)、Mehlman MA et al; Toxicol Appl Pharmacol 72 (1): 11923)。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3 (気道刺激性) とした。

【根拠データ】
(1) ヒトで眼、皮膚、上気道を刺激するとの記載がある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2019))。
(2) ラットの単回吸入ばく露試験において、顕著な不穏 (落ち着きのない様子)、刺激症状、呼吸困難が認められた (ACGIH (7th, 2001))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(眼、神経系、呼吸器、骨、造血系)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2 (眼、神経系、呼吸器、骨、造血系) とした。なお、みられた影響について再検討した結果、旧分類を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットに28日間経口投与した試験において、刺激性によるものと考えられる前胃の変化のほか、60 mg/kg/day (90日換算: 18.7 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で肺のII型細胞上皮の肥大、250 mg/kg/day (90日換算: 77.8 mg/kg/day、区分2の範囲) で自発運動減少、振戦、流涎、赤血球数、ヘモグロビン量及びヘマトクリット値の増加、白内障、甲状腺濾胞上皮の肥大、胸腺の萎縮、肺胞/血管周囲の炎症細胞浸潤及び泡沫細胞の集簇、坐骨神経及び脊髄の神経線維の変性、橋 (脳幹) 及び脊髄の神経細胞の中心性色素融解、骨の骨端板の閉鎖、脾臓の髄外造血の低下、骨髄の造血の低下等がみられている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019))。
(2) ラットに4週間 (6時間/日、5日/週) 吸入ばく露した試験において、100 ppm (ガイダンス値換算: 0.11 mg/L、区分1の範囲) 以上で眼の刺激を示す臨床所見、軽度の回復性のあるレンズの線状混濁、300 ppm (ガイダンス値換算: 0.34 mg/L、区分2の範囲) で死亡 (10%)、軽度の白内障、600 ppm (ガイダンス値換算: 0.68 mg/L、区分2の範囲) で死亡 (70%超)、肺炎、重度の白内障がみられている (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。
10 誤えん有害性
-
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
本物質は水中で速やかに加水分解し、亜リン酸ジメチルとメタノールを生成する。亜リン酸ジメチルについて、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 25 mg/L(SIDS, 2004)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分3
-
-
H412 P273
P501
本物質は水中で速やかに加水分解し、亜リン酸ジメチルとメタノールを生成する。いずれの生成物についても信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
亜リン酸ジメチルについて急速分解性がなく(BODによる分解度:48%(既存点検, 1997))、急性毒性区分3であることから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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