項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 121-82-4 |
名称 | ヘキサヒドロ-1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアジン (15質量%の水で湿性としたものに限る) |
物質ID | R01-B-037 |
分類実施年度 | 令和元年度(2019年度) |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成30年度 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 等級1.1 |
危険 |
H201 |
P370+P372+P380+P373
P210 P230 P234 P240 P250 P280 P401 P501 |
UNRTDGにおいてUN 0072、クラス1.1Dに分類されていることから、等級1.1とした。なお、水分含有率15%未満のものは「不安定爆発物」とされ、輸送禁止物質である。 |
2 | 可燃性ガス | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
3 | エアゾール | ※ |
- |
- | - | エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
4 | 酸化性ガス | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
5 | 高圧ガス | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
6 | 引火性液体 | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
7 | 可燃性固体 | ※ |
- |
- | - | 爆発物に分類されているため、ガイダンスに基づいて分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | ※ |
- |
- | - | 爆発物に分類されているため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
9 | 自然発火性液体 | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
10 | 自然発火性固体 | ※ |
- |
- | - | 爆発物に分類されているため、ガイダンスに基づいて分類できない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | ※ |
- |
- | - | 爆発物に分類されているため、ガイダンスに基づいて分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | ※ |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
13 | 酸化性液体 | ※ |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
14 | 酸化性固体 | ※ |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、爆発物に分類されているため、ガイダンスにより分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | ※ |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
16 | 金属腐食性化学品 | ※ |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため分類できない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | ※ |
- |
- | - | 当該物質は爆発物に分類されるため、鈍性化爆発物には該当しない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 |
危険 |
H301 |
P301+P310
P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4) より区分3とした。 なお、本物質は水を除いた量で区分判定している。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50:100 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008)、HSDB (Access on July 2019)) (2) ラットのLD50:119 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) (3) ラットのLD50:71~300 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)) (4) ラットのLD50:71~118 mg/kg (ATSDR (2012)) |
1 | 急性毒性(経皮) | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。 なお、本物質は水を除いた量で区分判定している。 【根拠データ】 (1) ウサギの経皮ばく露において、本物質2,000 mg/kgで毒性がみられなかった (ACGIH (7th, 2001))。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。なお、新しいデータが得られたことから区分を変更した。 【根拠データ】 (1) OECD TG 404と同等あるいは類似のウサギを用いた皮膚刺激性試験において72時間後まで持続して1以上のスコアを示した動物は6例中1例のみであり、72時間後には他の動物のスコアは全て0であった (REACH登録情報 (Access on August 2019))。 【参考データ等】 (2) ヒトのパッチテスト(用量不明)で刺激なしとする報告及び本物質のヒュームにばく露された作業者 (濃度、ばく露期間不明)において皮膚炎を生じたとの報告がある (ATSDR (2012))。 (3) 本物質のモルモットへのばく露 (1,000 mg/kg) で軽度の紅斑を生じた (ATSDR (2012))。 (4) 本物質のアセトン溶液 (27 mg/kg)、シクロヘキサン溶液 (37.5 mg/kg)、DMSO溶液 (165 mg/kg) のウサギへのばく露で皮膚炎を生じた (ATSDR (2012))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。 【参考データ等】 (1) 本物質のヒュームで結膜炎を生じたと報告されている(ATSDR (2012))。 |
4 | 呼吸器感作性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、皮内感作:6.67%貼付感作:60%、惹起:60及び30%) において皮膚反応は観察されず、陰性と報告されている (REACH登録情報 (Access on August 2019))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2) より、in vivo、in vitro試験を含む標準的組合せ試験でいずれも陰性であったことから、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、優性致死試験及びマウス骨髄の小核試験で陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のDNA損傷試験、マウスリンフォーマ試験で陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 ACGIHではA4に分類されているが、 (2)、(3) の実験動物の結果及びEPAでS (Suggestive Evidence of Carcinogenic Potential) (IRIS (2018)) に分類されていることから、ガイダンスに従い区分2とした。したがって、旧分類から区分を変更した。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001))、EPAでS (Suggestive Evidence of Carcinogenic Potential) (IRIS (2018)) に分類されている。 (2) マウスに本物質を2年間混餌投与した試験で、肝細胞がん又は腺腫の発生率増加、肺胞/細気管支腺腫又はがんの発生率の増加が雌雄で認められた (IRIS (2018))。 (3) ラットに本物質を2年間混餌投与した試験で、肝細胞がんの発生率増加が雄で認められたが、雌では腫瘍の発生率増加は認められなかった (IRIS (2018))。 |
7 | 生殖毒性 | ※ |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(4) より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験において、母動物毒性 (死亡率の著明な増加等) がみられる用量で妊娠数の減少、出生児の生存率の低下がみられ、母動物毒性のみられない用量で児動物の低体重がみられている (環境省リスク評価第6巻 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012))。 (2) ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡率増加 (25%)、痙攣、活動過多) がみられる用量で胎児毒性 (早期胚吸収) がみられているが奇形はみられていない (環境省リスク評価第6巻 (2008)、ACGIH (7th, 2001))。 (3) ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡率増加 (31%)、痙攣、衰弱、活動過多) がみられる用量で胎児の体重と体長の減少がみられているが奇形はみられていない (環境省リスク評価第6巻 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012))。 (4) ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験において、影響はみられていない (ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012))。 【参考データ等】 (5) 本物質はラットにおいて妊娠中の母体から胎児へ、及び母乳を介した児への移行が報告されている。生殖、発生毒性の試験では母動物毒性がみられない用量での児への影響は特定されていないが、本物質によって誘発される神経系の影響 (GABA受容体拮抗作用) の主な作用機序と、GABA作動性シグナル伝達が神経系の発達に顕著な役割を果たしているという事実に基づいて、発達神経毒性の可能性に関して大きな懸念が提起されている (IRIS Executive Summary (2018))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系、腎臓) |
危険 |
H370 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分1 (中枢神経系、腎臓) とした。(5) でみられた肝臓への影響に関しては、微細形態変化のみで肝毒性を示す所見がみられていないため、分類根拠としなかった。したがって旧分類から分類結果が変更になった。なお、実験動物での用量に関しては、水を除いた量で区分判定を行なった。 【根拠データ】 (1) 戦場で本物質91%を含むプラスチック爆弾 (C-4) を調理燃料として使用した際に、総量で25~180 g を経口摂取した兵士3人に、嗜眠、半昏睡状態、てんかん性の発作、悪心、嘔吐、頭痛、筋肉痛、発熱が生じた。また、C-4を誤飲した男性18人に、錯乱状態、著明な過剰刺激感受性、四肢の不随意のミオクローヌス性攣縮、重度の持続性のてんかん性発作、悪心、嘔吐、発作後の長期的な精神の混乱がみられ、脳波の異常が9人、腎臓への影響が3人、白血球数の増加が13人にみられた。死亡例はなく、全例が回復した (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、PATTY (6th, 2012)、ATSDR (2012)、ACGIH (7th, 2001))。 (2) ラットを用いた急性経口毒性試験で、自発性発作の増加、聴覚原性発作の増加、他の試験で驚愕反応増幅の低下、自発運動減少、驚愕反射潜時の延長、スケジュール制御反応の反応率低下が区分1の用量範囲 (10~12.5 mg/kg) でみられた (ACGIH (7th, 2001))。 (3) 本物質は種々の動物種で重度の中枢神経系影響を示す中等度から重度の急性毒性症状を生じた (ACGIH (7th, 2001))。 (4) 本物質は中枢神経系でGABA拮抗作用を示すとの記載がある (IRIS Executive Summary (2018))。 (5) ラットの単回経口投与試験において100 mg/kg (区分1相当) で、肝細胞の微細形態変化 (粗面小胞体の拡張、ミトコンドリアの膨潤)、腎臓遠位尿細管の変性、血尿 (尿細管内赤血球の存在確認) がみられた (ACGIH (7th, 2001))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(中枢神経系、造血系、前立腺)、区分2(腎臓、血液系、膀胱) |
危険 警告 |
H372
H373 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1) より、ヒトへの吸入ばく露で中枢神経系への影響がみられ、(2)~(6) より、実験動物において区分1の範囲で中枢神経系、造血系、前立腺、区分2の範囲で心臓、腎臓、血液系、膀胱、精巣への影響がみられている。このうち心臓及び精巣については、標的臓器とする根拠としては不十分と考えた。よって、区分1 (中枢神経系、造血系、前立腺)、区分2 (腎臓、血液系、膀胱) とした。なお、実験動物での用量に関しては、水を除いた量で区分判定を行なった。情報源の情報を見直し、旧分類を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質の製造工場で本物質の粉じんを吸入した可能性のある労働者で、1~2日間の不眠症、情動不安、いらいら感の後で前触れなしに癇癪の発作に似た強直性間代性痙攣が起こり、一時的な記憶喪失、倦怠感、疲労感、衰弱がみられたが、その後回復した (環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、PATTY (6th, 2012))。 (2) ラットに6ヵ月間混餌投与した結果、40 mg/kg/day (区分2の範囲) でヘモグロビン、赤血球数の減少等がみられた (ATSDR (2012))。 (3) ラットに13週間混餌投与した結果、10 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で軽度の白血球増加、30 mg/kg/day (区分2の範囲) 以上で血清中トリグリセリドの減少、100 mg/kg/day 以上で死亡、振戦及び痙攣、肝腫大がみられた (ATSDR (2012)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001))。 (4) ラットに13週間混餌投与した結果、28 mg/kg/day (区分2の範囲) 以上で血液学的影響、40 mg/kg/day (区分2の範囲) で心重量減少、心筋の限局性変性、門脈の炎症がみられた (ACGIH (7th, 2001))。 (5) ラットに2年間混餌投与した結果、1.5 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で脾臓におけるヘモジデリン様の色素沈着、前立腺の化膿性炎、8 mg/kg/dayで肝臓及び腎臓相対重量の増加等、40 mg/kg/day (区分2の範囲) で貧血、膀胱炎等の膀胱の障害、腎盂拡大、腎乳頭壊死を伴う腎臓の暗赤色化、精巣の萎縮等がみられた (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。 (6) サルに90日間経口投与した結果、10 mg/kg/day (区分1の範囲) で中枢神経系障害 (振戦及び痙攣)、骨髄及び脾臓における壊死性/変性巨核球の増加とヘモジデリン沈着、肝細胞索 (liver cord cells) の組織変化がみられた (ATSDR (2012)、環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、ACGIH (7th, 2001))。 |
10 | 誤えん有害性 | ※ |
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- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | - |
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11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | - |
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12 | オゾン層への有害性 | - |
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