政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 1194-65-6
名称 2,6-ジクロロベンゾニトリル(別名:ジクロベニル)
物質ID R01-B-041
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成30年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2005)) との情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2005)) との情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2005)) との情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(5) より、区分に該当しないとした。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
なお、GLP試験であることに重みをおいて採用した。


【根拠データ】
(1) ラットのLD50:> 2,000 mg/kg (JMPR (2014))
(2) ラットのLD50:3,160 mg/kg (HSDB (Access on July 2019))
(3) ラットのLD50:> 2,150 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))
(4) ラットのLD50:4,250 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))
(5) ラットのLD50:雄: 4,540 mg/kg、雌: 3,930 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))

【参考データ等】
(6) ラットのLD50:雄: 1,680 mg/kg、雌: 1,330 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
なお、GLP試験であることに重みをおいて採用した。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50:> 2,000 mg/kg (JMPR (2014))
(2) ウサギのLD50:> 5,000 mg/kg (HSDB (Access on July 2019))
(3) ラットのLD50:> 5,000 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))

【参考データ等】
(4) ウサギのLD50:1,350 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4) より、いずれのデータも区分を特定できないため、分類できない。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50 (4時間):> 0.25 mg/L (HSDB (Access on July 2019))
(2) ラットのLD50 (4時間):> 3.3 mg/L (JMPR (2014)、HSDB (Access on July 2019))
(3) ラットのLD50 (粉じん、4時間):> 0.045 mg/L (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))
(4) ラットのLD50 (粉じん、4時間):> 3.2 mg/L (農薬抄録 (2015))
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質 (85.3%調製物) のウサギを用いEPA TG81-5 (OECD TG 404相当) に準拠した皮膚刺激性試験で皮膚刺激性物質ではないと報告されている (EPA Pesticide (1998)、REACH登録情報 (Access on August 2019))。
(2) ウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性を認めなかった (食品安全委員会 農薬評価書(2014))。
(3) ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間適用) において適用30~60分後、24/48/72時間後のスコアはすべて0であり、刺激性を認めなかった (農薬工業会「農薬時報別冊」10号 (1991))。
(4) 本物質はウサギの皮膚に非刺激性であった (JMPR (2014))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質 (85.3%調製物) のウサギを用いEPA TG81-4 (OECD TG 405相当) に準拠した眼刺激性試験で刺激性を示さないと報告されている (EPA Pesticide (1998)、REACH登録情報 (Access on August 2019))。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) EPA TG81-6 (OECD TG 406相当) のモルモットを用いた皮膚感作性試験において本物質 (原体との明記はない) は皮膚感作性物質を示さない (EPA Pesticide (1998)、REACH登録情報 (Access on August 2019))。
(2) 本物質 (原体との明記はない) のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において陰性と判定された (食品安全委員会 農薬評価書 (2014)、JMPR (2014))。

【参考データ等】
(3) モルモットを用いた本物質の水和剤のビューラー法、粒剤のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) においてそれぞれ陰性及び陽性 (中等度感作性) と判定された (農薬工業会「農薬時報別冊」10号 (1991))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、in vivo、in vitro試験を含む標準的組合せ試験でいずれも陰性であったことから、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス骨髄の小核試験で陰性の報告がある (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、マウスリンフォーマ試験で陰性の報告がある (EPA Pesticide (1998))。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) の既存分類結果からガイダンスに従い区分2とした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでC (Possible human carcinogen) (EPA Cancer Annual Report (2018): 分類年1995年) に分類されている。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、母動物毒性がみられる用量で胎児に外表又は内臓異常がみられていることから区分2とした。
なお、新たな情報源を用いたことにより旧分類から分類結果が変更となった。

【根拠データ】
(1) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で、胎児に体重低下、外表又は内臓異常がみられている (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))。なお、JMPR (2014) では胚/胎児に総吸収胚増加、着床後胚吸収増加、外表、内臓、骨格奇形の増加 (開眼、胸骨癒合、口蓋裂等) がみられたとしている (JMPR (2014))。

【参考データ等】
(2) ラットを用いた混餌による2世代生殖毒性試験において、親動物で体重増加抑制及び摂餌量減少、児動物では体重増加抑制がみられているが、生殖能に対する影響はみられていない (食品安全委員会 農薬評価書 (2014)、EPA Pesticide (1998))。なお、JMPR (2014) では生殖能に対する影響としてF1世代の母動物で着床数の減少がみられたとしている (JMPR (2014))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露)
-
-
- - 【分類根拠】
ヒトでの本物質の単回ばく露に関する報告はない。実験動物では (1)~(3) で、経口、経皮、吸入のいずれの経路の試験からも標的臓器を特定可能な所見は得られず、区分に該当しないとした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットの単回経口投与試験において、2,253 mg/kg (区分2超) 以上で、自発運動低下、眼瞼下垂、流涎、不整呼吸、立毛、歩行異常が認められ、更に高用量群 (用量の記載はないが、最高用量の5,500 mg/kg及びその一段階下の4,400 mg/kgと考えられる) では紅涙、血尿、鎮静、体温下降がみられた。死亡は3,520 mg/kgから認められた。剖検所見では、死亡例のみに肝臓退色、胃膨満、胸腺の暗赤色化と萎縮、腎臓退色などが認められた (食品安全委員会 農薬評価書 (2014)、農薬抄録 (2013))。
(2) ウサギの単回経皮投与試験において、2,000 mg/kg (区分2上限) で投与影響の所見も死亡例もなく、剖検所見でも異常は認められなかった (食品安全委員会 農薬評価書 (2014)、農薬抄録 (2013))。
(3) ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、本物質の粉じん3.2 mg/L (区分2相当、粉じんとして可能な最高濃度と記載) のばく露で流涎及び自発運動低下がみられたが、死亡例はなく、肉眼的病理検査でも特記すべき変化は認められなかった (農薬抄録 (2015))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液系、肝臓)、区分2(腎臓)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、ラット、マウスへの経口投与において区分2の範囲で肝臓、腎臓への影響が、(4)、(5) より、イヌへの経口投与において区分1の範囲で血液系、肝臓への影響がみられていることから、区分1 (血液系、肝臓)、区分2 (腎臓) とした。新たな情報源の情報を追加し、旧分類を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットに90日間混餌投与した結果、140 ppm (雄: 10.2 mg/kg/day、雌: 13.4 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で肝細胞肥大等、480 ppm (雄: 34.5 mg/kg/day、雌: 41.3 mg/kg/day、区分2の範囲) の雄で腎尿細管上皮細胞内における好酸性小体増加、硝子滴変性等、雌で網状赤血球の増加等がみられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2014))。
(2) マウスに13週間混餌投与した結果、625 ppm (95 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌雄で肝細胞肥大、雄で腎盂炎等がみられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2014)、JMPR (2014)、EPA Pesticide (1998))。
(3) ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験の結果、400 ppm (雄/雌: 29.0/26.3 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌雄で肝臓重量増加、慢性腎症の頻度増加等、3,200 ppm (雄/雌: 241/248 mg/kg/day、区分2超) でヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少等がみられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2014)、JMPR (2014))。
(4) イヌを用いた1年間慢性毒性試験 (カプセル経口) の結果、6 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上でヘモグロビン、赤血球数の減少、肝臓重量増加、肝細胞肥大等が、36 mg/kg (区分2の範囲) で甲状腺、腎臓の重量増加、副腎皮質空胞化、子宮及び胸腺重量の減少 (雌) 等がみられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2014)、JMPR (2014))。
(5) イヌを用いた2年間慢性毒性試験 (混餌) の結果、350 ppm (ガイダンス値換算: 9.0 mg/kg/day、区分1の範囲) で肝臓におけるグリコーゲン蓄積を伴う肝細胞肥大及び軽度の炎症、肝臓及び甲状腺の重量増加等がみられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2014)、JMPR (2014))。

【参考データ等】
(6) ウサギに100~1,000 mg/kg/day (区分2超) を21日間経皮投与した結果、投与による影響はみられなかった (EPA Pesticide (1998))。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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- - -
11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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