政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 10034-96-5
名称 硫酸マンガン一水和物
物質ID R01-B-055
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2018)) という情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2018)) という情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2018)) という情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 半金属 (Mn) を含むが、水溶解度が76.2 g/100 mL (20℃) (ICSC (2018)) というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられるため、ガイダンスの区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - ハロゲンを含まず、酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 無機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。
新たな情報源の使用により、旧分類より区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50 (無水物): 782 mg/kg (本物質換算: 875.2 mg/kg) (ATSDR (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 12 (1999))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。新たなデータが得られたことから区分を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験2試験で皮膚反応は認められず24/48/72hの平均スコアは全て0であった (REACH登録情報 (Access on September 2019))。

3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。新たなデータが得られたことにより、区分を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験 (1匹のみ、7日後に安楽死) で非可逆性の症状があったとして腐食性物質と判定されている (REACH登録情報 (Access on September 2019))。

4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より区分2とした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス骨髄の小核試験及び染色体異常試験で陽性の報告がある (CICAD 12 (1999)、NITE初期リスク評価書 (2008))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性の報告がある (NTP TR428 (1993)、NTP DB (Access on July 2019))。
6 発がん性
-
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- - 【分類根拠】
国内外の分類機関による既存分類はない。利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) の報告があるが (2) のWHOの見解に基づきデータ不足のため分類できないとした。

【根拠データ】
(1) ラット及びマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、ラットでは雌雄ともに腫瘍発生の増加はなく発がん性の証拠はないとされた。一方、マウスでは雄に甲状腺濾胞細胞腺腫、雌に甲状腺濾胞細胞の過形成が示され、発がん性の不確かな証拠 (equivocal evidence) と結論された (NTP TR428 (1993))。
(2) WHOはマンガンの発がん性について、げっ歯類での不確かな証拠と他種での証拠が不足していることから、結論は下せないとの見解を示した (CICAD 12 (1999))。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
本物質のデータはないが、(1)~(4) より区分1Bとした。マンガン化合物として分類を行ったことから分類結果が変更となった。

【根拠データ】
(1) 日本産業衛生学会がマンガン及びマンガン化合物に対して生殖毒性物質第2群 (区分1B相当) に分類している (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2014))。
(2) 塩化マンガン四水和物 (CAS番号 13446-34-9) を雌雄マウスに交配前12週間飲水投与後に無処置の雌雄と交差交配した結果、親動物に飲水量の減少がみられる用量で授精率の低下が雄に、着床率及び生存胎児数の減少が雌にみられた (食品安全委員会清涼飲料水評価書 (2012)、ATSDR (2012))
(3) 塩化マンガン (CAS番号 7773-01-5) を妊娠ラットに妊娠期間を通して飲水投与した試験では、母動物に着床後胚損失の増加がみられ、児動物に骨と内臓の発達遅延、内反足など外表奇形の発生頻度の増加が認められた (食品安全委員会清涼飲料水評価書 (2012)、ATSDR (2012))。
(4) 塩化マンガン四水和物 (CAS番号 13446-34-9) をラットに妊娠15~20日前から分娩1ヵ月後まで飲水投与し、生後40日齢の児動物の脳を調べた結果、大脳皮質のマンガン濃度増加、全脳部位で神経細胞の7~10%に変化、グリア細胞数の用量依存的増加、側坐核で顕著なグリオーシスが認められた (食品安全委員会清涼飲料水評価書 (2012))。

【参考データ等】
(5) 本物質の無水物である硫酸マンガン (Ⅱ) (CAS番号 7785-87-7) は、本邦GHS分類 (2017年度) において区分1Bに分類されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露)
-
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- - 【分類根拠】
本物質のヒト及び実験動物での単回ばく露に関する報告はない。したがって、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 本物質の無水物である硫酸マンガン (Ⅱ) (CAS番号 7785-87-7) は、2017年度 (平成29年度) GHS分類において、それ自体の単回ばく露影響の情報がなく、他の可溶性マンガン化合物に関しても参考とできる情報がないことから、分類できないとされている。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、ヒトにおいてマンガン化合物へのばく露により中枢神経系及び呼吸器への影響の可能性があり、(4)~(6) より硫酸マンガン (無水又は二水和物) を用いた動物試験の結果、区分1の範囲で中枢神経系及び呼吸器への影響がみられていることから、区分1 (中枢神経系、呼吸器) とした。マンガン化合物の情報を加えて検討し、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 硫酸マンガンを扱う産業に関連する本質的なリスクは慢性的なマンガン中毒症で、その主な標的器官は中枢神経系と肺である。二酸化マンガン (CAS番号 1313-13-9)及びマンガン塩を製造する工場で平均気中マンガン濃度1.33 mg/m3に何年もばく露された作業者に気管支炎など軽度の肺機能低下がみられる。また、高濃度のマンガンばく露で中枢神経障害 (頭痛、記憶障害、めまい、虚弱、疲労感の後、歩行及び言語障害、筋肉虚弱、振戦、最終的に四肢の痙性麻痺) がみられる (GESTIS (Access on August 2019))。
(2) 高濃度のマンガンを含む井戸水を摂取した事例や、マンガン濃度の高い地域に居住する住民に対する疫学調査において、仮面様顔貌、筋硬直、振戦、及び精神障害などマンガン中毒に似た症状が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。
(3) マンガン酸化物、マンガン塩製造工場において、二酸化マンガン、四酸化三マンガン、マンガン塩 (硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩) の粉じんのばく露による神経行動学的機能への影響の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
(4) 無水硫酸マンガン (CAS番号 7785-87-7) をラットに90日間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した試験で、0.5 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.0004 mg/L、区分1の範囲) で鼻腔の呼吸上皮に一過性の炎症性変化がみられた (ATSDR (2012))。
(5) 硫酸マンガン二水和物をラットに90日間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した試験で、1.5 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.001 mg/L、区分1の範囲) で自発運動活性の増加がみられた (ATSDR (2012))。
(6) 無水硫酸マンガンをサルに90日間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した試験で、1.5 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.001 mg/L、区分1の範囲) で細気管支・肺胞の炎症がみられた (ATSDR (2012))。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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