政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7440-47-3
名称 金属クロム
物質ID R01-B-056
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - 可燃性 (GESTIS (Access on September 2019)) との情報があるが、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 水に不溶 (ICSC (2004)) というデータがあり水と激しく反応することはないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - 酸素及びハロゲン元素を含まない無機物質であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 有機化合物ではないため、区分に該当しない。なお、ガイダンスでは分類対象外に相当する。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) 本物質 (金属クロム) の表面は酸化クロムで被覆されている。OECD TG 404に準拠した酸化クロムのウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性なしと判定されていることから、本物質も刺激性はないと考えられる (REACH登録情報 (Access on September 2019))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。詳細なデータが得られなかったため細区分は行わなかった。

【根拠データ】
(1) 本物質の粒子は眼を刺激する可能性がある (HSDB (Access on September 2019))。
4 呼吸器感作性 区分1A


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
【分類根拠】
(1) より区分1Aとした。

【根拠データ】
(1) 産衛学会により呼吸器第2 群に分類されている (産衛学会感作性分類基準(暫定)の提案理由 (2010))。
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1) より区分1Aとした。

【根拠データ】
(1) 産衛学会により皮膚第1群に分類されている(産衛学会感作性分類基準(暫定)の提案理由 (2010))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。根拠データの精査により、分類結果を変更した。

【参考データ等】
(1) in vivoではヒュームへのばく露により、ラット末梢血リンパ球の染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性、ラット骨髄の小核試験で陰性との報告がある。但し、これらの試験では、ヒュームの生成過程で本物質の酸化が生じた可能性が指摘されている (IARC 49 (1990))。
(2) in vitroでは、標準試験のデータはないが、哺乳類培養細胞の形質転換試験で陰性の報告がある (IARC 49 (1990))。
(3) クロムに暴露された作業者39人の集団と対照群18人を比較した結果、末梢血リンパ球における染色分体交換及び一本鎖DNA切断の頻度と尿中クロム濃度との間に正の相関がみられた (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on September 2019))。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の既存分類結果より、ガイダンスに従い、分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでは金属クロム及び三価のクロム化合物についてはグループ3 (IARC49 (1990)) に分類されている。
7 生殖毒性
-
-
- - 【分類根拠】
本物質 (金属クロム) のデータはないため、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 日本産業衛生学会がクロム及びクロム化合物に対して生殖毒性物質第3群 (区分2相当) に分類している (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2014))。なお、この生殖毒性分類は、金属クロムの生殖毒性に関する報告はなく、Cr(III)及びCr(VI)の生殖毒性に関するデータによるものであることから参考データとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より区分3 (気道刺激性) とした。旧分類が全身毒性の根拠とした金属ヒューム熱を生じる可能性があるとの記載はList 3の情報源由来であるため不採用とした。したがって分類結果が変更になった。

【根拠データ】
(1) 本物質は吸入された場合には上部及び下部気道の刺激を生じる可能性がある (ACGIH (7th, 2018))。
(2) 本物質のエアロゾルは上気道を刺激する (HSDB (Access on September 2019))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) 金属クロムは不溶性であるが、吸入した場合、上部及び下部気道を刺激する可能性がある (ACGIH (7th, 2018))。
(2) ウサギに金属クロムのダスト0、0.6、3.1 mg/m3を4週間 (6時間/日、5日間/週)吸入ばく露 した試験で、肺、肺胞マクロファージ及びin vitro機能検査 (function in vitro) においてクロムの影響はみられなかった (ACGIH (7th, 2018))。
(3) 労働基準法施行規則第18条 (法第36条第6項第1号の厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務) に、クロムの粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務が挙げられている (労働基準法施行規則)。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データなし
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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