政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 2074-50-2
名称 パラコートジメチルサルフェート
物質ID R01-B-059
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が窒素、炭素、水素以外の元素(S)と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:雄: 100 mg/kg、雌: 110 mg/kg (JMPR (2003))
1 急性毒性(経皮) 区分2


危険
H310 P302+P352
P361+P364
P262
P264
P270
P280
P310
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 80 mg/kg、雌: 90 mg/kg (JMPR (2003))

【参考データ等】
(2) ウサギのLD50: 236 mg パラコートイオン/kg (換算値: 517 mg/kg) (ACGIH (7th, 2001))
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 本物質の高濃度の溶液は、皮膚刺激を引き起こすが、長時間接触すると壊死や水疱を引き起こす可能性がある (GESTIS (Access on July 2019))。

【参考データ等】
(2) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。新しいデータが得られたことから区分を変更した。

【根拠データ】
(1) 職業上の経験と動物実験により、本物質の溶液は眼に対し、重度の刺激と粘膜の炎症性変化だけでなく (12.5%以上の濃度で) 角膜混濁及び壊死を引き起こす可能性がある (GESTIS (Access on July 2019))。

【参考データ等】
(2) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
本物質自体の情報はないが、パラコート (CAS番号 1910-42-5) の情報に基づく分類が可能と判断し、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) パラコートはモルモットの皮膚感作性試験で陽性反応を示さない (ACGIH (7th, 2018))。
(2) パラコートの33%液を用いたモルモットの皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陰性と判定された (EPA Pesticide (1997)、JMPR (2003))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
本物質自体の情報はないが、パラコートジクロリド (CAS番号 1910-42-5) の情報に基づく分類が可能と判断した。(1) より、本物質はガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。

【参考データ等】
(1) パラコートジクロリドは区分に該当しない (2019年度GHS分類)。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の既存分類結果より、ガイダンスに従い、分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2018)) に分類されている。
7 生殖毒性
-
-
- - 【分類根拠】
本物質のデータはないが、(1)~(5) のデータより、明らかな生殖毒性は認められず区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) パラコートの毒性はパラコートイオンによるものであり、全ての塩は同等の毒性を有する (ACGIH (7th, 2001))。
(2) ラットを用いたパラコートジクロリド (CAS番号 1910-42-5) の混餌投与による3世代試験において、親動物毒性 (肺の病変) がみられる用量で児動物に骨化遅延、体重減少、膣開口遅延等がみられている (JMPR (2003))。
(3) 雌ラットの妊娠6~15日にパラコートジクロリドを強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性がみられる用量において、胎児重量減少、骨化遅延がみられた (JMPR (2003))。
(4) 雌マウスの妊娠6~15日にパラコートジクロリドを強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性、胎児毒性共にみられていない (JMPR (2003))。
(5) マウスにパラコートを混餌投与した2世代生殖毒性試験において、親動物、児動物共に死亡、肺の病変 (広範な線維化) がみられている (JMPR (2003))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(肺、肝臓、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分1 (肺、肝臓、腎臓) とした。旧分類は呼吸器系を標的臓器としていたが、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ヒトでは事故又は自殺企図によるパラコート (CAS番号 4685-14-7) の経口摂取での中毒症例が多数報告されている。症状としては、急性肺水腫、肺線維症、急性腎不全 (乏尿、蛋白尿など)、急性肝不全 (黄疸、肝肥大、肝機能検査値の異常) が生じる (ACGIH (7th, 2018)、IPCS, PIM 399 (2000)、JMPR (2003)、EHC 39 (1984))。
(2) 経皮経路では、パラコートの事故又は意図的なばく露により、呼吸不全、腎不全を生じたヒトの症例が複数例報告されている (ACGIH (7th, 2018)、JMPR (2003))。うち1例では、死後の剖検で間質性肺炎、肺胞内出血、腎尿細管変性、胆汁うっ滞が認められた (JMPR (2003))。
(3) ラットにおいて、パラコート110 mg/kg (本物質換算: 241mg/kg、区分1相当) の単回経口投与後に、初期症状として下痢、喘鳴、不規則呼吸が認められ、5~6日後には体重減少、肺の水腫、うっ血及び出血が認められた。また、他の報告では、投与後10日目までに肺線維症が生じた (ACGIH (7th, 2018))。
(4) ACGIH (7th, 2001) には、パラコートの毒性は陽イオン部分によるものであり、全ての塩の毒性は同等であると記載されている。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肺)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
本物質自体の情報はないが、(1) より、パラコートジクロリド (CAS番号 1910-42-5) の情報に基づく分類が可能と判断した。(2) より、区分1 (肺) とした。旧分類の根拠情報について、本物質の情報であるか確認できないことから、根拠データを変更し、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) パラコートの毒性はパラコートイオンによるものであり、全ての塩は同等の毒性を有する (ACGIH (7th, 2001))。
(2) パラコートジクロリドについて、実験動物への経口投与により区分2、吸入ばく露により区分1の範囲でにより区分1の範囲で肺への影響がみられており、区分1 (肺) に分類されている (2019年度GHS分類結果)。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データなし
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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