政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 120068-37-3
名称 5-アミノ-1-[2,6-ジクロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-3-シアノ-4-[(トリフルオロメチル)スルフィニル]ピラゾール (別名:フィプロニル)
物質ID R01-B-079
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団 (隣接する窒素) を含んでいるが、データがなく分類できない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 爆発性に関連する原子団として隣接する窒素原子を、また分子内に自己反応性に関連する原子団としてS=O結合を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - フッ素、酸素及び塩素を含む有機化合物であり、酸素が炭素及び水素以外の元素 (S) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 湿性や希釈等により鈍性化がなされていないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 92 mg/kg、雌: 103 mg/kg (JMPR (1997)、食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016)、HSDB (Access on September 2019))
(2) ラットのLD50: 100 mg/kg (HSDB (Access on September 2019))
(3) ラットのLD50: 97 mg/kg (HSDB (Access on September 2019))
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分3とした。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 354 mg/kg (JMPR (1997))
(2) ウサギのLD50: 雄: 445 mg/kg、雌: 354 mg/kg (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016)、HSDB (Access on September 2019))
(3) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (JMPR (1997)、食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016) 、HSDB (Access on September 2019))
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (粉じん、4時間) : 0.682 mg/L (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016)、農薬抄録 (2015)、HSDB (Access on September 2019))
(2) ラットのLC50 (粉じん、4時間) : 雄: 0.36 mg/L、雌: 0.42 mg/L (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016)、農薬抄録 (2015)、HSDB (Access on September 2019))

【参考データ等】
(3) ラットのLC50 (ばく露時間不明) : 0.36 mg/L (JMPR (1997))
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギに本物質を水で湿らせて適用した皮膚刺激性試験において、刺激性を示さない (JMPR (1997)、農薬抄録 (2015))。
(2) ウサギを用いた皮膚及び眼刺激性試験が実施され、皮膚刺激性及び眼刺激性は認められなかった (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(3) ウサギに本物質をコーン油で湿らせて4時間適用した皮膚刺激性試験で軽度 (スコア 1~2) の紅斑と一過性軽度の浮腫がみられたが、7日以内に回復した (JMPR (1997)、HSDB (Access on September 2019))。

3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験において角膜及び虹彩には変化はみられなかったが、結膜には軽度の発赤と浮腫が1時間後から認められたが、72時間後までには回復した (農薬抄録 (2015))。
(2) ウサギを用いた皮膚及び眼刺激性試験が実施され、皮膚刺激性及び眼刺激性は認められなかった (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(3) ウサギを用いた眼刺激性試験において軽度の刺激性を示す (JMPR (1997))。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法2試験及びビューラー法) においてマキシマイゼーション法 (皮内感作濃度は共に 5%) での陽性率は20%及び0%であり、軽度の感作性と判断されたが、ビューラー法では陰性であった (JMPR (1997)、食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016)、農薬抄録 (2015))。

5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスを用いた小核試験で陰性の報告がある (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、ヒトリンパ球培養細胞の染色体異常試験で陰性の報告、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性 (6時間処理の細胞毒性のある濃度においてのみ染色体異常を誘発) の報告がある (同上)。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) の既存分類結果からガイダンスに従い区分2とした。既存分類結果の追加により旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでC (Possible Human Carcinogen) (EPA Annual Cancer Report (2018):1995年分類) に分類されている。

【参考データ等】
(2) ラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、雄で甲状腺ろ胞細胞腺腫及びがん、雌で甲状腺ろ胞細胞腺腫の有意な増加が認められた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(3) マウスに本物質を78週間混餌投与した発がん性試験では、投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、母動物毒性がみられる用量において、明確な生殖影響、児動物ヘの影響 (神経系影響含む) がみられていることから区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験において、最高用量では親動物に死亡 (P雄:2/30例、P雌:5/30例、F1雄:0/30例、F1雌:2/30例)、痙攣、体重増加抑制、摂餌量減少、甲状腺及び肝臓重量増加、下垂体重量減少、甲状腺ろ胞上皮過形成、小葉中心性肝細胞脂肪性空胞化等がみられ、出生率低下、児動物に痙攣、低体重、産児数減少、出生時生存数減少、生後4 日生存率低下等がみられた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016) 、JMPR (1997))。
(2) 雌ラットの妊娠6日~哺育10日(51日間)まで混餌投与した発達神経毒性試験において、母動物毒性のみられない用量で児動物に低体重、包皮分離遅延がみられ、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で児動物に 4日生存率低下、耳介展開遅延、切歯萌出遅延、膣開口遅延、聴覚驚愕反応低下 (回復性あり)、遊泳発達遅延等がみられているが、神経病理組織学的検査では異常はみられていない (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分1 (神経系) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質を事故又は意図的に経口摂取したヒトが全身性強直性間代性発作を生じた複数の症例が報告されている (HSDB (Access on September 2019))。
(2) ラットの単回経口投与試験において、50 mg/kg以上で立毛、下痢、円背位及び異常歩行が、80 mg/kg以上で嗜眠、呼吸数低下、四肢蒼白化及び眼瞼下垂が認められた。これらの影響がみられた用量は区分1に相当する (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(3) ウサギの単回経皮投与試験において、250 mg/kg (区分1相当) 以上で痙攣、振戦、下痢、削痩、自発運動亢進及び遅発性痙攣が認められた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(4) ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、本物質の粉じん0.259 mg/L (区分1相当) 以上で立毛、円背位、接触時発声、流涎、低体温、振戦、痙攣、運動失調が認められた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016)、農薬抄録 (2015))。

【参考データ等】
(5) 本物質は、昆虫において抑制性神経伝達物質とされるGABA による塩素イオンチャネルコントロールを阻害し、神経興奮抑制を阻害することにより殺虫作用を発現すると考えられているとの記載がある (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、甲状腺、肝臓、腎臓、血液系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より実験動物への経口投与により区分1の範囲で中枢神経系、甲状腺、肝臓、腎臓、血液系への影響がみられ、(5) より、ウサギへの経皮ばく露により区分1の範囲で中枢神経系に影響がみられていることから、区分1 (中枢神経系、甲状腺、肝臓、腎臓、血液系) とした。新たな情報源を用いて検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による90日間反復投与毒性試験において、30 ppm (雄/雌: 1.93/2.28 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上でヘマトクリット値減少、肝重量増加等、300 ppm (雄/雌: 19.9/24.0 mg/kg/day、区分2の範囲) で甲状腺重量増加、甲状腺ろ胞上皮肥大、甲状腺ろ胞細胞過形成、汎小葉性肝細胞脂肪性空胞化等がみられた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(2) イヌを用いた混餌投与による90日間反復投与毒性試験において、10 mg/kg/day (区分1の範囲) で切迫と殺(雄1 例、雌3例)、削痩、振戦、痙攣、点頭、散発性全身筋攣縮、顔面攣縮、瞬き反射過剰、催吐反射過剰、触覚性踏み直り反応低下等がみられた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(3) ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/発がん性併合試験において、1.5 ppm (雄/雌: 0.059/0.078 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で痙攣、持続性痙攣後の死亡、赤血球数減少、ヘマトクリット値減少等、30 ppm (雄/雌: 1.27/1.61 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上でヘモグロビン減少、尿量及び尿タンパク増加、進行性腎症増加及び程度の悪化、腎及び甲状腺重量増加、甲状腺ろ胞嚢胞及び生育異常等、300 ppm (雄/雌: 12.7/16.8 mg/kg/day、区分2の範囲) で活動亢進、副腎、肝及び脾重量増加、大動脈鉱質沈着、上皮小体過形成、子宮重量増加等がみられた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(4) マウスを用いた混餌投与による78週間発がん性試験において、10 ppm (雄/雌: 1.18/1.23 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で小葉中心性肝細胞微小空胞化等、30 ppm (雄/雌: 3.43/3.62 mg/kg/day、区分1の範囲) で肝重量増加、肝細胞過形成、肝慢性変性変化等がみられた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
(5) ウサギを用いた21日間経皮ばく露試験において、10 mg/kg/day (区分1の範囲) の雌雄で自発運動亢進がみられた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2016))。
10 誤えん有害性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
魚類(ブルーギル)96時間LC50 = 0.083 mg/L(U.S.EPA: OPP Pesticide Ecotoxicity Database, 2020)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(シープスヘッドミノー)の32日間NOEC = 0.00024 mg/L(U.S.EPA OPP Pesticide Ecotoxicity Database, 2020)から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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