政府によるGHS分類結果

View this page in English



一般情報
項目 情報
CAS登録番号 108-87-2
名称 メチルシクロヘキサン
物質ID R01-B-084
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成26年度   平成18年度  
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-4℃ (closed cup)、沸点101℃ (ICSC (J) (1997)) に基づいて区分2とした。なお、国連分類はUN2296、クラス3、PGIIである。
7 可燃性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - 発火点が250℃ (NFPA (2010)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 鋼およびアルミニウムは容器として耐久性がある (ホンメル (1991)) との情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分4又は区分に該当しないに相当し、区分を特定できないため、分類できないとした。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 1,000 mg/kg (NITE安全性試験結果 (Access on September 2019))
(2) ラットのLD50: > 3,200 mg/kg (GESTIS (Access on October 2019))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1) より、LC50値は7,500~10,000 ppm (4時間換算値: 5,303~7,071.1 ppm) の間にあると考えられることから、区分4とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (約60,531.1 ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) マウスの吸入試験 (2時間) : 7,500~10,000 ppm (4時間換算値: 5,303~7,071 ppm) で横臥 (反射消失) を示し、10,000~12,500 ppm (4時間換算値: 7071.1~8838.8 ppm) では致死的である (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1986))。

【参考データ等】
(2) ウサギのLC50 (70分) : 39.6~59.9 mg/L (4時間換算値: 21.4~32.35 mg/L、5328.8~8055.4 ppm) (SIDS (2014))
(3) ウサギの吸入試験 (70分) : 15,227 ppm (4時間換算値: 8223.6 ppm)で全例死亡 (ACGIH (7th, 2001))
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことから区分を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験において浮腫はみられず、適用24時間後にごく軽度の紅斑がみられたが、回復した (SIAP (2014))。
(2) 本物質は粘膜に対して弱い刺激性を有し、皮膚への接触により刺激性を示す (GESTIS (Access on September 2019))。

【参考データ等】
(3) ドレイズ法に従い、本物質をウサギに24時間閉塞適用した皮膚刺激性試験において、適用24時間後に4/5例に軽度の刺激性が認められ、1例を除き72時間後には消失した。なお、浮腫は認められなかった。24/72時間の紅斑及び浮腫の平均スコアは 0.6及び0であった (REACH登録情報 (Access on October 2019))。
(4) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている (EU CLP分類 (Access on September 2019))。
(5) 本物質のウサギの皮膚への反復適用は局所刺激、肥厚、潰瘍を生じる (ACGIH (7th, 2001))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
【分類根拠】
(1) より、区分2Bとした。

【根拠データ】
(1) 本物質のウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405相当) において、適用1及び24時間後に結膜発赤がみられたが、48時間後には回復した (SIAP (2014)、REACH登録情報 (Access on October 2019))。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 本物質のデータはないが、本物質の類似体であるシクロヘキサン (CAS番号 110-82-7) はモルモットを用いた皮膚感作性試験 (OECD TG 406)で感作性を示さなかったことから、本物質も感作性はないものと推察される (SIAP (2014)、REACH登録情報 (Access on October 2019))。

5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
In vivoデータがなく、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性の報告がある (NITE安全性試験結果 (Access on September 2019) 、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on September 2019)、SIAP (2014))。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より生殖影響はみられていないものの、スクリーニング試験であること、発生毒性に関するデータがないことから、データ不足のため分類できないとした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物毒性 (雌雄で肝臓の重量増加、雄で腎尿細管上皮の硝子滴 (α2uグロブリン蓄積によるものではない)) がみられる用量においても生殖影響はみられていない (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on September 2019)、SIAP (2014))。なお、児動物に対する影響については、試験報告書では最高用量である1,000 mg/kg/dayで体重低値傾向、生後4日生存率低値傾向がみられるとしている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on September 2019)) がSIAP (2014) では児動物への影響がみられていないとしている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性)


警告
H336
H335
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分3 (麻酔作用、気道刺激性) とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ヒトでは本物質の吸入ばく露により、立ちくらみ、眠気、鼻と喉の刺激を生じるとの報告がある。また、本物質蒸気は短時間の中枢神経系抑制を惹起するとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
(2) ラット及びマウスの1時間単回吸入ばく露試験において、26.3 mg/L (4時間換算値: 13.15 mg/L、区分2相当) で活動性亢進、協調運動性失調、衰弱 (prostration) がみられたが、死亡例はなかった (SIAP (2014))。

【参考データ等】
(3) ウサギに59.9 mg/L (4時間換算値: 32.4 mg/L、区分2超) を70分間吸入ばく露した試験で、死亡前に重度の痙攣、急速な昏睡、努力呼吸、流涎、結膜のうっ血がみられた (SIAP (2014)、ACGIH (7th, 2001))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(腎臓)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、ラットへの経口投与において区分2の範囲で腎臓への影響がみられており、免疫染色の結果からα2uグロブリン蓄積によるものではないとされていることから、区分2 (腎臓) とした。新たな情報源を用いて検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた強制経口投与による28日間反復投与毒性試験において、300 mg/kg/day (90日換算: 93 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雄で腎臓の硝子滴 (回復性あり)、1,000 mg/kg/day (90日換算: 311 mg/kg/day、区分2超) の雌雄で肝臓重量増加、肝細胞肥大、雌で腎臓の硝子滴 (回復性なし) 等がみられた (SIAP (2014)、NITE安全性試験結果 (Access on September 2019))。
(2) ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、250 mg/kg/day (90日換算: 78 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雄で腎尿細管上皮の硝子滴 (免疫染色の結果からα2uグロブリン蓄積によるものではない)、1,000 mg/kg/day (90日換算: 311 mg/kg/day、区分2超) の雌雄でALT増加、総コレステロール増加、肝臓重量増加、腎臓重量増加等がみられた((SIAP (2014)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on September 2019))。
10 誤えん有害性 区分1


危険
H304 P301+P310
P331
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 炭化水素である。
(2) 動粘性率が25℃で0.89 mm2/s (25℃での粘性率0.685 mPa・s (溶剤ハンドブック (2004)) と密度0.7694 g/cm3 (溶剤ハンドブック (2004) から算出) であることから、40℃の動粘度が20.5 mm2/s以下である。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.33 mg/L(環境省生態影響試験, 2006)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1986))、藻類(セレナストラム)の72時間NOEC (r) = 0.067 mg/L(環境省生態影響試験, 2006)であることから、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1986))、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.33 mg/L(環境省生態影響試験, 2006)であることから、区分1となる。
以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

GHS関連情報トップページに戻る