政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 141-78-6
名称 酢酸エチル
物質ID R01-B-086
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成21年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-4℃ (closed cup)、沸点77℃ (NFPA (2010)) に基づいて区分2とした。なお、UNRTDGにおいて、UN 1173、クラス3、PGIIに分類されている。
7 可燃性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - 発火点が426℃ (NFPA (2010)) との情報より常温で発火しないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - 塩素及びフッ素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 5,600 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))
(2) ラットのLD50: 10,100 mg/kg (DFGOT vol.12 (1999))
(3) ラットのLD50: 11.3 g/kg (11,300 mg/kg) (IRIS (1987))
(4) ラットのLD50: 5,620 mg/kg (環境省リスク評価第10巻 (2012))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: > 18,000 mg/kg (SIDS (2008)、DFGOT vol. 12 (1999))
(2) ウサギのLD50: > 20 mL/kg (18,000 mg/kg) (環境省リスク評価第10巻 (2012))
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分4とした。
なお、ばく露濃度 が飽和蒸気圧濃度 (123,000 ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 14,640 mL/m3 (14,640 ppm) (DFGOT vol.12 (1999))
(2) ラットのLC50 (6時間): 16,000 ppm (4時間換算値: 19,600 ppm) (HSDB (Access on September 2019))

【参考データ等】
(3) ラットのLC50 (4時間): 4,000 ppm (HSDB (Access on September 2019))
(4) ラットのLC50 (6時間): > 6,000 ppm (4時間換算値: 7,300 ppm) (SIDS (2008))
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) US Federal Register protocolに準じウサギの皮膚に4時間半閉塞適用を行った皮膚刺激性試験で皮膚反応はみられなかった (REACH登録情報 (Access on October 2019))。
(2) 入手可能な情報では、皮膚及び眼に刺激性は示さない (SIDS (2008))。

【参考データ等】
(3) 本物質の1時間x6日間の反復適用は皮膚の脱脂と角質層のダメージを引き起こすが、本物質の10%ワセリン調製物の48時間閉塞適用は皮膚刺激を生じない (DFGOT vol.12 (1999))。
(4) 本物質の反復閉塞適用は皮膚に刺激性を示す (DFGOT vol.12 (1999))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2Bとした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験において一過性の刺激性が認められ、24/48/72hの合計スコア(最大110)は、18、4、2であり、7日までに全ての反応は消失した。改変最大平均スコアは15 (最大値=110)であった (ECETOC TR48 (1998)、SIDS (2008)、REACH登録情報 (Access on October 2019))。
(2) 本物質は400 ppmでヒトに対し、眼、鼻、喉に刺激性を示す (ACGIH (7th,2001)、HSDB (Access on September 2019))。
(3) 本物質は眼と呼吸器に刺激性を有する (PATTY (6th, 2012)、GESTIS (Access on September 2019))。

【参考データ等】
(4) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on September 2019))。
(5) 本物質は1500 mL/m3以上でヒトに対し、眼、鼻、喉に刺激性を示す (DFGOT vol.12 (1999))。
(6) 入手可能な情報では本物質は、皮膚及び眼にも刺激性は示さない (SIDS (2008))。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) OECD TG406に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験 (guinea pig maximisation test) においてで陰性であった (SIDS (2008))。
(2) 入手可能な情報では本物質は皮膚感作性物質ではなく、皮膚及び眼にも刺激性は示さない (SIDS (2008))。


【参考データ等】
(3) 本物質の感作性の報告はあるが、希である (HSDB (Access on September 2019))。
(4) 本物質のヒトでの研究及びその構造から、皮膚感作性は示唆する情報はない (DFGOT vol.12 (1999))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、in vivo、in vitro試験を含む標準的組合せ試験でいずれも陰性であったことから、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、経口投与及び腹腔内投与によるマウス及びハムスターの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性の報告がある (DFGOT vol.12 (1999)、SIDS (2008))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験及び哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性の報告がある (DFGOT vol.12 (1999)、NTP DB (Access on September 2019)、SIDS (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性)


警告
H336
H335
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
ヒト及び実験動物での (1)~(4) の情報より、区分3 (麻酔作用、気道刺激性) とした。

【根拠データ】
(1) ボランティア10人に本物質400 ppmを3~5分間吸入ばく露した試験で、被験者が眼、鼻、喉の刺激を訴えたとの報告がある (DFGOT vol.12 (1999)、ACGIH (7th, 2001))。
(2) 男性ボランティア16人に本物質402 ppm を4時間ばく露した試験で、被験者がばく露時間内に眼や口、喉の刺激を訴えたとの報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012))
(3) ネコの単回吸入ばく露試験において、本物質20,000 ppm、45分間のばく露で深麻酔状態に至ったが回復したとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。
(4) ラットの6時間単回吸入ばく露試験において、自発運動喪失などの典型的な中枢神経系抑制の症状が認められたが、最大6,000 ppm (22.5 mg/L) まで死亡例はなかったとの報告がある (SIDS (2008))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、経口経路については区分に該当しない。吸入経路については、(2) のラットの吸入ばく露で区分1の範囲内で呼吸器への影響を示す結果があるものの、(3) では、(2) より高い濃度でヒトにおいて症状がみられなかったと報告されていることから、区分に該当しないと考えられる。

【根拠データ】
(1) ラットに90日間経口投与した結果、3,600 mg/kg/dayで体重増加抑制、摂餌量減少がみられたのみであった (SIDS (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。
(2) ラットに13週間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した結果、350 ppm (ガイダンス値換算: 0.9 mg/L、区分1の範囲) 以上の雌雄で鼻 (嗅上皮) でごく軽微から中程度の変性がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012))。
(3) 375~1,500 ppmの濃度で数ヵ月間ばく露された作業者で症状はみられなかった (ACGIH (7th, 2001))。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分に該当しない
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- - 甲殻類(ミジンコ)48時間EC50 = 262 mg/L、魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 230 mg/L(いずれも環境省リスク評価第10巻, 2012)であることから、区分に該当しないとした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
-
-
- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(28日でのBOD分解度=66, 112, 105%(通産省公報, 1993))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 2.4 mg/L(ECETOC TR91, 2003)であることから、区分に該当しないとなる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(28日でのBOD分解度=66, 112, 105%(通産省公報, 1993))、log Kow = 0.73(KOWWIN)であり、魚類の急性毒性データが区分に該当しない相当であることから、区分に該当しないとなる。
以上の結果から、区分に該当しないとした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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