政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7803-51-2
名称 ホスフィン
物質ID R01-B-089
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成30年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分1


危険
H220 P210
P377
P381
P403
爆発下限濃度 1.6 vol% (ICSC (2013)) に基づき区分1とした。なお、UNRTDGにおいてUN 2199、クラス2.3、副次2.1に分類されている。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - UNRTDGにおいてUN 2199、クラス2.3、副次2.1に分類されており、副次危険性を含めてクラス5.1には分類されていないため、ガイダンスの区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス 高圧液化ガス


警告
- - 臨界温度51.3℃ (ホンメル (1991)) より、高圧液化ガスとした。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
15 有機過酸化物
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間) : 11 ppm (ACGIH (7th, 2018)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)、HSDB (Access on September 2019))
(2) ラットのLC50 (4時間) : 15 mg/m3 (10.8 ppm) (EHC 73 (1988))
(3) ラットのLC50 (4時間) : 28~33.3 ppm (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998))
(4) ラットのLC50 (4時間) :57 ppm (49~66 ppm) (HSDB (Access on September 2019))
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
2 皮膚腐食性/刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている (EU CLP分類 (Access on November 2019))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、吸入ばく露によるマウス及びラットの染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験及びマウスの優性致死試験、小核試験で陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2018)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、ヒトリンパ球で染色体異常の報告がある (ACGIH (7th, 2018)、REACH登録情報 (Access on November 2019))。

【参考データ等】
(3) 本物質にばく露した農作業従事者で染色体異常がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2018))。
(4) 本物質の燻蒸作業に平均11.6年 (1.5~32年) 従事した労働者31人のコホート研究では、小核頻度、尿変異原性に有意な影響は見られなかった (IRIS (1995)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998))。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の既存分類結果からガイダンスに従い分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2018))、EPAでD (IRIS (1995)) に分類されている。

7 生殖毒性
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、発生影響はみられていない。しかし、性機能・生殖能に関するデータがないことからデータ不足で分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 妊娠ラットの妊娠6~15日に吸入ばく露した発生毒性試験で、発生影響はみられていない (IRIS (1995)、ACGIH (7th, 2018))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、心血管系、呼吸器、消化管)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) のヒトの情報から、区分1 (中枢神経系、心血管系、呼吸器、消化管) とした。(4) の実験動物の情報も、中枢神経系と呼吸器への影響を支持するものである。なお、旧分類は肝腫大を根拠として肝臓も標的臓器に含めていたが、根拠情報を精査した結果、本物質が原因の可能性がある症例との記載で詳細不明であるため、分類根拠としては不採用とした。したがって、分類結果が変更となった。

【根拠データ】
(1) 本物質の主要な標的臓器として、呼吸器系 (咳、喉の痛み、呼吸困難、肺水腫等) と中枢神経系 (頭痛、めまい、振戦、歩行異常、痙攣、昏睡等) との記載がある ((IPCS, PIM 865 (1997))。
(2) 本物質の吸入ばく露により中毒症状を生じたヒト59例のうち26例が死亡し、主な症状として、呼吸器系症状 (息切れ、呼吸困難、胸の圧迫感、横隔膜痛、咳等)、消化器系症状 (腹痛、吐き気、嘔吐、下痢)、頭痛、知覚異常、複視、振戦、黄疸がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2018))。
(3) りん化アルミニウム (CAS番号 20859-73-8) と水を反応させて生じる本物質を使用して燻蒸消毒を行なった穀物輸送船で発生した中毒例 (成人29名、小児2名) では、呼吸器系、中枢神経系、消化器系の症状に加えて、生存例の小児1例で心電図異常と心筋由来クレアチンホスホキナーゼ (CPK) 活性増加、死亡例の小児1例で肺水腫、局所性心筋壊死、僧帽弁・大動脈弁炎症が認められたとの報告がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)、ACGIH (7th, 2018))。
(4) ラットの4時間吸入ばく露試験において、LC50値は11 ppmであり、耳の充血、流涎、流涙、洗面動作 (face-pawing)、呼吸困難などの気道刺激性を示す症状がみられたとの報告がある ((ACGIH (7th, 2018))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露)
-
-
- - 【分類根拠】
ヒトへの急性影響に関する情報は多数報告されているが、反復ばく露による症例等の報告はない。(1)~(3) より、実験動物において反復投与が可能な濃度での吸入ばく露試験で明らかな影響がみられていないことから、分類できないとした。

【参考データ等】
(1) ラットに104週間吸入ばく露した結果、3 ppmまでの濃度で体重、摂餌量、血液学的検査、臨床検査、尿検査、剖検、臓器重量について投与に関連する影響はみられなかった (ACGIH (7th, 2018))。
(2) 実験動物は5 ppmの濃度で2ヵ月間 (4時間/日) のばく露には耐えられたが、10 ppmの濃度では7回のばく露で死亡がみられた (ACGIH (7th, 2018))。
(3) ラットに0.37、1、3 ppmの濃度で13週間吸入ばく露した結果、1 ppm以上で体重増加抑制、摂餌量減少、 3 ppmで赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値のわずかな減少 (5%) がみられた (ACGIH (7th, 2018))。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データなし
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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