政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 124-43-6
名称 過酸化尿素
物質ID R01-B-104
分類実施年度 令和元年度(2019年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団 (隣接する酸素原子) を含み、酸素収支の計算値は-34と判定基準の-200より高いが、UNRTDGにおいてUN 1511、クラス5.1 (副次8)、PGⅢに分類されていることから、優先評価項目の爆発物には該当しないため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
2 可燃性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
3 エアゾール
-
-
- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
4 酸化性ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
5 高圧ガス
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
6 引火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
7 可燃性固体
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品
-
-
- - 酸化性固体に分類されているため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
9 自然発火性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
10 自然発火性固体
-
-
- - UNRTDGにおいて、UN 1511、クラス5.1 (副次8)、PGⅢに分類されていることから、優先評価項目の自然発火性物質には該当しないため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
13 酸化性液体
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分3


警告
H272 P370+P378
P210
P220
P280
P501
UNRTDGにおいて、UN 1511、クラス5.1 (副次8)、PGⅢに分類されていることから、区分3とした。
15 有機過酸化物
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有するが、過酸化水素としてであり、有機化合物ではないとみなせるため、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物
-
-
- - 湿性や希釈等により鈍性化がなされていないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口)
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: > 2,000 mg/kg (REACH登録情報(Access on December 2019))
1 急性毒性(経皮)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1) より、腐食性 (区分1) あるいは刺激性 (区分2) と判定され、(2) より腐食性は否定されることから、区分2とした。新たなデータが得られたことから区分を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 439に準拠し、人工皮膚モデルを用いたin vitro皮膚刺激性試験において、60分ばく露後の細胞生存率は4.1%であり、腐食性 (区分1) あるいは刺激性 (区分2) と判定されている (REACH登録情報 (Access on December 2019))。
(2) OECD TG 431に準拠し、人工皮膚モデルを用いたin vitro皮膚腐食性試験において、3分、60分ばく露後の細胞生存率はそれぞれ72.8%、19.3%であり、腐食性は否定された (REACH登録情報 (Access on December 2019))。

【参考データ等】
(3) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている (EU CLP分類 (Access on December 2019))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 437に準拠し、牛角膜を用いたin vitro眼損傷性試験 (BCOP) において、平均刺激性スコア (IVIS) は99.44であり、区分1に該当すると判定された (REACH登録情報 (Access on December 2019))。

【参考データ等】
(2) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on December 2019))。

4 呼吸器感作性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 美容師、アレルギー性皮膚炎患者等約3万症例を対象としたパッチテストの結果は、本物質の加水分解物である過酸化水素には皮膚感作性がないと判断されている (REACH登録情報 (Accessed on December 2019))。
(2) ボランティアを対象としたパッチテストの結果、本物質の加水分解物である尿素には皮膚感作性がないと判断されている (REACH登録情報 (Accessed on December 2019))。
(3) 本物質は水分と接触すると過酸化水素と尿素に分解するが、両物質共に皮膚感作性を欠いており、そのため本物質は皮膚感作性物質ではないと考えらている (REACH登録情報 (Access on December 2019))。
5 生殖細胞変異原性
-
-
- - 【分類根拠】
In vivoデータがなく、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1) In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性の報告がある (NTP DB (Access on October 2019))。
6 発がん性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。実験動物では (1)、(2) の情報があるが、標的臓器の特定には不十分と判断した。また、旧分類の気道刺激性との情報はList 3の資料由来であるため不採用とした。したがって、分類結果が変更となった。

【参考データ等】
(1) ラットの単回経口投与試験において、2,000 mg/kgで鎮静、無関心 (apathy)、立毛、円背位、閉眼が投与直後から6時間にわたって認められたが、完全に回復した。死亡例はなく、剖検でも特に異常所見は認められなかった (REACH登録情報 (Access on December 2019))。
(2) 別のラットの単回経口投与試験において、5、15、及び50 mg/kgの投与1時間後の剖検では、全ての投与群で胃に潰瘍がみられた。24時間後の剖検結果では、胃の潰瘍は5 mg/kg群で消失、15、50 mg/kg群では症状の軽減がみられた (REACH登録情報 (Access on December 2019))。
(3) 本物質は水に溶解して過酸化水素 (CAS番号 7722-84-1) と尿素 (CAS番号 57-13-6) を生成する (REACH登録情報 (Access on December 2019))。過酸化水素は、ヒトで高濃度の蒸気やミストのばく露により、鼻と喉の刺激を生じるとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露)
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) 本物質は、加水分解して過酸化水素 (CAS番号 7722-84-1) と尿素 (CAS番号 57-13-6) を生成し、過酸化水素により生じる吸入毒性が主な毒性であると考えられる (REACH登録情報 (Access on December 2019))。
(2) 過酸化水素は、2013年度GHS分類において、イヌ及びラットにおける本物質の蒸気の吸入試験で、区分1のガイダンス値範囲内の濃度 (0.005~0.01 mg/L) で肺に線維化病巣が散見され、無気肺領域と気腫領域の混在 (イヌ)、鼻腔上皮に壊死及び炎症、喉頭に細胞浸潤 (ラット) を認めたとの記述 (EU-RAR (2003))、ヒトにおいても鼻、喉に刺激性を示し、最悪のケースでは肺水腫を生じるリスクがあるとの記述 (ECETOC JACC (1993)) があることから、区分1 (呼吸器) に分類されている。
10 誤えん有害性
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データなし
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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