項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 3811-73-2 |
名称 | ナトリウム=1-オキソ-1λ(5)-ピリジン-2-チオラート |
物質ID | R02-A-002-METI, MOE |
分類実施年度 | 令和2年度(2020年度) |
分類実施者 | 経済産業省/環境省 |
新規/再分類 | 新規分類 |
他年度における分類結果 | |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類できない |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団(N-オキシド類)を含み、酸素収支は-118と判定基準の-200より高いがデータがなく分類できない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団(N-オキシド類)を含むが、データがなく分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属(Na)を含むが、水溶解度は646.6 g/L(GESTIS(Accessed June 2020))との測定データが得られており、水との急激な反応はないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N、Na) と結合しているが、データがなく、分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 分類できない |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団(N-オキシド類)を含み、酸素収支は-118と判定基準の-200より高いがデータがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 | P301+P312 P264 P270 P330 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1000~2000 mg/kg(DFG MAK (2019)) (2)ラット(雌)のLD50:1208 mg/kg(DFG MAK (2019)、NICNAS IMAP (2017)) (3)ラットのLD50:660~900 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) (4)ラットのLD50:980~1120 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) (5)ラットのLD50:1500 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 |
警告 |
H312 | P302+P352 P362+P364 P280 P312 P321 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、ラットでは区分に該当しない。(3)より、ウサギでは区分4に該当する。よって有害性の高い区分を採用し、区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2000 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) (2)ラットのLD50:2500 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) (3)ウサギのLD50:1800 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分3 |
危険 |
H331 | P304+P340 P403+P233 P261 P271 P311 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)より、区分3とした。なお、分類にはOECD TG403(GLP準拠)に従って実施された試験である(1)を優先して採用した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間)(OECD TG403、GLP):0.5~1.0 mg/Lの間(EU CLH提案文書(2019)) 【参考データ等】 (2)ラット(雄)のLC50(4時間):1.3 mg/L((NICNAS IMAP (2017)、DFG MAK (2019)) (3)ラット(雌)のLC50(4時間):0.8 mg/L((NICNAS IMAP (2017)、DFG MAK (2019)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 | P302+P352 P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分2とした。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、14日観察)において、重度の浮腫がみられた(紅斑・痂皮スコア:0/3.3/2.3、浮腫スコア:0/4/1)との報告がある(CLH report (2019)、DFG MAK (2019)、NICNAS IMAP (2017)、REACH登録情報 (Accessed May 2020))。 (2)健常人ボランティアに対して本物質1~2%水溶液を頬、首、手の背面に1滴滴下したところ、10~60%の被験者に回復性の刺激反応(熱感、紅斑)がみられたとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。 【参考データ等】 (3)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、軽微な皮膚刺激がみられた(紅斑・痂皮スコア:1/1/1、浮腫スコア:0.3/0.3/0.3)との報告がある(CLH report (2019)、REACH登録情報 (Accessed May 2020))。 (4)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、4時間適用、72時間観察)において、軽微な皮膚刺激がみられた(紅斑・痂皮スコア:0.7/0.7/0/0.3/0.7/1.7、浮腫スコア:0/0/0/0/0.3/0.7)との報告がある(CLH report (2019))。 (5)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、4時間適用、72時間観察)において、軽微な皮膚刺激がみられた(紅斑・痂皮スコア:0/0.3/0.3、浮腫スコア:0/0/0.3)との報告がある(CLH report (2019))。 (6)In vitro 皮膚刺激性試験(OECD TG 439、GLP)において細胞生存率R=114%との報告がある(CLH report (2019))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1)より、区分2とした。なお、(2)~(7)は区分に該当しないことを示唆しているが、(1)の他(2)(3)でも死亡例が報告されており、労働者保護の観点から区分2を付与することとした。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、2日目に3例が死亡した。回復性の虹彩炎及び回復性の結膜刺激が6例全例にみられた(角膜混濁スコア:-/0/0/0/0/0、虹彩炎スコア:-/0/0/1/0/0、結膜発赤スコア:-/2/3/2/1.7/2、結膜浮腫スコア:-/0/0.3/1/0.3/0.7)との報告がある(CLH report (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 【参考データ等】 (2)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(EPA OPP 81-4)において、4例が24時間以内に死亡した。角膜混濁は1時間後以降全例にみられず、生存例では試験期間中を通してみられなかった。虹彩炎は1時間後に4/6例でみられたが(平均スコア:1)、24時間後まで影響がみられた生存1例ではその後回復した。結膜病変は雄では72時間後まで(発赤及び浮腫の24/48/72hの各平均スコア:1.67)、雌では24時間後まで(24/48/72hの平均スコア:1)みられた。生存例では、眼刺激影響は7日後には消失していたとの報告がある(CLH report (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (3)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、2日目に2例が死亡した。回復性の角膜混濁が1例、回復性の虹彩炎が2例に、また回復性のある結膜刺激が全例にみられた(角膜混濁スコア:0/0.3/0/0/0/0、虹彩炎スコア:1/0/0/1/0/0、結膜発赤スコア:2/0/0/1/0/0.3、結膜浮腫スコア:1/0/0/0/0/0)との報告がある(CLH report (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (4)サル(n=3)を用いた眼刺激性試験(EPA OPP 81-4、GLP、7日観察)において、結膜刺激が2例にみられたが、7日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1/1.3/0、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(CLH report (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (5)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、7日観察)において、結膜刺激が3例にみられたが、7日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1.7/1.7/1.7、結膜浮腫スコア:1/0.7/0.3)との報告がある(CLH report (2019))。 (6)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、7日観察)において、結膜刺激が3例にみられたが、2日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0/、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:0/0.3/0.3、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(CLH report (2019))。 (7)In vitro 眼刺激性試験(OECD TG 437)において、in vitro 刺激性スコア(IVIS)=0.8との報告がある(CLH report (2019))。 (8)EU CLHでは(1)を根拠に区分2が提案されている(CLH repot (2019))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1とした。なお、(2)は区分1Aを支持し、(1)は区分1Bを支持するが、(2)は細胞操作中のエラーにより最高用量(25%)のSI値を欠損していることから、現状得られているデータでは細区分のための情報は十分ではないと判断した。 【根拠データ】 (1)マウス(n=5)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は1.0(5%)、1.8(10%)、2.5(15%)、7.2(25%)、EC3値は16%と算出されたとの報告がある(CLH Report (2019))。 (2)マウス(n=4)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429相当、GLP)において、刺激指数(SI値)は1.6(0.25%)、4.6(2.5%)、EC3値は1.3%と算出されたとの報告がある(CLH Report (2019))。 【参考データ等】 (3)手又は前腕に皮膚炎のある金属工業労働者230名に対する本物質1%溶液を用いたパッチテストにおいて、感作反応はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (4)冶金工業で10年間作業をしていた女性作業者1名に対する本物質0.3%溶液を用いたパッチテストにおいて、48、72、96時間後に明らかな陽性反応が認められたが、同じ溶液を用いてボランティア(10名)に対してパッチテストを行ったところ、感作反応はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (5)健康成人男子100名に対する本物質1%溶液を用いたパッチテスト(上腕部、閉塞、24時間適用、30日間で15回塗布)で感作を誘導し、2週間後に惹起(0.5%溶液、閉塞、24時間)させたところ、パッチ除去後24、48時間後に感作反応はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (6)過去に本物質を含む金属加工油に接触し手に皮膚炎を発症している作業者115名に対する本物質0.1%溶液を用いたパッチテスト(閉塞、48時間適用)において、48及び96時間後に感作反応はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (7)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(皮内投与:5%溶液)において、経皮適用による感作誘導期に適用後4例が死亡した。惹起終了後24及び48時間後の陽性率はいずれも0%(試験群0/16例 vs 対照群1/10例(極軽度の紅斑)) であったとの報告がある(DFG MAK (1998))。 (8)モルモットを用いたMaximisation試験において、皮膚刺激性のみられる用量レベルまで感作性はみられなかったとの報告がある(EPA Pesticide RED (1995))。 (9)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406)において、感作誘導期に軽度から重度の紅斑がみられた。惹起後24及び48時間後の陽性率はそれぞれ20%(2/10例)及び30%(3/10例)であった。との報告がある(CLH Report (2019)、DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (10)EU CLHでは、(2)から区分1Aが示唆されるが、低いEC3値を支持する情報が十分ではないため、区分1が提案されている(CLH Report (2019))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(5)のデータから、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) マウス骨髄小核試験(単回強制経口投与および単回腹腔内投与)においてそれぞれ陰性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (2)細菌を用いた復帰突然変異試験において陰性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (3)ほ乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験において陰性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (4)ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験において陽性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (5) In vitroのラット初代肝細胞を用いたUDS試験において陰性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 |
6 | 発がん性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類結果】 (1)~(3)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)SDラットの104週間強制経口投与慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 453, GLP)で、1.5 mg/kg以上:全身毒性(骨格筋の消耗、坐骨神経・網膜の萎縮、脊髄の変性)の最高投与群まで、投与に関連した腫瘍性変化なしとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP(2017)、DFG MAK(2019))。 (2)SDラットの104週間強制経口投与慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 453, GLP)で、1.4 mg/kg以上:全身毒性(骨格筋及び神経の変性など)の最高投与群まで、投与に関連した腫瘍性変化なしとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP(2017)、DFG MAK(2019))。 (3)CD-1マウスの80週間経皮発がん性試験(OECD TG 451, GLP)で、40 mg/kgの投与で表皮の過形成の頻度増加がみられ最高投与群まで、投与に関連した腫瘍性変化なしとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP(2017)、DFG MAK(2019))。 【参考データ等】 (4)EU CLPでは区分に該当しない。 |
7 | 生殖毒性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(4)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)(純度40.8%)ラットを用いた強制経口投与による二世代生殖毒性試験(交配10週間前から試験終了前日まで)において、1.4 mg/kg/day以上でF0、F1親動物に子宮重量増加、腎臓重量減少(雌)、F2児動物には出生児体重の減少、停留精巣がみられたとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP (2017)、REACH登録情報 (Accessed May 2020))。なお、F0親動物の生殖能力低下については、精子パラメータへの影響がみられていないことから、毒性学的な関連性は評価できないとの報告がある(DFG MAK (2019))。 (2)ラットを用いた強制経口投与による二世代生殖毒性試験(交配前11週間及び分娩後25日まで)において、3.5 mg/kgでF0親動物に体重増加抑制、後肢の筋肉萎縮、交尾成立までの時間の増加と交尾及び妊娠成立動物数の減少、F1児動物に児動物数の減少傾向(非有意)、発育指標の遅延傾向(非有意)、体重増加抑制、後肢の筋肉萎縮がみられたとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠6~19日)において、4 mg/kg/dayで親動物に体重減少、摂餌量減少、自発運動低下、衰弱及び子宮重量減少がみられたが、児動物には軽微な影響(胎児体重の低値及び骨化遅延)のみがみられたとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (4)ウサギを用いた経皮投与による発生毒性試験(妊娠6~19日)において、5 mg/kg/dayで発生毒性がみられなかったとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP (2017))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(3)より、振戦、後肢機能障害がみられており、区分1(神経系)とした。(1)~(3)の一部症状(嗜眠、流涎、瞳孔拡張など)もこれを支持する所見と考えた。また、(3)はLC50値より区分1の範囲と考えられるため、区分1(神経系)とした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた複数の単回経口投与試験において、運動失調、円背姿勢、嗜眠、振戦、流涎、流涙、下痢、筋緊張度の変化、立毛及び努力呼吸の非致死影響がみられたとの報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (2)ラットを用いた複数の単回経皮ばく露試験において、嗜眠、鼻から分泌物、鼓張、下痢、眼瞼下垂、瞳孔拡張の非致死影響がみられたとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。 (3)ラットを用いた複数の単回吸入ばく露試験(ミスト)において、流涎、顔面・腹部・生殖器周囲の汚染、後肢の機能障害 (Hindlimb impairment)、衰弱、嗜眠、立毛、色素涙、眼瞼下垂、振戦、異常歩行及び斑状紅斑の非致死影響が見られ、雌のLC50(4時間)は0.5~1.0 mg/Lであったとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、DFG MAK (2019))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2)、(4)、(5)より、ラットでは経口、経皮、吸入の各経路で区分1の用量から神経毒性とそれによる筋肉萎縮が認められたことから、区分1(神経系)とした。なお、(2)、(3)でみられている軽度の血液影響は標的臓器として採用しなかった。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による90日間経口投与試験において、2 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で後肢の上部筋の萎縮が、8 mg/kg/day(区分1の範囲)では後肢の運動失調から麻痺を生じた例がみられたため切迫屠殺された。この試験で生じた後肢の骨格筋萎縮は神経原性萎縮(neurogenic atrophy)と考えられ、神経毒性の生じないNOELは0.5 mg/kg/dayと報告されている(NICNAS IMAP (2017)、EPA Pesticide RED (1995))。 (2)ラットを用いた強制経口投与による2年間経口投与試験において、0.5 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で血液影響(赤血球数・Hb・Ht減少)とCPK増加が、1.5 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で雄に後肢の筋肉萎縮が、3.5 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で後肢の筋肉萎縮、脊髄の神経線維の萎縮、雌雄に後肢の脆弱、坐骨神経の変性、網膜萎縮等がみられたとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、DFG MAK (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (3)カニクイザルを用いて52週間強制経口投与した試験において、血液影響として5 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で赤血球数減少が、25 mg/kg/day(区分2の範囲)で雌雄にHb・Ht減少がみられたが、神経・骨格筋への影響は雄の150 mg/kg/day、雌の75 mg/kg/dayまでの用量で認められなかったとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、DFG MAK (2019))。 (4)ラットを用いて90日間経皮投与(6時間/日)した試験において、50 mg/kg/day群(区分2の範囲)(雌では15 mg/kg/day以上(区分1の範囲)の群)で肉眼的に筋肉の減少がみられ、病理組織検査で後肢の上部筋肉及び皮下の筋層の萎縮が50 mg/kg/day群で顕著に、15 mg/kg/day群でもより軽度に認められた。50 mg/kg/day群の雌では坐骨神経の変性が神経幹内の一本一本の神経線維にまで及んでいたとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。 (5)ラットを用いて90日間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)した試験において、高用量群は3.8 mg/m3(0.004 mg/L)で暴露を開始し、6週間後に8.1 mg/m3(0.008 mg/L)に増加させた結果、雄には有害影響はみられなかった、雌には体重増加抑制、後肢の機能障害及び筋肉の変性がみられたとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。 【参考データ等】 (6)本物質の製造に2~13年間従事した作業者男性9人に毒性症状がみられないとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
魚類(ゼブラフィッシュ)96時間LC50 = 0.00767 mg/L(EU CLP CLH, 2019)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分2 |
- |
H411 | P273 P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(二酸化炭素生成量による分解度:73%(CLH Report, 2019))、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOEC = 0.033 mg/L(REACH登録情報, 2021)から、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50 = 0.00767 mg/L(EU CLP CLH, 2019)であるが、急速分解性があり(二酸化炭素生成量による分解度:73%(CLH Report, 2019))、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow = 0.002(REACH登録情報, 2021))ことから区分に該当しないとなる。 以上の結果を比較し、区分2とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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