項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 183675-82-3 |
名称 | 1-メチル-N-[2-(4-メチルペンタン-2-イル)-3-チエニル]-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(別名:ペンチオピラド) |
物質ID | R02-A-080-METI, MOE |
分類実施年度 | 令和2年度(2020年度) |
分類実施者 | 経済産業省/環境省 |
新規/再分類 | 新規分類 |
他年度における分類結果 | |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 塩素を含まず、フッ素及び酸素を含む有機化合物であるが、このフッ素及び酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 423、GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):> 5.67 mg/L (GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013)) (2)ラットのLC50(4時間):> 5.59 mg/L (OECD TG 403、GLP)(CLH Report (2015)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、閉塞、4時間適用、72時間観察)において、全例で刺激性変化はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2015)、農薬抄録 (2013))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、非洗眼群3例で適用1時間後に結膜発赤及び結膜浮腫がみられたが、48時間以内に完全に回復した(非洗眼群3例の角膜混濁スコアの平均:0、虹彩炎スコアの平均:0、結膜発赤スコアの平均:0.2、結膜浮腫スコアの平均:0.2)との報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2015)、農薬抄録 (2013))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:5%懸濁液)において、パッチ除去24、48時間後の陽性率はともに0%(0/20例)であったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2015)、農薬抄録 (2013))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(5)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(2回経口投与)において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015))。 (2)In vivo/in vitro試験系のラット肝細胞を用いた不定期DNA合成試験において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、CLH Report (2015))。 (3)細菌復帰突然変異試験(GLP)において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015)))。 (4)チャイニーズハムスターの肺線維芽細胞を用いた染色体異常試験(GLP)で陽性(+S9)の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015)))。 (5)マウスリンフォーマ細胞を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG 475、GLP)で陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、CLH Report (2015)))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分2とした。 【根拠データ】 (1)国内外の分類機関による既存分類としては、EPAでS(Suggestive Evidence of Carcinogenic Potential)に分類されている(EPA Annual Cancer Report (2019):2011年分類)。 (2)ラットを用いた混餌投与による2年間発がん性試験において、腫瘍性病変として250 mg/kg/day群の最終と殺動物の雄に甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生頻度の有意な増加が認められた。同投与群の雄の全動物における発生頻度(18.4%)には統計学的有意差はなく、前がん病変の増加も観察されなかったが、試験実施施設における雄のWistar ラットの背景データ(ろ胞細胞腺腫:0%~14.3%、ろ胞細胞癌:0%~6%)を上回っていることから、検体投与の影響と考えられた(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013))。 (3)マウスを用いた混餌投与による18カ月間発がん性試験において、腫瘍性病変として200 mg/kg/day以上の投与群の雄に肝細胞腺腫の発生頻度の増加が認められた(同上)。 (4)EPAは雄マウスでみられた肝臓腫瘍の頻度増加は投与に関連した影響と判断し、「S」に分類した。一方、雄ラットにみられた甲状腺腫瘍は投与に関連した変化ではないと考えられた(US Federal Register Vol. 84, No. 109 (2019))。 【参考データ等】 (5)ラットの2年間発がん性試験において認められた甲状腺ろ胞上皮腺腫は、本物質投与により肝臓中の薬物代謝酵素UDPGT 活性が亢進し、血清中T4 が低下し、ネガティブフィードバック機構によりTSH 分泌が持続的に亢進した結果、誘発されたものと考えられた。甲状腺へのホルモンへの影響には回復性が示された(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015))。 (6)EUでは雄マウスの肝細胞腺腫の発生頻度は最新のヒストリカコントロールの範囲内である、また、ラットの甲状腺腫瘍は(5)で示した作用機序によるもので、甲状腺ホルモンの恒常性かく乱作用に対してヒトはげっ歯類に比べ感受性は低く、この機序による腫瘍発生はヒトには当てはまらないとした。したがって、CLP分類では「区分に該当しない」として提案され、RACはこれに同意した(CLH Report (2015)、RAC opinion (2015))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分2とした。なお、(2)では軽微な母体毒性がみられる用量で児動物に着床後胚・胎児死亡数の増加等がみられている。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(GLP)において、親動物に一般毒性影響(肝臓、甲状腺、副腎への影響)がみられる用量で、児動物に低体重(F1及びF2)、包皮分離遅延(F1雄)がみられた。なお、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015))。 (2)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠6~19日)において、親動物に一般毒性影響(体重増加抑制、摂餌量減少、妊娠子宮重量減少)がみられる用量で、児動物に着床後胚・胎児死亡数の増加、生存胎児数の減少(雌)がみられた。なお、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015))。 (3)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠6~28日)において、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015))。 (4)ラットを用いた強制経口投与による発達神経毒性において、250 mg/kg/dayで親動物に摂餌量減少、児動物に肛門周囲の汚れ、体重増加抑制・自発運動の増加(雄)がみられたが、発達神経毒性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015))。なお、EPAは、母体毒性がみられない用量で児動物に体重低下、自発運動増加及び振戦がみられたが、予備試験では、母体毒性がみられない用量で児動物に体重低下、衰弱及び死亡がみられたと報告した(US Federal Register (2019))。 【参考データ等】 (5)RACは、本物質について分類の必要はないと判断した。なお、(2)で児動物にみられた着床後胚・胎児死亡数の増加は、母体毒性の二次的影響ではないと考えられたが、わずかな増加であるため、発生毒性の分類は必要ないと判断した(RAC Opinion (2015))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(神経系) |
警告 |
H371 | P308+P311 P260 P264 P270 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)より、急性神経毒性試験で検出された症状から、区分2(神経系)とした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回経口投与による急性毒性試験において、500 mg/kg(区分2の範囲)で円背位、体温低下及び着地開脚幅増加、自発運動量減少、接近及び接触反応に対する無反応(雄)、体幹筋緊張低下及び取扱いに対する反応低下・歩行異常(雌)が、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で体重増加抑制・立毛、体幹筋緊張低下及び取扱いに対する反応低下・歩行異常及び緩徐呼吸・尾ばさみ反応に対する反応低下(雄)、振戦及び咀嚼行動・接近及び接触反応に対する無反応(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015))。 【参考データ等】 (2)米国は上記(1)の急性神経毒性試験における(神経様)症状の発現しない用量である125 mg/kgを出発点(POD)として、急性参照用量(acute RfD)を設定している(US Federal Register vol. 84, No. 109 (2019))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(肝臓) |
警告 |
H373 | P260 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(2)より、区分2(肝臓)とした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、100 mg/kg/day(区分2の範囲)で肝臓への影響(比重量増加・肝細胞肥大)、雄にMCHC減少及びAPTT延長等が、250 mg/kg/day以上の高用量で(区分該当しない範囲)で血液及び肝臓に明瞭な影響がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019))。 (2)ラットを用いた混餌投与による2年間発がん性試験において、83 mg/kg/day(区分2の範囲)で雄に門脈周囲性肝細胞脂肪変性が、250 mg/kg/day(区分該当しない範囲)で肝臓、雄の腎臓、雌の副腎等に影響がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019))。 【参考データ等】 (3)マウス及びイヌを用いた混餌投与による90日間経口投与試験、ラット及びイヌを用いた混餌投与による1年間慢性毒性試験等の各試験においては、区分2までの用量範囲では毒性所見は認められず、区分に該当しない範囲の高用量で、肝臓、血液、甲状腺、副腎等への影響がみられている(食安委 農薬評価書 (2019))。 (4)ラットの28日間亜急性経皮毒性試験では、1,000 mg/kg/day(90日換算値:311 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)まで毒性所見は認められなかった(CLH Report (2015))。 (5)ラット、マウス及びイヌを用いた短期投与試験において、決定的な影響は肝臓(重量増加及び病理組織所見)と胆嚢(水腫、イヌ)にみられた。イヌが最も感受性の高い動物種であった。また、ラット及びマウスを用いた長期投与試験において、決定的な影響は肝臓(肝重量増加:マウス、門脈周囲肝細胞変性:ラット)と甲状腺(甲状腺コロイド変性の増加:マウス)にみられた(EFSA (2013))。 (6)本物質の毒性の標的臓器は肝臓と甲状腺である。短期投与試験では、ラットとマウスでほぼ同様の用量、イヌではより高用量において肝臓に変化(重量増加、肝酵素の変動、肥大等)がみられた。これらの動物種の中でラットの肝臓所見(脂肪変性、肝細胞変性、クッパー細胞増殖)が他種の所見より重要である(US Federal Register vol. 84, No. 109 (2019))。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 0.29 mg/L(ECOTOX, 2021、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類 (ファットヘッドミノー)の33日間NOEC = 0.1 mg/L(ECOTOX, 2021、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)から、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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