政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 108-78-1
名称 メラミン
物質ID R02-A-004-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、特定の条件下で可燃性という情報 (ICSC (2006)) がある。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が> 500℃ (ICSC (2006)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物であり、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 3,161 mg/kg (MOE初期評価第9巻 (2011))
(2) ラットのLD50: 雄: 3,200 mg/kg、雌: 3,800 mg/kg (IARC 73 (1999)、HSDB (Access on April 2020))
(3) ラットのLD50: 雄: 3,160 mg/kg、雌: 3,850 mg/kg (HSDB (Access on April 2020))、3,160 mg/kg (GESTIS (Access on April 2020))、3,160~3,850 mg/kg (Patty (6th, 2012))

1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。(1) のデータがあるが、このデータのみでは区分を判定できないため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) ウサギのLD50: > 1,000 mg/kg (MOE初期評価第9巻 (2011)、GESTIS (Access on April 2020)、HSDB (Access on April 2020))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しないとした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
ラットのLC50 (エアロゾル、4時間): > 5.19 mg/L (REACH登録情報 (Access on June 2020))
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で皮膚反応は観察されなかった (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(2) ヒトパッチテストで皮膚への刺激や感作はなかった。また、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂の製造やホルムアルデヒドと本物質の中間反応生成物により皮膚炎がみられるが、本物質自体ではみられなかった (MOE初期評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010))。
(3) 本物質の1%水溶液をモルモットの皮膚に閉塞適用した実験で皮膚刺激及び感作性を殆ど示さない。ウサギでも同様の結果であった (Patty (6th, 2012))、GESTIS (Access on April 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足により分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 本物質の粉末はウサギの眼に対し一過性の軽度の刺激性を示すが、10%水懸濁液は刺激性を示さない (Patty (6th, 2012))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 406に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において陰性と報告されている (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(2) ヒトパッチテストで皮膚への刺激や感作はなかった。また、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂の製造やホルムアルデヒドと本物質の中間反応生成物により皮膚炎がみられるが、本物質自体ではみられなかった (MOE初期評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010))。
(3) 本物質の1%水溶液をモルモットの皮膚に閉塞適用した実験で皮膚刺激及び感作性を殆ど示さない。ウサギでも同様の結果であった (Patty (6th, 2012))、GESTIS (Access on April 2020))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス骨髄細胞を用いる小核試験 (腹腔内投与) で陰性 (MOE初期評価第9巻 (2011)、CEBS (Access on April 2020)、IARC 73 (1999))、マウス骨髄細胞を用いる染色体異常試験 (腹腔内投与) であいまいな結果の報告がある (IARC 119 (2019))。マウス骨髄細胞を用いる姉妹染色分体交換試験 (腹腔内投与) で陽性 (IARC 119 (2019))。ラット (経口投与) の膀胱の尿路上皮細胞と肝細胞を用いるコメットアッセイで陰性の報告がある (IARC 119 (2019))。ラット (経口投与) の末梢血pig-a変異試験で陰性の報告がある (IARC 119 (2019))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の姉妹染色分体交換試験で陰性または曖昧な結果の報告がある (IARC 119 (2019)、CEBS (Access on April 2020)、MOE初期評価第9巻 (2011))。哺乳類培養細胞の小核試験で陰性の報告がある (IARC 119 (2019))。

【参考データ等】
(3) ヒト尿中のDNA酸化損傷マーカー (8-OHdG) の濃度測定の結果、8-OHdG濃度の上昇は認められなかった (IARC 119 (2019))。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) に基づき区分2とした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 119 (2019))、産衛学会で第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (2019年提案))、EPAでグループD (Not Classifiable as to Human Carcinogenicity) (EPA Cancer Annual Report 2019 (Access on July 2020):1993年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、雄ラットで膀胱の移行上皮がんの発生率の有意な増加が認められ、移行上皮がんを認めた7/8匹に膀胱結石があった。雌ラット及び雌雄のマウスでは発生率の有意な増加を認めた腫瘍はなかった (MOE初期評価第9巻 (2011)、NTP TR245 (1983)、IARC 119 (2019))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を22週間混餌投与した試験では、膀胱及び尿管の異形成又は上皮内がんの発生率の有意な増加が認められた (IARC 119 (2019))。

【参考データ等】
(4) ホルムアルデヒドにばく露した労働者を対象とした米国の大規模コホート研究では、本物質を含む他の化学物質にばく露した労働者も特定され、肺がんに起因する死亡率、 白血病、上咽頭がんと本物質へのばく露期間に正の相関がみられた。しかし、本物質へのばく露量は測定されておらず、喫煙や他の化学物質へのばく露についての分析は行われていない (IARC 119 (2019))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) のデータはあるが、性機能及び生殖能への影響が不明であり、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6~16日に混餌投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加の抑制、摂餌量の減少、血尿) 用量でも胎児に影響はみられていない (MOE初期評価第9巻 (2011)、HSDB (Access on April 2020))。

【参考データ等】
(2) 雌ラットの妊娠期間中 (妊娠4日及び5日、又は妊娠7日及び8日、又は妊娠11日及び12日) に単一用量 (70 mg/kg/day) を腹腔内投与した試験において、母動物、胎児共に影響はみられていない (MOE初期評価第9巻 (2011)、HSDB (Access on April 2020))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) のヒトの情報は詳細が不明であり、(2)~(4) の実験動物に対する影響は全て区分2超の高用量でみられたものであるため、根拠としなかった。したがって分類できないとした。

【参考データ等】
(1) ヒトへの経口投与で、ばく露された組織に中等度の影響があったとの報告があるが、詳細は不明である (HSDB (Access on April 2020))。
(2) ラット及びイヌに2,400 mg/kg (区分2超の範囲) を経口投与したところ、利尿及び結晶尿がみられた (HSDB (Access on April 2020)、Patty (6th, 2012))。
(3) ラットの経口投与試験では、2,150 mg/kg (区分2超の範囲) 以上の雄、3,160 mg/kg (区分2超の範囲) 以上の雌で胃に白色結晶がみられた (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(4) ラットの吸入ばく露試験では、5.19 mg/L (エアロゾル、4時間、区分2超の範囲) で呼吸数低下、眼瞼痙攣、肺の点状出血、灰色変色及び白斑がみられた (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (泌尿器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2) よりヒトにおいて泌尿器への影響がみられるとの情報があることから、区分1 (泌尿器) とした。

【根拠データ】
(1) 中国における乳幼児用調製乳への本物質混入事案では、本物質が混入された乳幼児用調製乳等が原因と思われる乳幼児等の腎結石等の被害が報告されている。本物質のばく露量は最大8.6~23.4 mg/kg/dayと推定されており、本物質が混入された調整乳において本物質の類似化合物であるシアヌル酸等の検出量は本物質の0.1%程度であることから、WHOの専門家会合では、本物質単独でも摂取量が多ければ結石が生じる可能性があると結論している (MOE初期評価第9巻 (2011))。
(2) 中国における乳幼児用調製乳への本物質混入事案の臨床所見について、我が国の食安委では、排尿時の啼泣、 血尿、腰部叩打痛、結石の排出や排尿困難、乏尿又は無尿に伴う急性閉塞性腎不全、それに伴う高血圧及び浮腫としている (MOE初期評価第9巻 (2011))。

【参考データ等】
(3) ラット及びマウスの13週間混餌投与試験においても、区分2超の用量で泌尿器への影響がみられたとの報告がある (NTP TR245 (1983))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分に該当しない
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- - 藻類(ムレミカヅキモ) 72時間EbC50 = 196 mg/L(REACH登録情報, 2020)、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 200 mg/L(REACH登録情報, 2020)であることから、区分に該当しないとした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
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- - 急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOEC(面積法) = 31 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC≧11 mg/L、魚類(ファットヘッドミノー)の36日間NOEC≧5.1 mg/L(いずれもREACH登録情報, 2020)から、区分に該当しない。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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