政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 10233-03-1
名称 次亜塩素酸マグネシウム
物質ID R02-A-010-MHLW
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類できない
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-
- - 金属 (Mg) を含むが、データがなく分類できない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - 酸素及びハロゲン元素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。なお、次亜塩素酸バリウム、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸カルシウムは、国連番号より本項は区分2とされている。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 無機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
【分類根拠】
本物質自体のデータはないが、(1) より区分1とした。新しい情報を基に分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 次亜塩素酸イオンはアルカリ性を示すため、次亜塩素酸カルシウム (CAS番号 7778-54-3) が皮膚腐食性を示す (AICIS 旧 NICNAS) IMAP (2015))と同様に、本物質も皮膚に対し腐食性を示すと考えられる。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。新しい情報を基に分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚腐食性 (区分1) に区分されている ((2020年GHS分類)。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
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- - 【分類根拠】
本物質自体の情報はないが、本物質は水溶液中で次亜塩素酸イオンとマグネシウムイオンに解離すると考えられることから、次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9)、可溶性マグネシウム化合物の情報に基づき検討した。(1)~(4) より区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9) について、in vivoでは、マウス腹腔内又は経口投与の骨髄を用いた小核試験で陰性、マウス経口投与の骨髄を用いた染色体異常試験で陰性、ラット経口投与のDNA損傷試験で陰性の報告がある (EURAR (2007)、NTP TR392 (1992)、Patty (6th, 2012))。
(2) 次亜塩素酸ナトリウムについて、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、陽性の結果、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性、陽性の結果 (EURAR (2007)、NTP TR392 (1992))、姉妹染色分体交換試験で陽性の報告がある (EURAR (2007))。
(3) 塩化マグネシウム (CAS番号 7786-30-3) について、in vivoでは、マウス腹腔内投与の骨髄を用いた小核試験で陰性の報告がある (SIAR (2011))。
(4) 塩化マグネシウムについて、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性の報告がある (SIAR (2011))。
6 発がん性 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
データがなく分類できない。

【参考データ等】
(1) 本物質は含まれないが、IARCでは次亜塩素酸塩としてグループ3 (IARC 52 (1991)) に分類している。
7 生殖毒性 分類できない
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- - 【分類根拠】
本物質のデータはないが、本物質は水溶液中で次亜塩素酸イオンとマグネシウムイオンに解離すると考えられる。したがって、次亜塩素酸 (CAS番号 7790-92-3) と水溶性マグネシウムのデータを基に分類を検討した。次亜塩素酸については概ね生殖影響はないと考えられるが、器官形成期のみに投与した発生毒性のデータがないことから、データ不足のため分類できない。また、マグネシウムイオンについては (4) のデータがあり生殖影響はみられていないが、スクリーニング試験であること、器官形成期のみに投与した発生毒性のデータがないことから、データ不足のため分類できない。以上より、データ不足のため分類できないとした。

【根拠データ】
(1) ラットに次亜塩素酸を強制経口投与した1世代生殖毒性試験において、毒性の臨床徴候、血液学的変化、体重、精子数、精子運動性、精子形態、生殖器官の病理組織学的病変は認められず、受胎能、胎児生存率、同腹児数、胎児体重、開眼日、膣開口日に用量依存性の影響はみられていない (EURAR (2007)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2014))。
(2) 雌ラットに次亜塩素酸を交配前2.5ヵ月から妊娠期間中に飲水投与した試験において、母動物毒性、発生毒性はみられていない (EURAR (2007)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2014))。
(3) EURAR (2007) では、次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9) のデータはない。しかし、次亜塩素酸や塩素を用いた動物試験結果について、データは限られているが、次亜塩素酸ナトリウムは次世代の発生または受胎能に有害な影響を及ぼすことを示唆する証拠はないという結論を導くことが可能と報告されている。同様に、塩素処理された飲料水を摂取している集団に関する疫学研究からも、そのような証拠は得られていないとしている (EURAR (2007))。
(4) マグネシウム塩の生殖影響については、塩化マグネシウム CAS番号 7786-30-3) についての情報が得られた。塩化マグネシウムをラットに強制経口投与した生殖/発生毒性スクリーニング試験 (OECD TG 421) において、親動物毒性 (軟便、下痢、流涎,、体重増加抑制) がみられる最高用量 (1,000 mg/kg/day) においても生殖影響及び発生影響はみられていない (SIAR (2011))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
本物質自体の情報はないが、本物質は水溶液中で次亜塩素酸イオンとマグネシウムイオンに解離すると考えられることから、次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9)、可溶性マグネシウム化合物の情報に基づき検討した。(1)、(2) より、区分3 (気道刺激性) とした。消化器系への影響は次亜塩素酸ナトリウムの刺激性によるものと考えられるため、採用しなかった。

【根拠データ】
(1) 次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9) を含む薬剤にばく露されたヒトで、眼及び上気道刺激がみられた (EURAR (2007))。
(2) 次亜塩素酸ナトリウムを含む少量の塩素系漂白剤の誤飲は食道の炎症を引き起こす可能性があり、高濃度では上気道に重篤な損傷を引き起こし死に至ることがある (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2014))。

【参考データ等】
(3) 次亜塩素酸ナトリウムを含む漂白剤を誤飲した66歳の女性 (誤飲量不明) が4.5時間後に心停止で死亡し、剖検では食道及び胃の粘膜びらん、食道胃接合部の穿孔、隣接する軟部組織の広範な壊死を認めた (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2014))。
(4) 次亜塩素酸ナトリウムを含む漂白剤を誤飲し少量飲み込んだ子供で胃刺激による悪心や嘔吐がみられた (IPCS PIM 495 (1998))。
(5) 次亜塩素酸ナトリウムを誤飲すると吐き気、嘔吐を伴う胃腸の炎症がみられ、大量の摂取の場合では、胃の腐食性損傷、高塩素血症性アシドーシスを伴う高ナトリウム血症がみられる (IPCS PIM 495 (1998))。
(6) 次亜塩素酸ナトリウムから発生する塩素ガスによって喉に火傷や咳を引き起こす。高濃度ばく露は気道浮腫や閉塞性気管支炎につながる可能性があり、重篤な場合には非心臓性肺水腫が発生する可能性がある (IPCS PIM 495 (1998))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
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- - 【分類根拠】
本物質自体の情報はないが、本物質は水溶液中で次亜塩素酸イオンとマグネシウムイオンに解離すると考えられることから、次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9)、可溶性マグネシウム化合物の情報に基づき検討した。(1)、(2) より次亜塩素酸ナトリウムの経口及び経皮経路の反復投与毒性は低いと考えられるが、吸入ばく露による呼吸器への影響が不明であるため、分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 次亜塩素酸ナトリウムを用いた飲水投与試験では、ラット、マウスに90日間及び2年間投与した場合も摂水量低下に伴うものと考えられる体重増加抑制がみられたのみである (EURAR (2007)、SIAR (2006))。
(2) モルモットに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を8週間 (週2回) 経皮適用した試験で、投与に関連した影響はみられなかった (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、EURAR (2007)、SIAR (2006))。
(3) 塩化マグネシウム (CAS番号 7786-30-3) について、ラットを用いた生殖/発生毒性スクリーニング試験 (雄42日間、雌14日間強制経口投与) において、500 mg/kg/day (90日換算: 雄/雌: 233/78 mg/kg/day、雄は区分2超、雌は区分2の範囲) で軟便、下痢および唾液分泌が観察されたとの報告がある (SIAR (2011))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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