政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 168316-95-8
名称 スピノサド(スピノシンAとスピノシンDの混合物)
物質ID R02-A-016-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性 (ICSC (2004)) という情報がある。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 150℃付近で分解 (農薬抄録 (2016)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(5) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (JMPR (2001))
(2) ラットのLD50: 雄: > 2,000~< 5,000 mg/kg、雌: > 5,000 mg/kg (JMPR (2001))
(3) ラットのLD50: 3,700 mg/kg (JMPR (2001))
(4) ラットのLD50: 雌: 5,270 mg/kg、雄: > 7,500 mg/kg (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018))
(5) ラットのLD50: 雌: 5,300 mg/kg、雄: > 7,500 mg/kg (JMPR (2001))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (JMPR (2001)、食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、農薬抄録 (2016))
(2) ウサギのLD50: > 5,000 mg/kg (JMPR (2001))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (鼻部ばく露、4時間): > 5.18 mg/L (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、EU EFSA (2018)、農薬抄録 (2016))
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(5) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性は認められなかった (EU EFSA (2018)、食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第28号 (1999)、農薬抄録 (2016))。
(2) 本物質 (純度 88%) の改変OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験 (適用量 5,000 mg/kg、24時間半閉塞適用) で、刺激性はみられなかった (JMPR (2001))。
(3) 本物質 (純度 87.9%) のOECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性はみられなかった (JMPR (2001))。
(4) 本物質 (純度 88%) のOECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性はみられていない (JMPR (2001))。
(5) 本物質 (A体/D体混合物) のOECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性はみられなかった (JMPR (2001))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質による眼刺激性はみられなかった (EU EFSA (2018))。
(2) ウサギを用いた眼刺激性試験で、軽度の結膜発赤及び浮腫が認められたが、点眼48 時間後には消失した (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、農薬抄録 (2016))。
(3) 本物質 (純度 87.9%) のOECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、軽度の結膜発赤 (平均スコア 1.7)、軽度の結膜浮腫 (平均スコア 1.3)、軽度の分泌物 (平均スコア 1) がみられ、一部の動物で48時間後まで持続し、本物質は軽度の眼刺激性物質と報告されている (JMPR (2001))。
(4) 本物質 (A体/D体混合物) のOECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、軽度の結膜発赤 (平均スコア 1)、軽度の結膜浮腫 (平均スコア 1)、軽度の分泌物 (平均スコア 1.3) がみられ、一部の動物で48時間後まで持続し、本物質は軽度の眼刺激性物質と報告されている (JMPR (2001))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質による皮膚感作性はみられなかった (EU EFSA (2018))。
(2) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、皮内投与 0.5%) で、感作性は認められなかった (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、JMPR (2001)、農薬抄録 (2016))。
(3) 本物質 (純度 87.9%) のOECD TG 406に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法) で、感作性は認められなかった (JMPR (2001))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス経口投与の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性の報告がある (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、JMPR (2001))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性、遺伝子突然変異試験で陰性の報告がある (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、JMPR (2001))。
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
国内外の分類機関による既存分類はない。利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) より区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 雌雄のラット及びマウスに本物質をラットは2年間、マウスは18ヵ月間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、投与に関連して発生頻度が増加した腫瘍性病変は認められず、発がん性は認められなかった (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018))。
7 生殖毒性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、親動物毒性 (雌雄で死亡 (1~3/30例)、甲状腺ろ胞上皮細胞空胞化等、雌で全身状態の悪化 (会陰部被毛汚染、膣出血、難産等)) 用量で、母動物の全身状態の悪化 (会陰部被毛汚染、膣出血、難産 等) に起因する二次的な影響と考えられる低体温、生産児数及び同腹児数の低下等がみられた (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018))。
(3) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
本物質のヒトでの急性ばく露影響に関する報告はない。実験動物では、(1)~(3) より、経口、経皮、吸入のいずれの経路の試験からも標的臓器を特定可能な所見は得られず、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットの単回経口投与試験において、2,000 mg/kg (区分2上限) 以上の雌及び5,000 mg/kg (区分2超) 以上の雄で会陰部の汚れ、5,000 mg/kg (区分2超) 以上の雌で流涙、活動性低下、鼻漏着色、7,500 mg/kg (区分2超) の雄で喘鳴 (noisy respiration)、流涎、流涙、活動性低下、加速呼吸、7,500 mg/kg (区分2超) の雌で流涎、横臥位がみられた (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018))。
(2) ウサギの単回経皮適用試験において、2,000 mg/kg (区分2上限) 以上で死亡例はなく、明らかな毒性影響の症状もみられなかった (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018))。
(3) ラットの4時間吸入ばく露試験 (鼻部ばく露) において、5.18 mg/L (区分2超) で腹部の汚れ、鼻周囲の血様付着物及び血涙がみられた (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、農薬抄録 (2016))。

【参考データ等】
(4) ラットを用いた強制経口による急性神経毒性試験 (0、200、630、2,000 mg/kg) において、2,000 mg/kg (区分2上限) で、大脳側頭葉、薄束核 (延髄)、脊髄、下垂体後葉等の軸索腫脹、錐体 (延髄)、脊髄後根神経節及び三叉神経節の神経線維変性、片側網膜及び視神経の萎縮並びに角膜又は眼に近接した血管への鉱質沈着が認められたが、同様の頻度で対照群でも認められたため、検体投与による影響とは考えられなかった (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (全身毒性)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの反復ばく露に関する有害性の報告はない。実験動物では、(1) より区分1以上の用量でリン脂質症に起因すると考えられる全身への影響がみられていることから、区分1 (全身毒性) とした。

【根拠データ】
(1) ラット、マウス及びイヌの複数の4週間~2年間混餌投与試験において、区分1以上の用量で脳、リンパ節、甲状腺、胸腺、肺、脾臓、肝臓、消化管、腎臓、卵巣等の臓器及び組織における細胞質内の空胞化がみられたとの報告がある (食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、JMPR (2001))。食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018) では、これを主にリン脂質症によるものと考えられるとしている。
(2) 各種毒性試験結果から、本物質投与による影響は、主に臓器及び組織における細胞質内の空胞化及び空胞細胞集簇であった。本物質は陽イオン性両親媒性薬剤 (CADs: Cationic Amphiphilic Drugs) であり、病理組織の電子顕微鏡観察において、CADsの標的器官であるリソソームにリン脂質が蓄積したと考えられる層板状小体 (ラメラボディー) が認められたことから、本物質投与による臓器及び組織における細胞質内の空胞化は、リン脂質症によるものと考えられた(食安委 農薬・動物用医薬品評価書 (2018)、EU EFSA (2018))。
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
魚類(コイ)96時間LC50 = 3.49 mg/L(農薬抄録, 2019)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BIOWIN)、急性毒性は区分2であることから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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