政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 78-94-4
名称 メチルビニルケトン
物質ID R02-B-004-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2015年度(平成27年度)   2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-7℃ (closed cup)、沸点81℃ (NFPA (14th, 2010)) に基づいて区分2とした。なお、UNRTDGにおいて安定剤入りのものがUN 1251、クラス6.1、副次危険性3及び8、PGⅠに分類されている。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に自己反応性に関連する原子団として不飽和結合を含むが、UNRTDGにおいて安定剤入りのものがUN 1251、クラス6.1、副次危険性3及び8に分類されていることから、優先評価項目である自己反応性化学品には該当しないと考えられるので、タイプGとした。
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が491℃ (NFPA (14th, 2010)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 23.1 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、GESTIS (Access on April 2020)、HSDB (Access on April 2020))
(2) ラットのLD50: 31 mg/kg (MAK (DFG) vol.9 (1998))
1 急性毒性(経皮) 区分1


危険
H310 P302+P352
P361+P364
P262
P264
P270
P280
P310
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 約10~50 μL/kg (約8.3~41.5 mg/kg) (GESTIS (Access on April 2020))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (200,016 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 7 mg/m3 (2.4 ppm) (ACGIH (7th, 2019)、GESTIS (Access on April 2020))
(2) ラットのLC50 (4時間): 22.4 mL/m3 (22.4 ppm) (MAK (DFG) vol.9 (1998))
(3) 本物質の蒸気圧: 152 mmHg (25℃) (飽和蒸気圧濃度換算値: 200,016 ppm) (HSDB (Access on April 2020))
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 本物質はヒトの皮膚、眼、気道に対する強い刺激物であり、特に眼や呼吸器の粘膜に対してさらに強い刺激性を示す (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質は粘膜に対して強い刺激性を有し、皮膚に接触すると激しい壊死を引き起こす (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(3) 本物質は皮膚と粘膜に対し強い刺激性及び腐食性作用を示し、眼と肺に重大な損傷を与える (GESTIS (Access on April 2020)、HSDB (Access on April 2020))。
(4) ウサギの皮膚に本物質 (0.2 mL) を適用した試験 (適用時間不明) で、1時間後に充血及び浮腫、2日目には浮腫は消失したが、深い化膿性潰瘍を生じ、回復に28-30日を要した (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 本物質はヒトの皮膚、眼、気道に対する強い刺激物であり、特に眼や呼吸器の粘膜に対してさらに強い刺激性を示す (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質は粘膜に対して強い刺激性を有し、皮膚に接触すると激しい壊死を引き起こす (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(3) 本物質は皮膚と粘膜に対し強い刺激性及び腐食性作用を示し、眼と肺に重大な損傷を与える (GESTIS (Access on April 2020)、HSDB (Access on April 2020))。
(4) ウサギの眼に本物質1滴を適用した試験で、重度の角膜変性及び眼瞼の組織損傷を生じ、最終的に眼の欠損を生じた (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(5) 本物質は皮膚腐食性物質 (区分1) に区分されている。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 本物質は動物実験の結果に基づき感作性物質と報告されている (ACGIH (7th, 2001))。
(2) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (Polak法及びOpen epicutaneous test) で陽性と報告されている (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(3) 本物質は皮膚感作性を有する (GESTIS (Access on April 2020)、HSDB (Access on April 2020))
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、in vivo、in vitroとも明確な陽性知見がなく、データ不足で分類できない。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットを用いた小核試験は不確かな結果であり、マウスを用いた小核試験の結果は雌で陰性、雄で不確かな結果の報告がある (CEBS (Access on April 2020))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性の結果が得られているが、それは特殊な条件下または標準的な方法でもハムスターS9を用いた場合のみである (MAK (DFG) vol. 9 (1998)、ACGIH (7th, 2001)、CEBS (Access on April 2020))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分1 (中枢神経系、呼吸器、腎臓) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質は粘膜、特に眼や気道の粘膜に強い刺激作用があり、気管支肺炎と急性肺水腫を引き起こす。動物実験での経口または経皮投与後の主な影響は、中枢神経抑制 (無関心、協調性障害、四肢麻痺) である。本物質の主な全身影響は重度の腎障害である (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(2) ラット、マウスに41.3 mL/m3の濃度で15~20分間 (4時間換算値: 0.03 mg/L、区分1の範囲) 吸入ばく露した結果、死亡、重度の粘膜刺激、呼吸困難、中枢神経障害、内臓と脳の充血及び浮腫がみられた (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(3) ラット、マウス、モルモットに100 mL/m3の濃度で60分間 (4時間換算値: 0.15 mg/L、区分1の範囲) 吸入ばく露した結果、致死 (ウサギの半数、モルモットの3分の1)、気管支肺炎 (生物種の記載なし) がみられた (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(4) マウス、ラットに10~60 mg/kg (区分1の範囲) を経口投与した結果、食欲不振、呼吸困難、被毛の乱れ、四肢の麻痺がみられた (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(5) ウサギに約17 mg/kg (区分1の範囲) を経口投与した結果、致死がみられたほか無関心、食欲不振、胃粘膜の刺激、腎臓の障害がみられ、約9~13 mg/kg (区分1の範囲) を経口投与した結果でも腎臓の障害が報告されている (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(6) ネコに約4 mg/kg又は約2.5 mg/kg (いずれも区分1の範囲) を単回経口投与した結果でも、腎臓の障害が報告されている (MAK (DFG) vol.9 (1998))。

9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (呼吸器) とした。

【根拠データ】
(1) ラットに13週間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した結果、0.5 ppm (ガイダンス値換算: 0.001 mg/L、区分1の範囲) 以上で鼻腔の病変 (呼吸上皮の過形成等) がみられた (ACGIH (7th, 2019))。
(2) マウスに13週間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した結果、0.5 ppm (ガイダンス値換算: 0.001 mg/L、区分1の範囲) 以上で白血球数の減少 (雄のみ) が、2 ppm (ガイダンス値換算: 0.004 mg/L、区分1の範囲) 以上で鼻腔の病変 (移行上皮及び呼吸上皮の扁平上皮化生) がみられた (ACGIH (7th, 2019))。

【参考データ等】
(3) 本物質の主な全身影響は重度の腎障害であるとの記載がある (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
(4) ラットに6.9 mL/m3を2.5ヵ月間 (4時間/日) 吸入ばく露した試験で、一般的な中毒症状のほか、肝臓及び腎臓の機能障害が生じたと報告されているが詳細は不明である (MAK (DFG) vol.9 (1998))。
10 誤えん有害性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) と(2) より、国連分類基準による区分2に該当するため、現行分類ガイダンスに従い、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 13を超えない炭素原子で構成されたケトンである。
(2) 動粘性率が21℃で0.97 mm2/s (21℃での粘性率0.807 mPa・s(HSDB (Access on April 2020)) と密度0.83 g/cm3 (GESTIS (Access on April 2020)) から算出)であることから、40℃の動粘性率が14 mm2/s以下である。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.24 mg/L(BUA 233, 2001)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性に関する十分なデータが得られておらず、急性毒性は区分1であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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