政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 2312-76-7
名称 4,6-ジニトロ-o-クレゾールナトリウム
物質ID R02-B-006-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 等級1.3


危険
H203 P370+P372+P380+P373
P210
P230
P234
P240
P250
P280
P401
P501
分子内に爆発性に関連する原子団としてニトロ基を含み、UNRTDGにおいてUN 0234、クラス1.3に分類されていることから、等級1.3とした。なお、15質量%以上の水で湿性としたものは、UNRTDGにおいてUN 1348、クラス4.1、副次6.1、PGⅠに分類されており、鈍性化爆発物に該当する。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - 爆発物に分類されており所定の試験が実施できないため、データがなく分類できない。なお、爆発物が等級1.3に区分されており、火災について高い危険性を有する。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 爆発物に分類されているため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - 爆発物に分類されており所定の試験が実施できないため、データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 純物質は爆発物に分類されているため、区分に該当しない。なお、15質量%以上の水で湿性としたものは、UNRTDGにおいてUN 1348、クラス4.1、副次6.1、PGⅠに分類されており、鈍性化爆発物 (区分はデータがなく判定できない) に該当する。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 26 mg/kg (GESTIS (Access on April 2020))
1 急性毒性(経皮) 区分2


危険
H310 P302+P352
P361+P364
P262
P264
P270
P280
P310
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 200 mg/kg (GESTIS (Access on April 2020))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。

【参考データ等】
(1) 本物質の1.8%液を2人のボランティアに30日間適用した試験で皮膚反応は生じず、職業的に本物質を取り扱う場合にも皮膚の変化は報告されていない (GESTIS (Access on April 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。

【参考データ等】
(1) 本物質の0.9%液 5滴をウサギの眼に投与した試験で24時間後まで刺激性反応はみられていない (GESTIS (Access on April 2020))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。

【参考データ等】
(1) 本物質の遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) は動物において皮膚感作性を示すため、皮膚感作性を考慮する必要がある。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データがなく分類できない。

【参考データ等】
(1) 雌雄のラットに本物質の遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) を104週間混餌投与 (0.00025、0.0015、0.01%) した試験で、腫瘍の発生率に増加はなかった (MOE初期評価第10巻 (2012))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
本物質についてのデータはない。(1) より、生殖毒性についても同様に遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾールによる影響を反映するものと考えられ、(2) の遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾールル (CAS番号 534-52-1) の分類結果から区分2とした。なお、4,6-ジニトロ-o-クレゾールルの情報を基に検討を行った結果、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質の全身影響 (systemic effects) は本物質の遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾールによる全身影響によるものである (GESTIS (Access on April 2020))。
(2) 4,6-ジニトロ-o-クレゾールは、ラットの2世代生殖毒性試験の結果に基づき区分2に分類されている (2020年度GHS分類結果)。

【参考データ等】
本物質の遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) の情報:
(3) ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験において、生殖パラメータに影響はみられていないが、母動物に体重増加抑制がみられる用量で授乳期同腹児数の減少がみられている (EHC 220 (2000))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、心血管系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (中枢神経系、心血管系) とした。遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) の情報を基に検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質の全身影響 (systemic effects) は本物質の遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) による全身影響によるものである (GESTIS (Access on April 2020))。
(2) 4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) は、ヒトでの情報に基づき区分1 (中枢神経系、心血管系) に分類されている (2020年度GHS分類結果)。

【参考データ等】
本物質の遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) の情報:
(3) ヒトにおける急性毒性の症状は細胞代謝への影響に起因し、激しい喉の渇き、疝痛、下痢及び嘔吐が含まれる。呼吸困難、チアノーゼ、頻脈、無呼吸、狭心症を伴う心不全も報告されている。中枢神経系への影響の初期症状は、通常、多幸感であり、その後、めまい、虚脱傾向、不安と落ち着きのなさ、混乱、無意識、終末期痙攣が生じる (MAK (DFG) vol.19 (2003))。
(4) 4歳の男児の中毒事故では、皮膚から吸収後、初期症状として嘔吐、頭痛がみられ、黄疸 (特に腕)、頻呼吸、心拍の減弱、重篤な一般状態の悪化がみられた。検死の結果、腸粘膜の限局性の出血、脳、肝臓、肺、腸壁、心筋、腎臓におけるうっ血 (capillary blood (plethora))、肺水腫及び脳の浮腫がみられた (ACGIH (7th, 2019))。
(5) 1例の中毒例では、気中濃度4.7 mg/m3で本物質による中毒が生じた。気中濃度が2.5 mg/m3に低下すると症状はなくなった。主な症状は発熱、基礎代謝率の増加、頻拍、頻呼吸、多汗症、息切れ、咳であった (ACGIH (7th, 2019))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系、眼、心血管系、血液系、肝臓、腎臓、皮膚)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (中枢神経系、眼、心血管系、血液系、肝臓、腎臓、皮膚) とした。遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) の情報を基に検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質の全身影響 (systemic effects) は本物質の遊離酸である4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) による全身影響によるものである (GESTIS (Access on April 2020))。
(2) 4,6-ジニトロ-o-クレゾール (CAS番号 534-52-1) は、ヒト及び実験動物での情報に基づき区分1 (中枢神経系、眼、心血管系、血液系、肝臓、腎臓、皮膚) に分類されている (2020年度GHS分類結果)。
 
【参考データ等】
4,6-ジニトロ-o-クレゾールの分類根拠データ:
(1) ヒトでの慢性中毒症状は頭痛、虚弱、食欲不振及び顕著な体重減少である。後期には心筋、肝臓、腎臓に変性様変化、神経炎、白血球減少、ハインツ小体、メトヘモグロビン血症の進行がみられる。時には無顆粒球症、重度の中毒性皮膚炎もみられる。経口摂取後の主影響は肝臓傷害である (MAK (DFG) vol. 19 (2003))。
(2) 本物質を3年間服用した女性の左眼に真珠大に腫脹した白内障の症例、白内障の診断後に右眼に点状のレンズの混濁が現れ最終的に失明した症例の報告がある (ATSDR (2018))。
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
本物質はナトリウム塩であることから水中で速やかに遊離し、4,6-ジニトロ-o-クレゾール(CAS番号534-52-1)を生じる。4,6-ジニトロ-o-クレゾールの甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.161 mg/L(本物質換算値)(MOE初期評価第10巻, 2012)であることから、区分1とした。分類対象物質の考え方の変更により、旧分類から分類結果が変更となった。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
本物質はナトリウム塩であることから水中で速やかに遊離し、4,6-ジニトロ-o-クレゾール(CAS番号534-52-1)を生じる。4,6-ジニトロ-o-クレゾールは急速分解性がなく(BODによる分解度:4%(METI既存点検結果, 2004)、4,6-ジニトロ-o-クレゾールの魚類(ファットヘッドミノー)の31~34日間NOEC = 0.203 mg/L(本物質換算値)(MOE初期評価第10巻, 2012)から、区分2とした。分類対象物質の考え方の変更により、旧分類から分類結果が変更となった。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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