政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 123-35-3
名称 7-メチル-3-メチレン-1,6-オクタジエン
物質ID R02-B-032-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2010年度(平成22年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点39℃ (closed cup) (GESTIS (Access on April 2020)) に基づき、区分3とした。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- - 分子内に自己反応性に関連する原子団として不飽和結合を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素、酸素及び塩素を含まない有機化合物であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (JECFA FAS54 (2006))
(2) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (最高用量の11,390 mg/kgまで死亡例なしと記載) (REACH登録情報 (Access on June 2020))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: > 5,000 mg/kg (REACH登録情報 (Access on June 2020))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しないとした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 本物質はヒトに対して刺激性を有し、本物質へのばく露は皮膚炎や結膜炎を引き起こす (NTP TR557 (2010))。
(2) 本物質は中等度の皮膚及び眼刺激性物質である (HSDB (Access on May 2020))。
(3) ECVAM protocol version 1.8 (2009) に準拠し人工皮膚モデル (EPISKIN ) を用いたin vitro皮膚刺激性試験において、刺激物と判定されている (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2Aとした。新しいデータ (1) が得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 405に準拠したウサギ (3匹) を用いた眼刺激性試験で適用24/48/72時間後における結膜発赤で1例及び結膜浮腫で2例の平均スコアは2以上であり、全ての反応は8日後に消失した (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(2) 本物質はヒトに対して刺激性を有し、本物質へのばく露は皮膚炎や結膜炎を引き起こす (NTP TR557 (2010))。
(3) 本物質は中等度の皮膚及び眼刺激性物質である (HSDB (Access on May 2020))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 醸造所の検査官として雇用されている男性 (1名) が、ホップ中の本物質に対する呼吸器過敏症反応を示したと報告されている (HSDB (Access on May 2020))。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) TG429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) においてSI値は3を上回らず、陰性と判定された (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットに単回経口投与後の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性 (IARC 119 (2019)、JECFA FAS54 (2006))。マウスに13週間経口投与後の末梢血赤血球を用いた小核試験で陰性の報告がある (IARC 119 (2019)、NTP TR557 (2010)、JECFA FAS54 (2006)、HSDB (Access on May 2020)、CEBS (Access on May 2020))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性 (IARC 119 (2019)、NTP TR557 (2010)、JECFA FAS54 (2006)、HSDB (Access on May 2020)、CEBS (Access on May 2020))。ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験、チャイニーズハムスターV79細胞を用いた遺伝子突然変異試験及び姉妹染色分体交換試験、ラットの肝腫瘍細胞の姉妹染色分体交換試験で、いずれも陰性の報告がある (IARC 119 (2019)、JECFA FAS54 (2006))。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 119 (2019))、産衛学会で第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (2018年提案)) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間強制経口投与した発がん性試験において、雄ラットで腎尿細管腫瘍 (腺腫又はがん) の発生率の有意な増加が、雄マウスで肝細胞腺腫、肝細胞がん及び肝芽腫の発生率の有意な増加が認められた。雌ラットでは腎尿細管腫瘍の発生率の僅かな増加、雌マウスでは肝細胞腫瘍の発生率の僅かな増加が認められた。これらより、本物質の発がん性に関して、雄のラット及びマウスには明らかな証拠 (clear evidence) が、雌のラット及びマウスには曖昧な証拠 (equivocal evidence) があると結論された (NTP TR557 (2010))。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1Bとした。なお、データを見直し、骨格奇形の発現を重視したこと、(3) の試験では旧分類と異なり母動物毒性がみられない用量において生殖発生影響がみられていたことにより旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた強制経口投与による1世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (肝臓及び腎臓重量増加等) 用量で吸収胚の増加とそれに伴う生存胎児数の減少、骨格奇形を有する胎児数の増加がみられた (JECFA FAS54 (2006))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、死亡 (1例)) がみられる用量で、着床痕数及び生存胎児数減少、骨化遅延及び骨格奇形を伴う胎児増加がみられている (JECFA FAS54 (2006))。
(3) 雌ラットの妊娠15日目から出生後21日まで強制経口投与した周産期授乳期投与試験において、母動物の一般毒性 (体重減少、前胃の角化症) のみられる用量よりも低い用量で、分娩期間及び死産数増加、児動物の出生体重の減少、生後死亡率増加 (特に授乳1週目)、発達指標の遅延がみられている (JECFA FAS54 (2006))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、経口経路及び経皮経路では区分に該当しない。しかし、吸入経路について情報がなく分類できないとした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた単回強制経口投与毒性試験 (用量:670~11,390 mg/kg) において、死亡はみられず、一般状態として1,000~11,390 mg/kgで立毛のみがみられ、剖検において異常は認められていない (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(2) ウサギを用いた単回経皮投与毒性試験 (用量:5,000 mg/kg) において、死亡及び全身影響は認められず、一過性に軽度から中程度の紅斑と浮腫がみられ、剖検では異常はみられていない (REACH登録情報 (Access on June 2020))。

【参考データ等】
(3) マウスに経口経路での鎮痛作用のED50が16 mg/kgとの報告、本物質で処理されたマウスは、ホットプレートテストで抗侵害受容反応 (鎮痛作用) の増加を示したとの報告がある (NTP TR557 (2010))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
(1)~(4) のデータがあり、いずれの試験も区分2超の用量で試験が実施され、(1)、(2) においては、区分2超の最低用量まで影響がみられているが、ガイダンス値範囲上限における影響が不明のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) ラットを用いた14週間強制経口投与毒性試験 (用量範囲: 250~4,000 mg/kg/day) において、最低用量である250 mg/kg/day (90日換算: 194 mg/kg/day、区分2超) 以上の雌雄で尿細管壊死、雄で尿細管の硝子滴の蓄積、500 mg/kg/day (90日換算: 389 mg/kg/day、区分2超) 以上の雄で死亡、体重減少、ハーダー腺におけるポルフィリン色素沈着の増加、1,000 mg/kg/day (90日換算: 778 mg/kg/day、区分2超) 以上の雌雄で鼻の慢性炎症の増加、ネフローゼ、雌で腸間膜リンパ節萎縮、2,000 mg/kg/day (90日換算: 1,556 mg/kg/day、区分2超) の雌雄で嗅上皮の変性、脾臓の萎縮、雄で腸間膜リンパ節萎縮、雌で死亡、前胃の急性炎症、4,000 mg/kg/day (90日換算: 3,111 mg/kg/day、区分2超) の雌雄で全例死亡がみられている (NTP TR557 (2010))。
(2) ラットを用いた105週間強制経口投与毒性試験 (用量範囲: 250~1,000 mg/kg/day) において、最低用量である250 mg/kg/day (区分2超) 以上の雌雄で腎臓の腎盂の移行上皮過形成、腎臓の限局性化膿性炎症、雄で腎尿細管ネフローゼ、腎乳頭の石灰化、雌で腎症の増加、500 mg/kg/day (区分2超) 以上の雌雄で腎症の重篤度増加、雄で鼻の慢性活動性炎症、前胃の慢性活動性炎症、雌で腎尿細管ネフローゼ、1,000 mg/kg/day (区分2超) の雄で全例死亡がみられている (NTP TR557 (2010))。
(3) マウスを用いた14週間強制経口投与毒性試験 (用量範囲: 250~4,000 mg/kg/day) において、500 mg/kg/day (90日換算: 389 mg/kg/day、区分2超) 以上の雌で肝臓重量増加、1,000 mg/kg/day (90日換算: 778 mg/kg/day、区分2超) の雄で体重減少、雌で腎臓重量増加、2,000 mg/kg/day (90日換算: 1,556 mg/kg/day、区分2超) で死亡 (雄: 9/10例、雌: 8/10例)、4,000 mg/kg/day (90日換算: 3,111 mg/kg/day、区分2超) の雌雄で全例死亡がみられている (NTP TR557 (2010))。
(4) マウス用いた105週間強制経口投与毒性試験 (用量範囲: 250~1,000 mg/kg/day) において、500 mg/kg/day (区分2超) の雌雄で肝細胞肥大、雌で体重減少、骨髄萎縮、脾臓のリンパ濾胞の萎縮、前胃の炎症及び上皮の過形成、1,000 mg/kg/day (区分2超) の雌雄で生存率低下、雄で体重減少がみられている (NTP TR557 (2010))。



10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.45 mg/L(MOE既存点検結果, 1998)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる2週間分解度:86%(METI既存点検結果, 1987))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.12 mg/L(MOE既存点検結果, 1998)から、区分3となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がある(BODによる2週間分解度:86%(METI既存点検結果, 1987))が生物蓄積性が高いと推定され(log Kow= 4.17(PHYSPROP, 2020))、魚類(ヒメダカ)の96時間LC50 = 0.92 mg/L(MOE既存点検結果, 1998)から、区分1となる。
以上の結果を比較し、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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