政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 57-74-9
名称 1, 2, 4, 5, 6, 7, 8, 8‐オクタクロロ‐2, 3, 3a, 4, 7, 7a‐ヘキサヒドロ‐4, 7‐メタノ‐1H‐インデン (別名クロルデン)
物質ID R02-B-033-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2009年度(平成21年度)   2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on May 2020)) との情報より、区分に該当しない。ただし、工業用では有機溶剤溶液のものがあり、可燃性を有する場合がある。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on May 2020)) との情報より、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on May 2020)) との情報より、区分に該当しない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素及びフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(8) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 137 mg/kg (ATSDR (2018))
(2) ラットのLD50: 283 mg/kg (EHC 34 (1984)、ATSDR (2018))
(3) ラットのLD50: 雄: 335 mg/kg、雌: 430 mg/kg (IARC 79 (2001))
(4) ラットのLD50: 350 mg/kg (EHC 34 (1984))
(5) ラットのLD50: 371 mg/kg (JMPR (1970))
(6) ラットのLD50: 420 mg/kg (ATSDR (2018))
(7) ラットのLD50: 457 mg/kg (ATSDR (2018))
(8) ラットのLD50: 590 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 205 mg/kg、雌: 530 mg/kg (EHC 34 (1984))
(2) ラットのLD50: 590~840 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
(3) ラットのLD50: 雄: 840 mg/kg、雌: 530~690 mg/kg (ATSDR (2018))

【参考データ等】
(4) ウサギのLD50: 1,100~1,200 mg/kg (EHC 34 (1984)、ATSDR (2018))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しないとした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ウサギの眼に対して強度の刺激性を有するが、皮膚に対しての刺激性は軽度である (IPCS PIM 574 (2000))。
(2) テクニカルグレードの本物質は皮膚及び眼を刺激する (HSDB (Access on May 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質の初期の製品では工業および農業労働者の眼、粘膜及び皮膚に刺激を示したが、1951年以降の製品では問題はない (HSDB (Access on May 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ウサギの眼に対して強度の刺激性を有するが、皮膚に対しての刺激性は軽度である (IPCS PIM 574 (2000))。
(2) テクニカルグレードの本物質は皮膚及び眼を刺激する (HSDB (Access on May 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質の初期の製品では工業および農業労働者の眼、粘膜及び皮膚に刺激を示したが、1951年以降の製品では問題はない (HSDB (Access on May 2020))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス経口投与による複数の優性致死試験で陰性 (ATSDR (2018)、EHC 34 (1984))、マウス経口投与の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性、マウス経皮投与の骨髄細胞を用いた小核試験で弱陽性、ラット経口投与の肝細胞を用いるDNA損傷試験で陽性、マウス経口投与の肝細胞を用いるDNA付加体形成試験で陰性の報告がある (ATSDR (2018)、IARC 79 (2001))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、ヒトリンパ球を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、ヒト又は哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陽性、陰性の結果 (ATSDR (2018)、IARC 79(2001)) 、不定期DNA合成試験で陽性、陰性の結果の報告がある (ATSDR (2018))。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで本物質の工業用も含めてグループ2B (IARC 79 (2001))、産衛学会で第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (2001年提案))、ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2019))、EU CLPでCarc.2 (EU CLP分類 (Access on April 2020))、MAK (DFG) で3B (DFG List of MAK and BAT Values 2019) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質 (analytical-grade chlordane) を80週間混餌投与した発がん性試験では、雌雄のマウスで肝細胞がんの発生率の有意な増加がみられた。ラットでは雄で悪性線維性組織球腫、雌で甲状腺濾胞細胞腫瘍の僅かな増加がみられた (IARC 79 (2001))。
(3) ヒトでの多くの疫学報告の中では、肺がんなどのがんの発生とばく露との有意な関連性を示す結果は示されていない (IARC79 (2001))。
7 生殖毒性 区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、乳汁を介して次世代に致死的影響を生じることが示唆された。しかしながら、出産前のばく露の影響も否定できないことから、区分1B、追加区分 (授乳に対するまたは授乳を介した影響) とした。なお、データを見直したため旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットの離乳時から授乳まで混餌投与した試験において、同腹児を出産した交尾雌の数の減少、生存児減少 (離乳時まで生存した児動物なし) がみられている (ATSDR (2018))。
(2) 妊娠マウスに混餌投与した試験において、児動物が授乳期間の最初の週に死亡した。母動物の乳汁を介した高レベルの本物質及び/又は代謝産物へのばく露が児動物死亡の原因であった可能性がある (ATSDR (2018))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) のヒトの事故例について本物質によるものか工業用クロルデンによるものかが明確に出来ない。しかし、神経症状を生じるという毒性の本質に差はないと考え、区分1 (神経系) とした。

【根拠データ】
(1) ヒトのクロルデンの致死量は約6 gと推定されており、痙攣症状はわずか2.25 gでみられている。 また、成人に約30 gの局所皮膚塗布すると、40分で死亡がみられている (ACGIH (7th, 2019))
(2) ヒトにおいて、単回ばく露後に痙攣、嘔吐、運動失調、錯乱など神経症状の報告が数多くある(IARC 79 (2001)、EHC 34 (1984)、IPCS PIM 574 (2000))。

【参考データ等】
(3) 1950年より前に製造されたクロルデンには相当量のヘキサクロロシクロペンタジエンを含まれていた (EHC 34 (1984))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系、血液系、肝臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(3)、(6)、(7) より神経系、(4) より血液系、(5) より肝臓に影響がみられ、区分1 (神経系、血液系、肝臓) とした。なお、ヒトのデータについては本物質によるものか工業用クロルデンによるものか不明であるが、本質的な毒性に大きな差はないと考え分類に用いた。

【根拠データ】
(1) 米国テネシー州の市営水道の本物質の汚染事故で、影響を受けた住人105人中71人に汚染水と接触した報告があり、うち13人(18%)が軽度の胃腸症状とともに神経症状を訴えたとの報告がある (IARC 79 (2001))。
(2) 1946年から85年にかけて、クロルデンの製造に3ヵ月以上雇用された労働者で、脳血管疾患による期待死亡数11.7人に対して20人の死亡が観察されたとの報告がある (IARC 79 (2001))。
(3) 7年前に建物外面のクロルデンの噴霧を受けたマンション居住者216人に実施された神経生理学的、神経心理学的検査でみられた最も著しい変化が反応遅延、平衡障害、認知機能の低下、記憶障害などであったとの報告がある (IRIS(1997))。
(4) クロルデン及びヘプタクロルへのばく露に関連した血液異常症の25症例報告において、再生不良性貧血、血小板減少性紫斑病、白血病、悪性貧血、巨赤芽球性貧血の報告がある (IARC 79 (2001))。
(5) ラットに本物質 (α-γクロルデン1:1混合物) を78週間混餌投与した試験において、35 ppm (1.75 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で軽微あるいは軽度の肝臓の小葉中心性肝細胞の細胞質均一化、細胞質の辺縁趨向変化 (cytoplasmic margination) がみられ、50 ppm (5 mg/kg/day、区分1の範囲) では死亡がみられた (EHC 34 (1984))。
(6) ラットに本物質 (分析用) を80週間混餌投与した試験において、雌の11.08 mg/kg/day (区分2の範囲) で生存率減少 (18%減少)、22.15 mg/kg/day (区分2の範囲) で振戦がみられている (ATSDR (2018))。
(7) マウスに本物質 (分析用) を80週間混餌投与した試験において、雄の5.13 mg/kg/day (区分1の範囲) で生存率減少 (40%減少)、雄の9.64 mg/kg/day (区分1の範囲) 、雌の11.02 mg/kg/day (区分2の範囲) で振戦がみられている (ATSDR (2018))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(ピンクシュリンプ)96時間LC50 = 0.0004 mg/L(EHC 34 , 1984)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(シープスヘッドミノー)の189日間NOEC = 0.0005 mg/L(TR91, 2003)から、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(ピンクシュリンプ)の96時間LC50 = 0.0004 mg/L(EHC 34 , 1984)から、区分1となる。
以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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