政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 60-57-1
名称 1,2,3,4,10,10-ヘキサクロロ-6,7-エポキシ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-エキソ-1,4-エンド-5,8-ジメタノナフタレン (別名:ディルドリン)
物質ID R02-B-043-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on May, 2020)) との情報より、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に自己反応性に関連する原子団としてエポキシドを含むが、UNRTDGにおいてUN 2761、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目である自己反応性化学品には該当しないと考えられるので、タイプGとした。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on May, 2020)) との情報より、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on May, 2020)) との情報より、区分に該当しない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であるが、この酸素及び塩素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。なお、保管中、塩化水素を徐々に生成し、金属を侵す (ICSC (1998)) という情報がある。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(9) より,区分2とした。
なお、旧分類はヒトのデータを基に分類されたが、旧分類の根拠データ (LD50: 5 mg/kg) とは異なるLD50推定値もあり、ヒトのLD50値を利用して分類するのは制限があると考え、今回はガイダンスに従い実験動物のデータで分類した。

【根拠データ】
(1) ラット (離乳前児) のLD50: 25 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)、ATSDR (2002)、EHC 91 (1989))
(2) ラットのLD50: 24~167 mg/kg (IPCS PIM (1996))
(3) ラット (成体) のLD50: 37 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))
(4) ラットのLD50: 37~46 mg/kg (ATSDR (2002))
(5) ラットのLD50: 37~87 mg/g (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989)、JMPR (1965)、HSDB (Access on May 2020))
(6) ラットのLD50: 37~167 mg/g (ACGIH (7th, 2010))
(7) ラットのLD50: 46 mg/kg (MOE初期評価第1巻 (2002))
(8) ラットのLD50: 51~64 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))
(9) ラット (新生児) のLD50: 168 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)、ATSDR (2002)、EHC 91 (1989))

【参考データ等】
(10) ヒトの推定LD50: 5 mg/kg (Patty (6th, 2012))
(11) ヒトの推定LD50: 65 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
(12) ヒトの致死量: 約5 g/kg (約100 mg/kg: 体重50kgとして算出) (ACGIH (7th, 2010))
1 急性毒性(経皮) 区分2


危険
H310 P302+P352
P361+P364
P262
P264
P270
P280
P310
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分2とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: 60 mg/kg (ATSDR (2002)、HSDB (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 60~90 mg/kg (ACGIH (7th, 2010)、食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989)、GESTIS (Access on May 2020))
(3) ラットのLD50: 雄: 90 mg/kg (ATSDR (2002)、MOE初期評価第1巻 (2002)、HSDB (Access on May 2020))
(4) ウサギのLD50: < 150 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))

【参考データ等】
(5) ウサギのLD50: 150 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))
(6) ウサギのLD50: 250 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
(7) ウサギのLD50: 250~350 mg/kg (ACGIH (7th, 2010))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.0001 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 0.013 mg/L (GESTIS (Access on May 2020))
(2) 本物質の蒸気圧: 5.89E-006 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 0.0001 mg/L)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた皮膚刺激性試験において粉体では皮膚には変化が認められず、植物油に溶解することにより軽度の刺激性及びうろこ状の変化が認められた (食安委 農薬評価書 (2013))。
(2) 本物質はウサギの皮膚に軽度~重度の刺激性を示すが、これは溶媒による影響である (EHC 91 (1989))。
(3) 本物質 (テクニカルグレード) の粉体はウサギの皮膚に数週間適用してもごく軽度の紅斑が観察されることはあるが、殆ど刺激性は示さない (GESTIS (Access on May 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 大規模なばく露集団で感作性と思われる反応がみられなかたことから、感作性はないと思われる (EHC 91 (1989)、GESTIS (Access on May 2020))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスを用いた優性致死試験及び相互転座試験、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験、マウスの骨髄を用いた小核試験において陰性の報告がある (EHC 91 (1989)、JMPR (1977)、ATSDR (2002)、ACGIH (7th, 2001))。
(2) in vitroでは、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陽性、ラットの培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験において陽性、ヒトの末梢血リンパ球又は哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性又は陰性、マウス又はラットの肝細胞を用いた不定期DNA合成試験において陽性及び陰性の結果が得られた。また、細菌の復帰突然変異試験で陰性、ほ乳類培養細胞を用いた形質転換試験で陰性の結果が得られた (EHC 91 (1989)、JMPR (1977)、ATSDR (2002)、IRIS (1988)、ACGIH (7th, 2001)、CEBS (Access on May 2020))。
(3) 本物質にばく露された労働者において、末梢血リンパ球の染色体に異常は認められなかったとの報告がある (EHC 91 (1989)、ATSDR (2002))。
(4) 食安委農薬評価書において「生体において問題となる遺伝毒性はないものと考えられた」との記載がある (食安委 農薬評価書 (2013))。
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) のIARCの最新評価及びその根拠となった (2)~(4) の情報等に基づき、区分1Bとした。IARCの最新の分類結果に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2A (IARC 117 (2019))、ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2010))、EPAでB2 (probable human carcinogen) (IRIS (1988))、EU CLPでCarc. 2 (EU CLP分類 (Access on May 2020)) に分類されている。
(2) 本物質へのばく露に関連するがんのリスクに関する複数の疫学研究が報告されており、乳がん、非ホジキンリンパ腫、肺がん、白血病について、本物質へのばく露によりリスクが増加したとする報告と、増加しなかったとする報告がある (IARC 117 (2019))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を52週間~2年間混餌投与した発がん性試験が、複数の系統を用いて多数実施されている。これらの試験のほとんどで、雌雄マウスに肝腫瘍 (肝細胞腺腫及びがん) の有意な発生率の増加が認められた (IARC 117 (2019))。また、雌のトランスジェニックマウスに本物質を交配2週間前から妊娠期及び授乳期を通して離乳まで強制経口投与した試験において、胸部乳腺腫瘍 (主に乳腺腺がん) の発生率の有意な増加が認められた (IARC 117 (2019))。
(4) 雌雄のラット及びハムスターに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、投与による腫瘍発生の有意な増加は認められなかった (IARC 117 (2019))。
(5) 雄のラット及びマウスに肝発癌物質であるジエチルニトロソアミンを腹腔内投与後、本物質を30日又は60日間混餌投与した肝腫瘍誘発試験では、マウスで肝臓の限局性病変の数、その体積及びDNAラベリング指数に有意な影響が認められた。ラットではこれらに影響は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2013))。
7 生殖毒性 区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(5) の繁殖試験において、授乳期の児動物の死亡率増加がみられた。原因として (3)、(4) より、母動物毒性 (知覚過敏、過活動) によって適切な授乳ができない可能性、あるいは、(3)、(5)、(6) 及び (7) より、胎盤移行や母乳を介した児動物毒性の可能性が示された。(8)~(10) の発生毒性試験において催奇形性を示す明確な証拠は得られていないが、(11) よりアルドリンとの類似性を考慮した。また、(5) より、乳汁移行がみられている。したがって、区分1B、追加区分: 授乳に対する、又は授乳を介した影響とした。なお、授乳影響を加えたことから旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による3世代繁殖試験において、最高用量群のF1b 児動物で死亡率の増加が認められた (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))。
(2) ラットを用いた混餌投与による3世代繁殖試験において、授乳期間中の児動物の死亡率増加がみられた (食安委 農薬評価書 (2013))。
(3) ラットを用いた混餌投与による繁殖試験において、離乳期に生存児数の減少がみられ、児動物は痙攣 (43%) 又は飢 え (57%) で死亡した。飢えの原因は、母動物及び児動物の知覚過敏のために適切な授乳ができなかったためと考えられている (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))。なお、この試験において、神経障害 (大脳浮腫及び水頭等) が母動物毒性の記載のない最低用量群の児動物で認められたが、より高用量では認められなかったとあり、この変化については影響としなかった。
(4) マウスを用いた混餌投与による繁殖試験においても離乳前の児動物の死亡率の増加がみられ、母動物の過活動が児動物の死亡の原因と考えられている (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))。
(5) ラットを用いた混餌投与による繁殖試験において、児動物の生存率減少がみられ、この試験での母乳中のディルドリン濃度は飼料中濃度の17倍高く、乳汁への最大分泌量は授乳期間当たり1~4 mgであったことが示されている (食安委 農薬評価書 (2013))。
(6) マウスを用いた混餌投与による繁殖試験において、出生前ばく露を受けた児動物を非ばく露群の母動物に哺育させた結果、全ての児動物で4日以内の死亡が確認された (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))。
(7) 妊娠ラット、マウス、ウサギを用いて試験において胎盤透過性がある結果が示されている (食安委 農薬評価書 (2013))。
(8) 雌ラット、ウサギの妊娠期に強制経口投与した発生毒性試験において、奇形はみられていない (EHC 91 (1989)).
(9) 雌マウスの妊娠7~16日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性がみられない用量で胎児に過剰肋骨の増加がみられ、母動物毒性 (体重増加抑制及び肝比重量の増加) がみられた用量の胎児においてはさらに、尾部の骨化中心の数の減少が認められた (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))。
(10) 雌ハムスターの妊娠7、8、または9日に、強制経口投与した発生毒性試験において、生存胎児数と胎児の体重が減少し、異常(口蓋裂、眼瞼開存、水かき足)の発生率が増加した。 眼瞼開存、水かき足は、胎児の低体重と頻繁に関連していたため、これらの効果は単に成長遅延の発現である可能性があることが示唆された (EHC 91 (1989))。EHC 91 (1989) では、重度の母体毒性の存在下でのこれらの異常の重要性は疑わしいが、特定の催奇形性の可能性を完全に排除することはできないとしている。
(11) 哺乳類において、催奇形性を示すアルドリンは代謝され本物質となる(食安委 農薬評価書 (2013))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分1 (神経系) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質の中毒症状は、軽症で頭痛、めまい、吐き気、血圧上昇等、中程度では激しい筋痙攣、一時的記憶消失、重症では意識消失、強直性痙攣発作がみられ、呼吸麻痺や心室細動で死亡する場合もある (MOE初期評価第1巻 (2002))。
(2) 中毒症状には (急性) 高刺激性、痙攣、昏睡、吐き気、嘔吐、頭痛を伴うことがある (ACGIH (7th, 2010))。
(3) 中毒症状は、全身倦怠感、頭痛、発汗、めまい、吐き気と嘔吐、心不整脈、筋力低下、運動過興奮、反射亢進、ミオクローヌス性発作、重度では痙攣がある。 (IPCS PIM (1996))。
(4) 典型的な症状は、用量に応じて15分から24時間後に頭痛、めまい、吐き気、脱力感、筋肉の痙攣がおこり、深刻な場合では、強直性間代性 (脳波上のてんかん型活動) が生じる。この段階では、重篤な心血管反応 (頻脈、高血圧/低血圧)、発熱または低体温、肝臓または腎臓の機能への影響及び血液学的パラメーター (白血球増加症) も生じる (GESTIS (Access on May 2020))。
(5) ヒトのLD50は5 mg/kgと推定され、頭痛、めまい、倦怠感、興奮性亢進、筋肉の痙攣、意識喪失、痙攣、うつ病等の中毒の兆候がみられた (Patty (6th, 2012))。
(6) 本物質は、過剰摂取により、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐及び疲労を引き起こし、筋肉の痙攣、ミオクローヌス性発作、突然の転倒及び意識喪失を伴う痙攣等を引き起こし、死亡する場合がある (Patty (6th, 2012))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系、肝臓、腎臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1) より、ヒトにおいて神経系への影響がみられ、(2)、(3) より、実験動物で神経系、肝臓、腎臓への影響が区分1の範囲でみられた。したがって、区分1 (神経系、肝臓、腎臓) とした。なお、新たな情報を用いたことから旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ヒトの職業ばく露及び偶発的ばく露に関するレビューの結果、本物質は、過敏症及び筋線維束性攣縮を引き起こし、その後、痙攣発作及び脳波パターンのそれぞれの変化が続いたとの報告がある (ACGIH (7th, 2010))。
(2) ラットを用いた混餌投与による慢性毒性/発がん性併合試験において、1 ppm (0.05 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雌で肝臓の絶対及び比重量の増加、10 ppm (0.5 mg/kg/day、区分1の範囲) の雌雄で過敏性、振戦及び痙攣、小葉中心性肝細胞肥大 (雄: 1例、雌: 6例) がみられた (食安委 農薬評価書 (2013))。
(3) ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性試験において、0.5 ppm (0.025 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雌、10 ppm (0.5 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雄で肝臓の比重量増加、小葉中心性肝細胞肥大、50 ppm (2.5 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で生存率減少、100 ppm (5 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雄で腎炎を伴う膀胱の出血及び/又は膨張がみられた (食安委 農薬評価書 (2013))。
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(エビジャコ属)96時間LC50 = 0.0004 mg/L(EHC 91, 1989)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
十分な慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BIOWIN)、急性毒性区分1であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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