項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 8065-48-3 |
名称 | チオりん酸O,O-ジエチル-エチルチオエチル (別名:ジメトン) |
物質ID | R02-B-049-MHLW, MOE |
分類実施年度 | 令和2年度(2020年度) |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 |
警告 |
H226 | P303+P361+P353 P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点45℃ (closed cup) (HSDB (Access on May 2020)) より、区分3とした。 |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
8 | 自己反応性化学品 | タイプG |
- |
- | - | 分子内に自己反応性に関連する原子団として (P-O) を含むが、UNRTDGにおいてUN 3018、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目である自己反応性化学品には該当しないと考えられるので、タイプGとした。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点が464℃ (ICSC (2002)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 半金属 (P) を含むが、水溶解度が666 mg/L (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) というデータが得られており、水と急激な反応をしないと考えられるため、区分に該当しない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (P) と結合しているが、データがなく分類できない。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分1 |
危険 |
H300 | P301+P310 P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
※本物質ジメトン(CAS番号 8065-48-3)はジメトン-O (CAS番号 298-03-3) 及びジメトン-S (CAS番号 126-75-0) の混合物 (組成比: 約2:1) のため (ACGIH (7th, 2002))、混合物として健康に対する有害性を分類した。 【分類根拠】 (1)~(7) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 2.5 mg/kg (IPCS PIM G001 (1998)) (2) ラットのLD50: 雌: 2.5 mg/kg、雄: 6.2 mg/kg (ACGIH (7th, 2002)、MAK (DFG) vol.19 (2003)) (3) ラットのLD50: 雌: 3~5 mg/kg、雄: 5~6 mg/kg (MAK (DFG) vol.19 (2003)) (4) ラットのLD50: 雌: 4 mg/kg、雄: 10 mg/kg (MAK (DFG) vol.19 (2003)) (5) ラットのLD50: 8 mg/kg (ACGIH (7th, 2002)) (6) ラットのLD50: 1.7 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020)) (7) ラットのLD50: 雌: 3 mg/kg、雄: 6 mg/kg (HSDB (Access on May 2020)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分1 |
危険 |
H310 | P302+P352 P361+P364 P262 P264 P270 P280 P310 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 雌: 8.2 mg/kg、雄: 14 mg/kg (ACGIH (7th, 2002)、MAK (DFG) vol.19 (2003)) (2) ラットのLD50: 8.2 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020)) 【参考データ等】 (3) ウサギのLD50: 24 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分1 |
危険 |
H330 | P304+P340 P403+P233 P260 P271 P284 P310 P320 P405 P501 |
【分類根拠】 (1) より、区分1とした。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.0047 mg/L) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 0.047 mg/L (ACGIH (7th, 2002)、HSDB (Access on May 2020)) (2) 本物質の蒸気圧: 0.00034 mmHg (20℃) (HSDB (Access on June 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 0.0047 mg/L) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 |
警告 |
H341 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウスを用いた優性致死試験で陰性、ハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性の報告がある (MAK (DFG) vol. 9 (2003))、HSDB (Access on May 2020))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験において陽性の報告がある (同上)。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、腹腔内投与による発生影響の可能性が報告されているが、LD50の範囲でみられたこと、評価書間での共通した十分な情報ではないことから、これらの情報を分類根拠としなかったため旧分類から分類結果を変更した。 【参考データ等】 (1) 雌マウスの妊娠7~12日のうち1回、腹腔内投与した試験において、妊娠9日以降の投与で胎児の重量低値がみられた (MAK (DFG) vol.19 (2003))。なお、この試験においてACGIH (7th, 2002) では、出生児のわずかな死亡率増加がみられたとの記載があり、IRIS (1987) では、消化管の異常や口蓋裂の発生率増加の可能性があるとしているが、MAK (DFG) vol.19 (2003) ではいずれも影響として記載されていない。 (2) 雌マウスの妊娠7~9日、8~10日、9~11日のいずれかに腹腔内投与した試験において、母動物の体重に影響がみられない用量で胎児にわずかな骨格異常、胎児重量低値がみられている (MAK (DFG) vol.19 (2003))。 (3) 胎仔毒性は、LD50の範囲で本物質を腹腔内投与したマウスで認められた (MAK (DFG) vol.19 (2003))。 (4) 生殖毒性に関する十分な情報は得られていない (GESTIS (Access on May 2020))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (神経系、呼吸器) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4) より、区分1 (神経系、呼吸器) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 吸入後、多くの場合数分以内に最初の影響が気道と眼に現れる。気道への影響は、気管支収縮と過度の気管支分泌の結果として、胸部の圧迫感と呼吸時の口笛のような音になる。眼への影響には、縮瞳、遠くの物体の不明確な認識及び流涙が含まれる。経口摂取後、15分から2時間以内に発症した症状には、食欲不振、吐き気、嘔吐、胃部の痙攣、下痢などがあった (MAK (DFG) vol.19 (2003))。 (2) 本物質60 mLを大腿にこぼした後、水で洗い流したが、ズボンを着用し続け、約9時間後に突然吐き気、嘔吐、脱力感がみられた。また、血漿及び赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性は、症状が発現する1.5時間前に激しく低下した (ACGIH (7th, 2002)、HSDB (Access on May 2020))。 (3) 本物質約1 mg/m3にばく露された14人の農業従事者のうち12人は、血漿ChE活性を低下させたが、中毒の臨床的証拠は示さなかったと報告されている (ACGIH (7th, 2002))。 (4) 本物質6 mg/m3までは、血清ChE活性の低下と関連していたものの、臨床影響はなかったと報告されている (ACGIH (7th, 2002))。 【参考データ等】 (5) 本物質も含まれる有機リン系農薬は、吸入、摂取、皮膚吸収を含むすべての経路で吸収され、その毒物学的影響は、神経系のアセチルコリンエステラーゼ阻害によるものであり、呼吸器、心筋、神経筋の伝達障害を引き起こす (IPCS PIM G001 (1998))。 (6) 本物質は有機リン酸塩のグループに属し、吸入、摂取、皮膚吸収後に急性毒性を示す。中毒は縮瞳、調節障害、唾液分泌、流涙及び強迫発作を引き起こし、さらに筋肉の痙攣、消化管の痙攣、気管支収縮、気管支分泌物、吐き気、脱力及び麻痺を引き起こす。さらに、呼吸抑制及び循環不全を引き起こす可能性がある。呼吸停止、窒息、心不全などにより死に至る (MAK (DFG) vol.19 (2003))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (神経系) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分1 (神経系) とした。 【根拠データ】 (1) 本物質は有機リン系農薬である。有機リン系農薬の主な毒性作用機序はエステラーゼ酵素活性、特にコリンエステラーゼ (ChE) 阻害である (HSDB (Access on 2020))。 (2) 男性5名に0.75 mg/dayから開始して異なる用量を30日間カプセル投与した結果、7.124 mg/day (体重70 kg換算: 0.10 mg/kg/day) の用量で血漿ChEが25日までに40%、赤血球ChEは16%阻害されたとの報告がある (ACGIH (7th, 2002))。 (3) ラットに本物質の構成成分の1つであるジメトン-S (CAS番号 126-75-0) を48%含有した餌0.05~2.6 mg/kg/dayを11~16週間投与した結果、0.05 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で血漿中、赤血球中、脳中ChEの活性阻害がみられたと報告されている (ACGIH (7th, 2002)、MAK (DFG) vol.19 (2003)、JMPR (1965))。 (4) ラットに本物質を90日間にわたって65回経口投与した結果、0.9 mg/kg/day (90日換算: 0.65 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で興奮性亢進および振戦がみられ、1.89 mg/kg/day (90日換算: 1.26 mg/kg/day、区分1の範囲)) で1例が死亡した (同上)。 (5) イヌに本物質を24週間混餌投与した結果、0.047 mg/kg/day (区分1の範囲) で血漿ChE活性阻害が、0.149 mg/kg/day (区分1の範囲) で赤血球ChE活性阻害がみられた (同上)。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
甲殻類(ミジンコ)48時間EC50 = 0.014 mg/L(HSDB, 2020、EPA OPP Pesticide Ecotoxicity Database, 2020)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性に関するデータは得られておらず、急性毒性は区分1であることから、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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