政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 299-84-3
名称 チオりん酸O,O-ジメチル-O-(2,4,5-トリクロロフェニル) (別名:ロンネル)
物質ID R02-B-050-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)   2020年度(令和2年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (ICSC (1995)) との情報より、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団として (P-O) を含むが、UNRTDGにおいてUN 2783、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目である自己反応性化学品には該当しないと考えられるので、タイプGとした。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (ICSC (1995)) との情報より、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (ICSC (1995)) との情報より、区分に該当しない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 半金属 (P) を含むが、水溶解度が1 mg/L (20℃) (HSDB (Access on May 2020)) というデータが得られており、水と急激な反応をしないと考えられるため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (P) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が55℃以下の固体ではあるが、データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 625 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 雌: 1,250 mg/kg (ACGIH (7th, 2006)、JMPR (1969))
(3) ラットのLD50: 1,740 mg/kg (IPCS PIM G001 (1998)、JMPR (1969))
(4) ラットのLD50: 雌: > 2000 mg/kg (JMPR (1969))
(5) ラットのLD50: 雄: 2,630 mg/kg (ACGIH (7th, 2006)、JMPR (1969))
1 急性毒性(経皮) 区分4


警告
H312 P302+P352
P362+P364
P280
P312
P321
P501
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 1,600~2,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2006))

【参考データ等】
(2) ウサギのLD50: 1,000 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しない (国連分類基準の区分3) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質を14日間にわたりガーゼパッチで10回適用した結果、皮膚のごく軽度の充血が認められた (ACGIH (7th, 2006))。
(2) 本物質を換気が不十分な場所で使用した獣医師において時折、喉及び顔面皮膚への刺激が報告されている (HSDB (Access on May 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。
旧分類に用いられたデータの詳細が不明であり、分類に不十分なデータと判断し、分類結果を変更した。

【参考データ等】
(1) 本物質の粉末 (少量) をウサギの眼に適用した試験において、軽度の不快感及び一過性の結膜刺激がみられたが、48時間後には消失した (ACGIH (7th, 2006))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ヒト (男性30人、女性20人) に週3回、3週間にわたりパッチ適用を行い、2週間後に惹起を行った試験において、感作性は認められなかった (ACGIH (7th, 2006))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)、(2) よりACGIHの分類に基づき区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2006)) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、発がん性は認められなかった (ACGIH (7th, 2006))。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、母動物毒性がみられるもののコリンエステラーゼ (ChE) 活性の低下のみであり、胎児に重篤な影響 (小脳の低形成、心血管系の奇形の増加、F1b及びF2b世代の生存率減少) がみられているため区分1Bとした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による3世代生殖毒性試験において、血漿及び赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性の低下がみられ、F1b及びF2b世代の生存率と授乳率低下、平均体重のわずかな低下がみられている (JMPR (1969))。
(2) 雌ウサギの妊娠6~18日に経口投与した発生毒性試験において、母動物の血漿及び赤血球ChE活性低下 (有意差なし) がみられる用量で、小脳の低形成、心血管系の奇形の増加がみられている (ACGIH (7th, 2006))。

【参考データ等】
(3) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性は不明だが、胎児に過剰肋骨がみられている (ACGIH (7th, 2006))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)、区分3(気道刺激性)



危険
警告
H370
H335
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)より、ヒトにおいて気道への刺激性がみられるとの情報があり、また(2)より、一般的に本物質を含む有機リン系農薬はコリンエステラーゼ阻害作用があることから、 区分1 (神経系)、区分3 (気道刺激性) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質または他の有機リン系殺虫剤を換気の悪い場所で使用した獣医師に吐き気、頭痛、喉や顔の皮膚の炎症がみられた (ACGIH (7th, 2006)、HSDB (Access on May 2020))。
(2)ラットの単回経口投与試験において、250 mg/kg (区分1) 以上で血漿コリンエステラーゼ阻害 (43%) がみられた (ACGIH, 7th, 2006)。

【参考データ等】
(3)本物質も含まれる有機リン系農薬は、吸入、摂取、皮膚吸収を含むすべての経路で吸収され、その毒物学的影響は、神経系のアセチルコリンエステラーゼ阻害によるものであり、呼吸器、心筋、神経筋の伝達障害を引き起こす (IPCS PIM G001 (1998))。
(4)本物質も含まれる有機リン系農薬のばく露により、ヒトではムスカリン症状 (気管支分泌の増加、過度の発汗、唾液分泌、流涙、縮瞳、気管支収縮、腹部痙攣 (嘔吐と下痢)、徐脈)、ニコチン症状 (筋肉の線維束性収縮 (fasciculation of fine muscles)、頻脈)、中枢神経系の症状 (頭痛、めまい、落ち着きのなさ、不安、精神錯乱、痙攣、昏睡、呼吸中枢の抑制) が生じる。軽度の中毒には、ムスカリン性及びニコチン性の兆候のみが含まれる場合があり、重症の場合は中枢神経系の関与も示す。症状の組み合わせにより、呼吸不全になり、時には肺水腫を引き起こす (EHC 63 (1986))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分1 (神経系) とした。(4) のラットの試験では肝臓、腎臓の所見も報告されているが、加齢に伴う変化の可能性が考えられることから標的臓器としなかった。

【根拠データ】
(1) 本物質も含まれる有機リン系農薬は、吸入、摂取、皮膚吸収を含むすべての経路で吸収され、その毒物学的影響は、神経系のアセチルコリンエステラーゼ阻害によるものであり、呼吸器、心筋、神経筋の伝達障害を引き起こす (IPCS PIM G001 (1998))。
(2) 本物質10 mg/kg/dayを5又は10日間経口投与した皮膚幼虫移行症の患者21名中5名で、吐き気、虚弱、視界のぼやけ (clurred vision)、蛇行性潰瘍がみられた (ACGIH (7th, 2006))。
(3) ボランティア20名に本物質250 mgを3~7日間経口投与した試験で、7名で散発性腹部痙攣、食欲不振、かすみ目、下痢、頭痛、胸やけ、倦怠感、吐き気、脱力感などの副作用が生じ、3日目の終わりに投与を中止した。症状がみられなかった3名で、赤血球ChE低下と血漿中ChE活性の顕著な低下がみられた (JMPR (1969))。
(4) ラットに本物質を2年間混餌投与した結果、1.5 mg/kg/day以上 (区分1の範囲) の雌で血漿中ChE活性阻害、15 mg/kg/day以上 (区分2の範囲) の雌雄で赤血球中、脳中ChE活性阻害、雄で血漿中ChE活性阻害、50 mg/kg/day (区分2の範囲) で肝実質細胞の軽度の顆粒変性又は混濁腫脹、腎尿細管上皮の混濁腫脹及び空胞化がみられた (ACGIH (7th, 2006)、JMPR (1969))。
(5) イヌに本物質を2年間混餌投与した結果、3 mg/kg/day (区分1の範囲) で血漿中ChE活性阻害がみられた (ACGIH (7th, 2006)、JMPR (1969))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。旧分類で用いた情報 (魚類(カットスロートトラウト)の96時間LC50=171μg/L(AQUIRE、2003)) の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。旧分類で用いた情報 (魚類(カットスロートトラウト)の96時間LC50=171μg/L(AQUIRE、2003)) の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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