政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 77458-01-6
名称 チオりん酸O-1-(4-クロロフェニル)-4-ピラゾリル-O-エチル-S-プロピル(別名:ピラクロホス)
物質ID R02-B-052-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に自己反応性に関連する原子団として (P-O) を含むが、UNRTDGにおいてUN 3018、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目である自己反応性化学品には該当しないと考えられるので、タイプGとした。
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - UNRTDGにおいてUN 3018、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目である自然発火性物質には該当しないので、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 半金属 (P) を含むが、水溶解度が33 mg/L (20℃) (MOE初期評価第4巻 (2005)) というデータが得られており、水と急激な反応をしないと考えられるため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 分類できない
-
-
- - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (P) と結合しているが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 237 mg/kg (農薬工業会:食品衛生研究 vol. 46, No. 19 (1996)、農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (2.3E-007 mg/L) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 雌: 1.46 mg/L、雄: 1.69 mg/L (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))
(2) 本物質の蒸気圧: 1.2E-008 mmHg (20℃) (農薬工業会 (1990)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 2.3E-007 mg/L)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質 (0.5 mL) をウサギの皮膚に4時間適用した皮膚刺激性試験において、刺激性は認められなかった (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質 (0.1 mL) をウサギに適用した眼刺激性試験において、刺激性は認められなかった (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) モルモットに本物質 (原体) を適用した皮膚感作性試験 (ビューラー法) において陰性と報告されている (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【根拠データ等】
(1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験及びほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験において陰性の報告がある (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
国内外の分類機関による既存分類はない。利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) より区分に該当しないとした。新たな情報源の利用により分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 雌雄のラット及びマウスに本物質を2年間混餌投与した反復投与/発がん性併合試験では、両種とも発がん性は認められなかった (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
7 生殖毒性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖毒性試験において、体重増加抑制、摂餌量減少がみられたが、繁殖能に影響はみられていない。なお、最高用量で児動物の生存率低下がみられたが、児動物の死亡が主に授乳期間中にみられ、死亡児の胃の中に乳汁がないこと、カンニバリズムが多発したことから、母動物の異常行動によるものと考えられている (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (呼吸ラ音、活動低下、振顫、流涎過剰、流涙、眼周囲分泌物、会陰部被毛汚染、体重増加抑制) がみられる用量においても、胎児に影響はみられていない (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
(3) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (血漿及び赤血球ChE活性低下、下痢、投与直後の横臥、体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (神経系) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質 (237 mg/kgまたはこれより低い用量) をラット及びマウスに経口投与した結果、自発運動の減少、歩行異常、下痢、流涙、流涎、呼吸困難等みられたが、遅くとも14日以内には全て回復した (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
(2) 本物質は有機リン系の殺虫剤であり、亜急性及び慢性毒性試験において、血漿、赤血球及び脳のコリンエステラーゼ阻害がみられている (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系、血液系)、区分2 (消化管)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分1 (神経系、血液系)、区分2 (消化管) とした。(3) のラットの慢性毒性試験では精巣、子宮、肝臓、甲状腺での所見も報告されているが、肝臓については低栄養状態による変化と考えられると記載されており、(4) のラットの慢性毒性試験ではこれらの臓器への影響は報告されていないことから、標的臓器としなかった。新たな情報源の情報に基づき検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットに3ヵ月間混餌投与した結果、10 ppm以上 (ガイダンス値換算: 1 mg/kg/day、区分1の範囲) の雌雄で血漿及び赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性の低下、1,000 ppm以上 (ガイダンス値換算: 100 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄でヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、赤血球数の減少、脳ChE活性の低下、空・回腸粘膜上皮細胞の空胞化、固有層の水腫、軽度の小円形細胞浸潤及び粘膜表面における細胞破砕物を含む粘膜様物質の付着を伴うカタル性腸炎、雌で副腎の白色化がみられた (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
(2) マウスに3ヵ月間混餌投与した結果、1 ppm以上 (ガイダンス値換算: 0.15 mg/kg/day、区分1の範囲) で血漿ChE活性の低下、200 ppm (ガイダンス値換算: 30 mg/kg/day、区分2の範囲) で赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値及びMCVの低下、赤血球及び脳ChE活性の低下がみられた (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990))。
(3) ラットに24ヵ月間混餌投与した結果、10 ppm以上 (ガイダンス値換算: 0.5 mg/kg/day、区分1の範囲) で精巣の精細管萎縮、子宮角の腔拡張、赤血球ChE活性の低下、100 ppm以上 (ガイダンス値換算: 5 mg/kg/day、区分1の範囲) で体重増加抑制、肝細胞脂肪変性 (低栄養状態による変化と考えられるとの記載あり)、甲状腺の大型濾胞、赤血球数減少等、300 ppm (ガイダンス値換算: 15 mg/kg/day、区分2の範囲) で脳ChE活性の低下、血漿及び赤血球ChE活性の低下がみられた (農薬工業会「日本農薬学会誌」15巻 (1990)、農薬工業会:食品衛生研究 vol. 46, No. 19 (1996))。
(4) マウスに24ヵ月間混餌した結果、70 ppm (ガイダンス値換算: 1.05 mg/kg/day、区分1の範囲) で体重増加抑制、赤血球ChE活性低下がみられた (同上)。
(5) イヌに1年間経口投与した結果、3 mg/kg以上 (区分1の範囲) で脾臓の色素沈着の増強、赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値の減少、ALT活性の上昇、赤血球ChE活性の低下等、15 mg/kg (区分2の範囲) で副腎皮質の空胞化の増加、血清カリウムの上昇、ALP活性の上昇、脳ChE活性の低下がみられた (農薬工業会:食品衛生研究 vol. 46, No. 19 (1996))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データ不足のため分類できない
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データ不足のため分類できない
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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