政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 75-68-3
名称 1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン  (別名:HCFC-142b)
物質ID R02-B-060-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分1


危険
H220 P210
P377
P381
P403
爆発下限界6.2 vol%、上限界18 vol% (HSDB (Access on May 2020)) に基づいて、区分1とした。なお、 UNRTDGにおいてUN番号2517、クラス2.1に分類されている。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない
-
-
- - 可燃性ガスの区分1に分類されており、区分に該当しない。
5 高圧ガス 低圧液化ガス


警告
- - 臨界温度136.85℃ (HSDB (Access on May 2020)) に基づいて、低圧液化ガスとした。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (EHC 139 (1992))
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 128,000 ppm (SIAR (2004)、EHC 139 (1992))
(2) ラットのLC50 (4時間): 2,050 mg/L (498,731 ppm) (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) の記載はあるが、区分に十分な情報ではないため分類できない。なお、凍傷の危険があるが、本物質は深冷液化ガスには該当しないため、H281 (凍傷または損傷のおそれ) は適用されない。

【参考データ等】
(1) 本物質は室温でガスであり、皮膚刺激性試験は適用外である (SIAR (2004))。
(2) 本物質の液体が皮膚に付いたり、眼に入ると凍傷を生じる (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) の記載はあるが、区分に十分な情報ではないため分類できない。旧分類の根拠とされたデータも区分に十分なデータではないと考えられたため、分類結果を変更した。なお、凍傷の危険があるが、本物質は深冷液化ガスには該当しないため、H281(凍傷または損傷のおそれ)は適用されない。

【参考データ等】
(1) 液化した本物質をウサギの眼に適用した眼刺激性試験において、角膜及び虹彩には影響はみられなかったが、軽度の結膜浮腫と分泌物がみられた。しかしながら、本物質の沸点は-9℃であり、適用後すぐに蒸発するため、ヒトへの影響の証拠としては乏しい (SIAR (2004)、GESTIS (Access on May 2020))。
(2) 本物質の液体が皮膚に付いたり、眼に入ると凍傷を生じる (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、13週間吸入ばく露によるラット骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、15週間吸入ばく露による経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性の報告がある (SIAR (2004)、MAK (DFG) vol.1 (1991)、EHC 139 (1992))。
(2) in vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性、陽性の報告 (SIAR (2004)、EHC 139 (1992))、哺乳類培養細胞を用いた形質転換試験で陰性、陽性の報告がある (SIAR (2004))。
(3) OECD SIARでは、本物質はヒトに意義のある遺伝毒性を生じさせないと評価している (SIAR (2004))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
国内外の分類機関による既存分類はない。利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) よりラットでは陰性の報告が得られているが、マウスでの発がん性試験結果が得られておらず、データ不足で分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 雌雄のラットに本物質を104週間吸入ばく露した慢性毒性/発がん性併合試験において、投与に関連した腫瘍発生率の増加は認められなかった (SIAR (2004)、EHC 139 (1992))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より発生影響の可能性は低いと考えられるが、性機能及び生殖能に関する情報がなくデータ不足のため分類できないとした。なお、分類根拠を見直したことにより、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6~15日に吸入ばく露した発生毒性試験において、母動物毒性はみられず、胎児に骨化の減少 (頭蓋骨の頭頂間骨、後頭骨及び舌骨) がみられたが、明らかな用量相関性はみられていない (IRIS (1995)、MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。

【参考データ等】
(2) 雌ラットの妊娠4~13日あるいは6~15日に吸入ばく露した発生毒性試験において、母動物毒性は不明、着床前胚損失の増加がみられたが、用量に依存したものでないとの報告がある (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。IRIS (1995)では、この試験は方法と報告が不十分であるとしている。
(3) 雄ラットに15週間吸入ばく露した優性致死試験の結果は陰性であった (SIAR (2004))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (麻酔作用、気道刺激性)


警告
H336
H335
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの単回ばく露に関する報告はない。(1)、(2) より、区分3 (麻酔作用、気道刺激性) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質を高濃度でばく露したマウス及びラットで、死亡または麻酔作用がみられた (EHC 139 (1992))。
(2) ラットの6時間単回吸入ばく露において、LC50は1,640,000 mg/m3超 (400,000 ppm) (4時間換算値: 489,898 ppm (区分2超)) であり、高濃度で肺の炎症や中枢神経抑制作用がみられた (SIAR (2004))。

【参考データ等】
(3) イヌに本物質を単回吸入投与した試験で心臓感作性がみられ、EC50が2,050,000 mg/m3 (498,731 ppm) と報告されている (SIAR (2004))。
(4) クロロフルオロカーボン化合物は、心臓を感作して、アドレナリン誘発性不整脈に対する感受性を亢進することが知られている (EURAR (2007)(CAS番号 75-45-6))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、実験動物において区分2をはるかに超える濃度の吸入ばく露試験で毒性影響がみられていない。経口経路、経皮経路の反復投与毒性に関する情報は得られていないものの、本物質はガスであり、主要なばく露経路は吸入経路であることから、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットに1,000、10,000 ppm (いずれも区分2超) の濃度で90日間 (6時間/日、5日/週) 吸入ばく露した試験で、ばく露に関連した影響はなかった (EHC 139 (1992)、MAK (DFG) vol.1 (1991)、IRIS (1995)、SIAR (2004)、MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
(2) イヌに1,000、10,000 ppm (いずれも区分2超) の濃度で90日間 (6時間/日、5日/週) 吸入ばく露した試験で、ばく露に関連した影響はなかった (MAK (DFG) vol.1 (1990)、SIAR (2004)、MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
(3) ラットに20,000 ppm (区分2超) までの濃度で104週間 (6時間/日、5日/週) 吸入ばく露した試験で、ばく露に関連した影響はなかった (IRIS (1995)、SIAR (2004)、MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
10 誤えん有害性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
魚類(ニジマス) 96時間LC50 = 36 mg/L(EHC 139, 1992)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分3
-
-
H412 P273
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(OECD TG301D におけるBODによる28日間分解度:0%(METI既存点検結果, 1991))、急性毒性は区分3であることから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 区分1


警告
H420 P502 モントリオール議定書の附属書に列記された物質であるため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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