政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 54-64-8
名称 エチル(2-メルカプトベンゾエート)水銀ナトリウム塩  (別名:チメロサール)
物質ID R02-B-063-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性という情報 (GESTIS (Access on May 2020)) がある。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 金属 (Hg) を含むが、水溶解度が1,000 g/L (GESTIS (Access on May 2020)) というデータが得られており、水と急激な反応をしないと考えられるため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (Na) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 75 mg/kg (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2017)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 98 mg/kg (NTP (2001))
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できないとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
旧分類の根拠となったデータが確認できず、データ不足のため分類できないとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1Aとした。

【根拠データ】
(1) モルモットを用いた複数の皮膚感作性試験が実施されており、Optimization法で陽性 (陽性率 70%)、改変マキシマイゼーション法 (皮内投与 0.1%) で陽性 (陽性率 70%)、その他、皮下投与及び閉塞適用による感作性試験でも陽性と報告されている (MAK (DFG) vol.15 (2001))。
(2) 本物質は産衛学会 感作性分類 皮膚第1群に分類されている (産衛誌55巻 (2013))。
(3) 本物質が職業性接触皮膚炎の原因である症例報告があり、手袋せずにワクチン接種業務に従事し手に湿疹が生じ、パッチテストで陽性であり、ビニール手袋を着用したら症状が消失した。また、別の報告では、8年前に肝炎ワクチン接種で感作されたことが疑われ、その後ワクチン接種業務で手の湿疹を生じパッチテストで陽性であった (産衛学会感作性物質提案理由書 (2013))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、欧州共同体のバリデーション試験で、マウス腹腔内投与による骨髄細胞の小核試験及び染色体異常試験で陰性、精母細胞の染色体異常試験で陰性として分類された (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2017)、NTP (2001)、HSDB (Access on May 2020))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告 (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2017)、NTP (2001)、CEBS (Access on May 2020))。ヒトリンパ球培養細胞の染色体異常試験、遺伝子突然変異試験であいまいな結果の報告がある (HSDB (Access on May 2020))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。新たな情報源を用いて検討し、分類結果を変更した。

【参考データ等】
(1) ラットに本物質を1年間皮下投与した発がん性試験では、腫瘍発生率の増加は認められなかった (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2017))。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、腹腔内投与、点眼適用により、母動物毒性がみられない用量で胚及び胎児の致死性がみられていることから区分1Bとした。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6~18日に腹腔内投与した発生毒性試験、雌ウサギの妊娠6~18日に点眼適用した発生毒性試験において、母動物毒性がみられない用量で、胚及び胎児の致死性 (死亡、流産または再吸収) がみられているが催奇形性はみられていない (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2017))。

【参考データ等】
(2) ヒトで利用可能なデータに基づくと、本物質を含むワクチンで使用されている濃度では、ヒトに発生毒性を引き起こさない (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2017))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (神経系、血液系、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1 (神経系、血液系、腎臓) とした。なお、(1) の皮膚炎は1例のみの症例であったため、ガイダンスに従って採用しなかった。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質83 mg/kgを摂取した44歳の男性で、胃炎、腎尿細管障害、皮膚炎、歯肉炎、せん妄、昏睡、多発性神経障害 (全身性末梢神経変性) 及び呼吸不全がみられた (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2017)、HSDB (Access on May 2020))。
(2) 本物質を含む製品による急性水銀中毒の症例が報告されており、本物質の投与量として、約3 mg/kg~数100 mg/kgの範囲で、局所壊死、急性溶血、播種性血管内凝固、急性腎尿細管壊死、鈍麻、昏睡、中枢神経系損傷がみられた (HSDB (Access on May 2020))。
(3) アルキル水銀化合物による四肢末端若しくは口囲の知覚障害、視覚障害、運動失調、平衡障害、構語障害又は聴力障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (神経系) とした。

【根拠データ】
(1) アルキル水銀化合物は無機水銀化合物とは対照的に血液-脳関門、血液-胎盤関門を速やかに通過する。主な標的臓器は中枢及び末梢神経系及び腎臓である (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 鼓膜切開術を受けた18歳女性が耳の感染症を処置するために、6週間にわたり本物質0.1%を含む耳洗浄液1.2 Lを投与された。この洗浄液の鼻咽頭へのドレナージにより二次的な経口摂取が生じ、総ばく露量は127 mg/kg に達した。運動失調、卒中及び昏睡が6週目に生じ、治療開始140日後に死亡した (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2017))。
(3) アルキル水銀化合物による四肢末端若しくは口囲の知覚障害、視覚障害、運動失調、平衡障害、構語障害又は聴力障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。

【参考データ等】
(4) 本物質は、ワクチン、点眼薬、コンタクトレンズの洗浄及び保存液の保存剤として広く使用されている有機水銀化合物である (HSDB (Access on May 2020))。
(5) 本物質を190日間鼻腔内投与した実験動物 (生物種不明) において、脳、腎臓の病理組織学的変化は観察されなかったとの報告がある (HSDB (Access on May 2020))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データがなく分類できない
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データがなく分類できない
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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