政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 2475-45-8
名称 1,4,7,8-テトラアミノアントラキノン  (別名:ジスパースブルー1)
物質ID R02-B-074-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 3,000 mg/kg (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている(EU CLP分類 (Access on August 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) EU-CLP分類でEye Dam. 1 (H318) に分類されている (EU CLP分類 (Access on August 2020))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)~(2) より、区分1とした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから区分を変更した。。

【根拠データ】
(1) 本物質を含むジスパースブルー色素はこれらを含む繊維へのばく露後に接触性アレルギー性皮膚炎の多数の症例と関連性があるとされてきた。ジスパースブルー染料は繊維性皮膚炎を生じる最もありふれたアレルゲンであると報告されている (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
(2) 初期のモルモットを用いた皮膚感作性試験で、中程度の皮膚感作性物質に分類されると結論された報告がある (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。

【参考データ等】
(3) マウス(BALB/c、雌)を用いたLLNA変法による皮膚感作性試験(適用濃度: 3%及び10%)では、細胞数及びリンパ節重量の増加、CD8+リンパ球の減少などから、中程度の皮膚感作性物質と評価された (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
(4) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317)に分類されている (EU CLP分類 (Access on August 2020))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、分類できないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス腹腔内投与の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (CEBS (Access on May 2020))、ハムスター腹腔内投与 (単回または反復投与) の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、ラットの遺伝性 (相互) 転座試験で陰性の報告がある (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性 (IARC 48 (1990)、NTP TR299 (1986)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、CEBS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陽性、形質転換試験で陽性の報告がある (NTP RoC (14th, 2016)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、CEBS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
(3) AICISでは、in vivoにおける評価が不十分なため、遺伝毒性について明確な結論が導けないとしている (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 48 (1990))、産衛学会で第2群B (産業衛生学雑誌許容濃度等の勧告 (1991年提案))、NTPでR (NTP RoC (14th, 2016))、EU CLP分類でCarc.1B (EU CLP分類 (Access on May 2020)) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雌雄で膀胱の移行上皮乳頭腫及びがん、扁平上皮乳頭腫及びがん、雌で尿道膀胱の平滑筋腫及び平滑筋肉腫の用量依存的な増加が認められた。 さらに、膀胱結石が、膀胱新生物が増加したラット群で観察された。雄では、膵臓の膵島細胞腺腫及びがんの発生率がわずかに増加した。これらより、本物質の発がん性に関して、雌雄のラットには明らかな証拠 (clear evidence) があると結論された (NTP TR299 (1986)、IARC 48 (1990))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雄で肺胞/細気管支腺腫及びがんの合計の発生率の増加、肝細胞腺腫又はがんの合計の発生率のがわずかな増加が認められた。これらより、本物質の発がん性に関して、雄のマウスにはあいまいな証拠 (equivocal evidence) があり、雌のマウスには発がん性の証拠はないと結論された (NTP TR299 (1986)、IARC 48 (1990))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
本物質のヒトでの単回ばく露に関する報告はない。動物試験では経口投与で (1) の影響がみられたのみで他の投与経路のデータはなく、データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) ラット、マウスの経口投与試験 (それぞれ、最高用量3,000 mg/kg、2,000 mg/kg) において、唯一の投与関連の影響として、本物質投与後の尿の青色化がみられたとの報告がある (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、NTP TR299 (1986))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2 (腎臓、膀胱)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの反復ばく露に関する報告はない。実験動物では、(1) より区分2の用量で腎臓及び膀胱への影響がみられていることから、区分2 (腎臓、膀胱) とした。情報の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットの103週間混餌投与試験では、1,250 ppm (雄/雌: 45/56 mg/kg/day、いずれも区分2の範囲) 以上で腎臓及び膀胱の色素沈着、腎尿細管円柱及び腎尿細管変性、2,500 ppm (雄/雌: 95/111 mg/kg/day、それぞれ区分2の範囲/区分2超) 以上で膀胱結石、膀胱上皮化生、膀胱及び腎臓の上皮過形成がみられたとの報告がある (IARC 48 (1990)、NTP TR299 (1986))。

【参考データ等】
(2) マウスの104週間混餌投与試験では、600 ppm (雄/雌: 112/108 mg/kg/day、いずれも区分2超の範囲) 以上で腎臓及び膀胱の色素沈着、腎尿細管円柱、腎尿細管変性がみられ、雄ではさらに膀胱の炎症性リンパ球浸潤もみられたとの報告がある。本試験では1,200 ppm (雄/雌: 239/235 mg/kg/day、いずれも区分2超) 以上で膀胱の炎症、雄ではさらに膀胱結石、膀胱上皮過形成、膀胱線維化もみられており、膀胱の炎症性変化は、結石形成による影響の可能性がある (IARC 48 (1990)、NTP TR299 (1986))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データがなく分類できない
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データがなく分類できない
12 オゾン層への有害性 分類できない
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-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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