政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 1120-71-4
名称 1,2-オキサチオラン=2,2-ジオキシド (別名:1,3-プロパンスルトン)
物質ID R02-B-085-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2010年度(平成22年度)   2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性という情報 (GESTIS (Access on May 2020)) がある。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (S) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が55℃以下の固体ではあるが、データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 100~157 mg/kg (厚労省リスク評価書 (2010))
(2) ラットのLD50: 100~200 mg/kg (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))
(3) ラットのLD50: 157 mg/kg (MAK (DFG) vol.4 (1992))
(4) ラットのLD50: 350 mg/kg (MAK (DFG) vol.4 (1992))
(5) ラットのLD50: 100 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 660 mg/kg (厚労省リスク評価書 (2010)、MAK (DFG) vol.4 (1992)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1) より、LC50 (4時間) は1.95~3.21 mg/Lの間であることから、区分4とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
動物が全数死亡したときのばく露濃度 (2.14 mg/L) が飽和蒸気圧濃度 (1.8 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (6時間): 1.3~2.14 mg/Lの間 (1.3 mg/Lにおいて死亡例なし、2.14 mg/Lの用量で全数死亡) (4時間換算値: 1.95~3.21 mg/L) (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))
(2) 本物質の蒸気圧: 0.27 mmHg (25℃) (NTP RoC (14th, 2016)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 1.8 mg/L)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質がヒトと動物の皮膚に対して刺激性を有することが報告されている (MAK (DFG) vol.4 (1992))。
(2) OECD TG 431に準拠したin vitro皮膚腐食性試験 (in vitro膜バリア試験法) において、腐食性物質ではないと判定されている (REACH登録情報 (Access on August 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験 (ドレイズ法) で軽度刺激性と報告されている (厚労省リスク評価書 (2010))。
(4) モルモットの皮膚に本物質 (0.1~20 mL或いは10滴) を貼付した実験で、パッチ適用箇所に中等度の浮腫と壊死がみられ、適用箇所周囲にはスコア3の紅斑がみられ、2週間後には脱毛と瘢痕がみられた。本物質 (10滴) を開放適用した実験では適用24~48時間後には紅斑 (スコア 2~3) と浮腫がみられたが、1~2週間後には最小化した (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、REACH登録情報 (Access on August 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1) より、区分2Aとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質 (1滴) をウサギの眼に適用した眼刺激性試験で結膜炎及び角膜混濁が適用24~72時間後に観察され、結膜浮腫は回復したが、結膜の発赤と角膜混濁は適用14日後までには回復しなかった (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、REACH登録情報 (Access on August 2020))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 406相当のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法、適用濃度 1%) で、皮膚反応は観察されず、皮膚感作性は陰性と判定された (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
(2) OECD TG 406相当のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、皮内投与 1%) で、皮膚反応は観察されず、皮膚感作性陰性を判定された (REACH登録情報 (Access on August 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質の職業ばく露による接触皮膚炎がみられており、本物質は皮膚感作性を有する可能性がある (MAK (DFG) vol.4 (1992))。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、腹腔内投与又は経口投与したマウスの末梢血を用いた小核試験において陽性の報告がある(IARC 110 (2017)、産衛学会発がん性分類提案理由書 (2017)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。また、静脈投与後のラットの脳細胞で DNA 鎖の切断が誘導されたとの報告がある (厚労省リスク評価書 (2010)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験において代謝活性系の非存在下で陽性の報告がある(IARC 110 (2017)、産衛学会発がん性分類提案理由書 (2017)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、厚労省リスク評価書 (2010)、MAK (DFG) vol.4 (1992))。
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) の既存分類のうち、最新の分類であるIARC及び産衛学会が (2)~(4) の情報に基づきそれぞれグループ2A及び第2群Aに分類していることから、区分1Bとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2A (IARC 110 (2017))、産衛学会で第2群A (産衛学会発がん性分類提案理由書 (2017))、ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2001))、NTPでR (NTP RoC (14th, 2016))、EU CLP分類でCarc.1B (EU CLP分類 (Access on May 2020))、MAK (DFG) で1 (DFG List of MAK and BAT Values (2019)) に分類されている。
(2) ヒトの情報としては、1950~1970 年代にかけて本物質を製造していたドイツの化学工場で、ばく露された男性労働者55人について調査し、2010年までに20人に計24の腫瘍が観察されたという報告がある。この報告では、観察された腫瘍の中で神経系臓器の膠芽細胞腫2例と悪性シュワン細胞腫 (末梢神経鞘腫瘍) 1例、十二指腸癌1例はヒトに発生が稀な腫瘍であり、また動物実験で同様の腫瘍が誘発されていることから、特にばく露との関連が疑われると述べている。しかし、ばく露濃度や交絡要因等の評価はされていない (産衛学会発がん性分類提案理由書 (2017))。
(3) 動物実験における発がん性については、3 系統のマウスに皮膚塗布した試験で、単回皮膚塗布により皮膚腫瘍 (悪性を含む)、56 週間塗布により皮膚腫瘍 (悪性を含む)、リンパ網内系腫瘍、肺腫瘍、子宮又は乳腺腫瘍の発生、マウスに63週間皮下投与した試験で、投与部位に線維肉腫と上皮系腫瘍の発生、ラットに61週間又は32週間強制経口投与した試験で、脳の悪性膠細胞腫、乳腺腺がん、白血病、耳管の扁平上皮がん及び小腸腺がんの発生が報告されている (産衛学会発がん性分類提案理由書 (2017)、IARC 110 (2017))。
(4) 本物質の遺伝毒性については、in vitroでのヒト細胞を用いた試験を含む様々な試験及びin vivo 試験において陽性であり、また本物質はDNA やタンパク質と直接反応することが報告されている (産衛学会発がん性分類提案理由書 (2017)、IARC 110 (2017))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (全身毒性)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの急性ばく露影響に関する報告はない。実験動物では、(1)、(2) より、影響がみられた最小用量の記載はなく、少なくともLD50値 (経口: 100~157 mg/kg、経皮: 157 mg/kg、区分1の範囲) 付近で影響がみられたと想定し、区分1 (全身毒性) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質による実験動物の急性中毒として、初期の無反応 (apathy)、進行性呼吸困難、血性下痢、振戦、痙攣がみられるのが特徴であり、投与量に依存するが、本物質にばく露されて6時間から数日で死亡する。病理学的検査で出血性肺水腫、重度の腸管出血、脳浮腫が認められたとの報告がある。また、本物質は高い細胞毒性があり、壊死を引き起こすことが報告されている (厚労省リスク評価書 (2010)、MAK (DFG) vol.4 (1992))。
(2) 本物質によるラットの単回投与試験において、影響がみられた最小用量の記載はなかったが、LD50値 (経口: 100~157 mg/kg、経皮: 157 mg/kg) の記載があった (厚労省リスク評価書 (2010))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 16 mg/L(REACH登録情報, 2020)であることから、区分3とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分3
-
-
H412 P273
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる4週間分解度:95%(METI既存点検結果, 2002))、藻類(イカダモ)の 72時間EC10 > 320 mg/L(REACH登録情報, 2020)から、区分に該当しない。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がある(BODによる4週間分解度:95%(METI既存点検結果, 2002))が生物蓄積性に関する十分なデータが得られておらず、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 16 mg/L(REACH登録情報, 2020)から、区分3となる。
以上の結果を比較し、区分3とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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