政府によるGHS分類結果

View this page in English



一般情報
項目 情報
CAS登録番号 16219-75-3
名称 5-エチリデン-2-ノルボルネン (別名:エチリデンノルボルネン)
物質ID R02-B-086-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)   2009年度(平成21年度)   2014年度(平成26年度)  
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点29℃ (closed cup) (SIAR (2005)) に基づいて区分3とした。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- - 分子内に自己反応性に関連する原子団として不飽和結合を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が272℃ (SIAR (2005)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(5) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 2,276 mg/kg、雌: 5,071 mg/kg (ACGIH (7th, 2014)、SIAR (2005)、Patty (6th, 2012))
(2) ラットのLD50: 雄: 2,294 mg/kg、雌: 5,071 mg/kg (産衛学会許容濃度提案理由書 (2018))
(3) ラットのLD50: 2,527 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
(4) ラットのLD50: 2,530 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
(5) ラットのLD50: 3,200 mg/kg (HSDB (Access on May 2020)、Patty (6th, 2012))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 5,071 mg/kg (ACGIH (7th, 2014)、産衛学会許容濃度提案理由書 (2018))
(2) ウサギのLD50: > 7,168 mg/kg (SIAR (2005))
(3) ウサギのLD50: 8,190 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
(4) ウサギのLD50: 8,216 mg/kg (ACGIH (7th, 2014))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (5,527 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 雄: 13.3 mg/L (2,717 ppm)、雌: 14.8 mg/L (3,015 ppm) (SIAR (2005))
(2) 本物質の蒸気圧: 4.2 mmHg (20℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 5,527 ppm)

【参考データ等】
(3) ラットのLC50 (4時間): 1,246 ppm (HSDB (Access on May 2020))
(4) ラットのLC50 (4時間): 6.13 mg/L (1,247 ppm) (GESTIS (Access on May 2020))
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 404相当のウサギを用いた皮膚刺激性試験で、軽度~中等度の紅斑と浮腫が観察されたが、7日目以降は全例に落屑が観察されたが、14日目までには回復した (SIAR (2005)、Patty (6th, 2012))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2Bとした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 405相当のウサギを用いた眼刺激性試験で、軽度の結膜発赤がみられたが、適用2日後までに消失した (SIAR (2005)、Patty (6th, 2012))。
(2) ヒトのボランティアにおいて、本物質 (11 ppm、30分) のばく露で眼への一過性の刺激がみられている (ACGIH (7th, 2014)、HSDB (Access on May 2020))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1B


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1) より、区分1Bとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) において陽性と判定され、EC3は41.7%と報告されている (REACH登録情報 (Access on August 2020))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットを用いた優性致死試験で陰性の報告がある (SIAR (2005))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性の報告がある (既存点検結果 (Access on May 2020)、SIAR (2005)、Patty (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2014)、CEBS (Access on May 2020))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データがなく分類できない。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた強制経口投与による簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物毒性 (死亡 (雄: 2/12例、雌: 0/12例)、雌雄で体重増加抑制、摂餌量減少、雄で肝臓の相対重量増加、肝臓の小葉中心性肝細胞肥大、肝細胞の空胞化) がみられる用量 (100 mg/kg/day) で、妊娠期間の延長、着床率及び分娩率の減少があり、総出産児数、出産生児数及び哺育4日の生児数の低下を認めた (既存点検結果 (Access on May 2020)、SIAR (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2018))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に吸入ばく露した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重、体重増加量、摂餌量の減少、肝臓の相対重量増加) がみられる用量 (100、354 ppm) で、胎児に骨格変異の増加がみられている (産衛学会許容濃度提案理由書 (2018)、SIAR (2005))。
(3) 日本産衛学会では、生殖毒性物質第3群 (ヒトに対する生殖毒性の疑いがある物質) としている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2018))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性)



危険
警告
H370
H335
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)、(2) より、ヒトの報告に基づき、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質 (11 ppm) に30分間吸入ばく露されたヒトで、眼と鼻への刺激がみられた (ACGIH (7th, 2014)、Patty (6th, 2012))。
(2) ヒトにおいて、本物質の経口経路では吐き気、嘔吐がみられ、吸入経路では頭痛、錯乱、呼吸困難、喉への刺激がみられた (Patty (6th, 2012))。

【参考データ等】
(3) ラットの単回経口投与試験において、2.0 mL/kg (1,780 mg/kg、区分2の範囲) 以上で、投与後30~45分以内に動作緩慢、流涙、背弯姿勢 (kyphosis)、不安定歩行、下痢がみられた (SIAR (2005))。
(4) ウサギの単回経皮適用試験 (影響がみられた最小用量の記載なし、LD50値 (> 7,168 mg/kg) 付近の区分2超より低用量で影響がみられたと想定) において、適用直後の発声 (5~15分持続)、腹部膨満、下痢がみられた (SIAR (2005))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2 (肝臓)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2 (肝臓) とした。なお、腎臓及び甲状腺でみられた変化はラット特有の変化とされ (参考データ (4))、ヒトへの外挿の妥当性が低いと判断し、標的臓器としなかった。

【根拠データ】
(1) 本物質の蒸気をラットに14週間 (6時間/日、5日/週) 吸入ばく露した試験で、4.9 ppm (ガイダンス値換算: 0.02 mg/L、区分1の範囲) 以上の雄で腎臓重量の増加、甲状腺濾胞コロイドの減少が、24.8 ppm (ガイダンス値換算: 0.09 mg/L、区分1の範囲) 以上の雌で甲状腺濾胞コロイドの減少等、149 ppm (ガイダンス値換算: 0.57 mg/L、区分2の範囲) の雄で肝臓重量増加、尿の浸透圧及びクレアチニンの減少、雌で腎臓重量増加、尿タンパクの増加がみられた。このうち腎臓及び甲状腺の変化について、SIAR (2005) ではヒトへの外挿性はない影響であるとしている (ACGIH (7th, 2014)、SIAR (2005))。
(2) 本物質蒸気をラットに88日間吸入ばく露した試験で、90 ppm (ガイダンス値換算: 0.44 mg/L、区分2の範囲) 以上で腎臓障害、237 ppm (ガイダンス値換算: 1.16 mg/L、区分2超) において肝臓の軽度腫大及び小葉中心性肝細胞変性、精巣の萎縮等がみられた (ACGIH (7th, 2014)、SIAR (2005))。
(3) 本物質蒸気をイヌに89日間吸入ばく露した試験で、61 ppm (ガイダンス値換算: 0.29 mg/L、区分2の範囲) 以上で胆管増生、門脈域の線維化、血清AST及びALT活性の増加が、93 ppm (ガイダンス値換算: 0.46 mg/L、区分2の範囲) で精巣萎縮、軽度の血液変化がみられた (ACGIH (7th, 2014)、SIAR (2005))。

【参考データ等】
(4) ラットの28日間強制経口投与試験で、最低用量の4 mg/kg/day (90日換算: 1.24 mg/kg/day) から、雄に甲状腺及び腎臓の病理組織学的変化 (甲状腺濾胞細胞の肥大、コロイドの減少、濾胞の不整形化: 腎臓尿細管上皮の硝子滴) が認められたが、SIAR (2005) では腎臓の変化はα2u-グロブリン腎症に関連した変化であり、甲状腺の変化も種特異的な変化として、いずれもヒトには生じない影響であるとされている (既存点検結果 (Access on May 2020)、SIAR (2005))。
10 誤えん有害性 区分1


危険
H304 P301+P310
P331
P405
P501
【分類根拠】
(1)と(2)より、区分1とした。

【根拠データ】
(1)環状炭化水素である。
(2)ヒトで吸引 (aspilation) により重度の肺炎を生じるとの報告がある(Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on May 2020))。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 3.3 mg/L(MOE既存点検結果, 1998、SIAR, 2002)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる4週間分解度:0%(METI既存点検結果, 1985))、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOEC = 0.78 mg/L(MOE既存点検結果, 1998)から、区分2となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる4週間分解度:0%(METI既存点検結果, 1985))、魚類(ヒメダカ)の96時間LC50 = 7.0 mg/L(MOE既存点検結果, 1998、SIAR, 2002)から、区分2となる。
以上の結果から、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

GHS関連情報トップページに戻る